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地球ダンジョン  作者: 涼夜
5/39

5、ダンジョンとゴブリン狩り


異世界二日目──


チュンチュンチュン


窓から差し込む朝日と鳥のさえずりによって目が覚めた。


ここは……?あぁ…そっか


慣れない硬いベッドの感触が俺を現実へと引き戻す


「夢であってくれよ……」


そう願わずにいられなかった。


どんなに嘆いたところで現実は変わらない。変えたければ自分が努力しなければ何も変わらない。そんなことはわかってるつもりだ……


俺はベッドから起きあがり二人に朝の挨拶をして井戸に顔を洗いに行った。


バシャッバシャッ


「よし!やるか!」


顔を洗いすっきりした所で、ある作業に取りかかった。



───それから数時間後


俺は村から旅立つ準備を終えて村の門にいた。


「ケインさん奥さん、ありがとうございました!一宿一飯の恩は忘れません。それでは行ってきます!」


俺は別れの挨拶を二人に告げた。


ケイン「もう少し、ここにいてもいいんだぞ」

アン「そうよ、まだわからないこと多いでしょ」


本当に優しい人達だ……


「いえ、これ以上二人に甘えるわけにはいかないです。それに友人のためにも一刻も早く帰る必要がありますし」


あの時、明良は俺がトラックに跳ねられる瞬間を見てしまっているんだ。もしそれで心に深い傷を残してしまったら申し訳なさすぎる。早く帰って、無事を伝えたい!


「……そうか!必ず地球に帰れよ!応援してるからな!」

「気をつけてね!」


俺は二人の見送りに感謝し。村に別れをつげ、街道へと続く草原へ出た。





目指すはダンジョンのある街!


というのも、昨晩二人から「効率のいいレベリング」について聞いたのだが、それは「ダンジョンに潜ること」だと言われた。


【ダンジョン】とはマナの大きな変化によって生じるものらしい。魔術師の実験失敗によるマナの暴走が原因だったり魔物の死体の山を処理せず放置したりすると発生するそうだ。



ダンジョンと言ってもデメリットばかりではない。

ダンジョン内ではレアな鉱石や宝が発生したり、魔物が一定数発生するため森で魔物を探し回るより効率よくレベリングできるそうだ。強さも階層によって異なり、自分にあったレベルの魔物を相手にできる利点もある。


だそうなので、俺はダンジョンがあるという「ダンアール街」へと向かっているのだ。


ダンアール街まではだいたい徒歩で二時間だそうだ。今の太陽の位置的に到着は昼頃だろうか。

道もほぼ真っ直ぐらしく、この道筋で遭遇する魔物も「角兎(ホーンラビット)」のような雑魚らしいので気楽にいけるな。



ステータスでも確認しとくか


俺は歩きながらステータスを開いた。


──────────

名前/赤井涼夜(あかいりょうや)

Lv3

職業/(未選択)


HP520/520

MP270/270

力/100

防/95

速/110


SP10

JP20


固有スキル/

言語理解、神様の応援


スキル/

経験値倍SLv3

バリアSLv2

収納SLv3

瞬間移動SLv3

身体強化SLv2

加工SLv1

溶接SLv1

────────


あっ、そういえばゴブリン倒した時にレベルアップしてたんだったっけ……


SPを振っておこう!


ここはやっぱりダンジョンに行くことだし身を守る為にも【バリア】と【身体強化】とかかな…


────


その後色々悩んだ結果、SP10を全て使い──


バリアをSLv4へ

(1日4回オートバリア又は固定結界を展開)

収納をSLv4へ

(収納量20畳、出し入れ範囲半径2m、状態保存)

身体強化をSLv3へ

(力、防、速に+30)

─────

となった。


スキルに新しい効果が追加されているのもあるな……

さすがレアスキル……


俺はケインさん達に俺の持ってるスキルを教えたのだが、とても驚かれてしまった。

なんとこの世界ではスキル辞典に

【経験値倍】はSS+クラス

【バリア】はA-クラス

【収納】はA+クラス

【瞬間移動】はSクラス

【身体強化】はB-クラス

【加工】はCクラス

【溶接】はDクラス

と書かれていたのだ。


………チート過ぎないか?

神様は異世界へ送る人へのポイント制を少し考え直した方がいいと思う。



スキルを上げた結果最終的にステータスはこうなった。

──────────

名前/赤井涼夜(あかいりょうや)

Lv3

職業/(未選択)


HP520/520

MP270/270

力/110

防/105

速/120


SP0

JP20


固有スキル/

言語理解、神様の応援


スキル/

経験値倍SLv3

バリアSLv4

収納SLv4

瞬間移動SLv3

身体強化SLv3

加工SLv1

溶接SLv1

────────


よし!SPも振ったことだし、

ダンアール街まで走っていこう!


今の俺ならすぐに着くだろう。

そう思い俺は走りだした。


~~


やっぱり異様に速く走れる!

しかも息切れもあまりない!


そんな事を考え、走っていると、街が見えだした。


ダンアール街───

街の中心に大きな大樹が根を張り、それを中心に栄える街並み……

街に入るとヨーロッパ旅行をしているような気分になる。


……そんなことより、まずは【材木屋】に行かないと!


俺はケインさんから渡された材木屋までの地図を拡げた。


俺がまず材木屋に行く事になった経緯というのも資金調達のためだ。



昨晩────


ダンジョンに行くのを決めたのはいいがさすがに武器や防具は持っておきたい……でも、買うお金がない……

─と悩んでいるとケインさんが「丸太を街で売れば金になる」と教えてくれたのだ。


それは正に的を射た答えだった。


・この村の近くには森がある。

・【身体強化】があるから木を切り倒すのも比較的容易。

・【収納】で楽々運べる。

・一度街へ行ったら【瞬間移動】で街と村を往復できるのですぐに追加の丸太を売りに行ける。

……まさに俺のためにあるような金の稼ぎ方だ。


だから、俺は朝から森に入って木を切り倒し続けていたのだ!


─────────


ここだな……


俺は地図に書かれた材木屋の前に着いた。

だが、受付には誰もいない……

奥で作業してるのだろうか?


「すいませーん!店の人いますかー!」


奥に聞こえる声で呼び掛けた。


どうやら聞こえたらしい。奥からガタイのいい"親方"って感じのおっさんが現れた。


親方「なんだお前?変な格好だな!何かようか?」


この世界ではそんなに俺の学生服は変なのか?

……まぁ、いい


「ここで丸太を買い取ってもらえるって聞いたんですけど……」


親方「あ~、もちろんうちで、買い取りはしてるが……丸太どこにあんだ?」


「【収納】スキルで収納しています。ここに出しましょうか?」


親方「まじかい!レアなスキル持ってんな!羨ましいぜ!まぁ、それなら裏の作業場に回ってくれ」


やっぱり【収納】でもかなりレアなんだな……あんまり人に言わない方がいいかもしれない。

そう思いながら材木屋の裏手へ向かった。


親方「ここに出してくれ!」


俺は言われるがまま指示された所に丸太を全てだした


ズドン!


まとめて見ると迫力がある

俺が出した丸太は長さ4m直径約30cmを20本だ。


親方「まじかよ……ちょ、ちょっと待ってろ!今査定すっから!」


親方もこれには動揺を隠せてないな……それもそうか、この世界はトラックなんてないだろうし、馬車で苦労して運ぶような物だろう。

収納は本当に便利だ!戦闘にも使えるし!


~~~~


結果、丸太は全部で14万ウェンで売れた。

14万ウェンが高いのか安いのかまだいまいち分からないが、この資金を手に武器屋へと向かった。


武器屋───

まさにファンタジーによくある武器屋だった。

色んな剣、弓、杖、手裏剣まであり種類豊富だ。中には変わった金属が使われている物や日本刀らしき武器まである。


その中でも俺が特に目についたのはワゴンに適当に置かれた青い短剣だった。

刃渡り20cm

価格は10万ウェン

そして羽根のように軽い……


俺はその青い短剣が気になり店の人に聞いてみた。


店員いわく

この短剣はダンジョンで見つかった発掘品だそうだ。

だが、短剣のくせに10㎏と重いので売れ残っている……そうだ……



……ん???

どういうことだ10㎏?

俺にはこの店にあるどの武器よりも軽く感じるんだが……


でも、確かにワゴンに短剣を戻したときワゴンが"ギシギシ"と音を鳴らすほどだしな……


これはあれか?剣に選ばれた的なやつか?


だとしたら、とてもテンションがあがる。

もう、これは買いだ。



そして結局、俺はその青い短剣を値切って8万ウェンで買い、もう一本5000ウェンの短剣と、2万ウェンの安い日本刀を一本買った。


よし武器はオッケー。

短剣と刀を収納して、次は防具だ!


防具屋───

武器屋同様防具も種類が豊富にある。

中には魔物素材で作られた物まである。


まあ、俺はバリアがあるから大丈夫だとは思うが、一応革手袋、腕当て、すね当てを買った。


よし!武器、防具も揃ったことだし、いざ、ダンジョンへ!………というほど俺はバカではない。

まずは、ダンジョンについてもう少し知ってから向かわないとな。そのためにはまず冒険者ギルドに向かおう


冒険者ギルドというものがあることをケインさんから聞いている。




冒険者ギルド────

まさによく漫画にあるようなギルドだった。

ギルドの建物内に酒場が併設されており、色んな人達がいた。

昼間っからビールを飲んでるおっさん冒険者、魔法使いのような服の人、俺と同じ年ぐらいの若い冒険者パーティー……


あんな風に仲間と共に冒険……楽しそうだなぁ……


まぁ、そんな事に気をとられてないで情報収集だ!


俺はギルドの受付嬢から話しを聞いたり情報提供貼り紙などを見て情報を集めた。


結果

・この街のダンジョンは街の中心にある大樹の根元の洞に入り口がある。名を《大樹ダンジョン》

・入場は無料だが15歳未満立ち入り禁止

・ダンジョン内で倒した魔物は魔石を残してダンジョンに吸収される

・魔石はギルドで換金できる

・階層を降りるほど魔物は強くなり発生する宝も豪華になる。


───等々がわかった。


ある程度ダンジョンについても理解できたのでダンジョンへ向かおう



大樹ダンジョン前──


近くでみると本当に大樹だな……

いや、巨大樹といった方がいいか、地球ではありえないサイズだし。

例えるなら15階建ビルサイズの木があるかんじだ。


そしてそこには、入り口に向かう冒険者らしき人達が何人かいた。

俺もその人達の後ろについてダンジョンへ入っていく。


下り階段を降り地下一層目

中はただの洞窟なのだがダンジョン内は明かりがなくても薄明るい

地下一層、ここはノーマルスライムのような雑魚しかいないらしいので無視して地下二層目へ


地下二層目──

俺の目的の階層だ。

この階層では主にゴブリンが出現するそうなのだ。

ゴブリンは一度倒したことがあるし、油断さえしなければ大丈夫だろう。


そう考えながら広い洞窟を進んで行く。


あっ!さっそく一体発見……


そこには、こん棒を持ったゴブリンの姿があった。


あの作戦を実行しよう!



俺は堂々とゴブリンの前に飛び出た─

ゴブリンはこちらに気付き向かってくる─

だが、俺は背を向け逃げるように走った─

ゴブリンはそれを追ってくる─

そして"あの範囲"に入った!


そう、そこは今さっきまで俺がいた場所。つまり【瞬間移動】の条件である「訪れたことのある場所」だ!


瞬間、俺は【瞬間移動】で走るゴブリンの背後に移動し、振り返る隙もあたえない速さで首筋を短剣で切り裂いた──


「作戦成功!」


ゴブリンは倒れこみ数十秒後魔石を残し腰巻きやこん棒もろともダンジョンへ吸収された。


俺は残されたゴブリンの魔石を手に取った。


「これが魔石か……綺麗だな」


それは紫色のキラキラ光る宝石のような見た目だ。ギルドで換金せずに記念に収納しておこう。


よし!この調子でどんどんゴブリンを狩っていくぞ!





───数時間後


あれからどんどん【瞬間移動】で背後をとったり、接近して【収納】から岩を頭上に落としたりとスキルを駆使して狩りつづけた。


その中でも特に驚いたのが、この青い短剣、略して【青剣】のことだ。

青剣を一度、ゴブリンの頭めがけて勢いよく投擲した時のことだった。

俺からしたら青剣は切れ味はいいが、軽いからゴブリンの頭に"ブスッ"と刺さる程度だと思っていたのだが……何と!ゴブリンの頭を"ズバッ"と貫通しそのまま後ろの岩壁に"ズゴンッ"と突き刺さったのだ……。


まじで、言葉を失った。


その後色々考察した結果──

俺は重さを感じないから勢いよく投げれるが、実際、青剣は10㎏の質量があり、放たれた青剣は物凄い運動エネルギーがあるのだろう。

──という推論にいたった。


ヤバすぎる。

しかも青剣は刃こぼれ一つしてなかった。

本当にいい買い物をしたようだ。


それと、瞬間移動をしているとたまに酔ったり、目眩がしてしまうことがある。あれは本当にで危ない。一度複数を同時に相手にした時、酔ったところを攻撃されて1日のバリアを全て消費してしまった。


何はともあれ今日のレベリングはここで終わりにして地上に戻った。



「うわっ、もう夕方だ!」


昼過ぎくらいからダンジョンに潜ったのだが、もう、外は紅に染まっていた。


その後宿屋で一泊部屋を借り泊まることにした。


宿屋が空いていてよかった。もし、空いてなかったら、今日もケインさんの家に図々しく厄介になるところだったな。


俺は宿の簡素なベッドに腰かけた。


「よし!じゃあ、ステータスを確認するか!」


今日のレベリングの間、一回もSPを使うどころかステータスすら開いていない。効率が悪いことはわかってるが、最初のレベリングではSPを最後に一気に使ってみたかったのだからしょうがない


俺がダンジョンで倒したゴブリンの数は20体だ。だが【経験値2.4倍】だから、だいたい48体分の経験値を得たわけだ。


「ステータスオープン!」


─────────

名前/赤井涼夜(あかいりょうや)

Lv12

職業/(未選択)


HP610/610

MP360/360

力/155

防/150

速/165


SP90

JP110


固有スキル/

言語理解、神様の応援


スキル/

経験値倍SLv3

バリアSLv4

収納SLv4

瞬間移動SLv3

身体強化SLv3

加工SLv1

溶接SLv1

────────


「SP90………」


これって余裕で【瞬間移動】のSLvをMAXであろう10まで余裕で上げられるな………上げよう。


………………

【瞬間移動をSP3消費してSLv4にしますか?YES/NO】

【瞬間移動をSP4消費してSLv5にしますか?YES/NO】

【瞬間移動をSP5消費してSLv6にしますか?YES/NO】

【瞬間移動をSP6消費してSLv7にしますか?YES/NO】

【瞬間移動をSP7消費してSLv8にしますか?YES/NO】

【瞬間移動をSP8消費してSLv9にしますか?YES/NO】

【瞬間移動をSP9消費してSLv10(MAX)にしますか?YES/NO】


「YES!!」


よし!MAXになった!確認だ!


俺はすぐさまスキル詳細を開いた


──────

瞬間移動SLvMAX

→一度訪れたことのある場所に瞬間移動、同伴5名可

──────

─となっていた。


これはどっちだ?


俺の頭の中には一つの疑問が浮かんだ。


SLvMAXになったことで距離的制限は無くなった……しかし「一度訪れた場所」という制限は変わらない。

俺は日本で暮らしていた時の記憶はある……だが肉体はこの世界で生まれたものであり肉体は、日本を訪れてはいないのだ。

この「一度訪れた場所」が記憶であるのか、肉体であるのかによって変わってくる……


う~ん難しいところだな。


それより疲れて眠い


「しょうがない、続きは明日ということで寝よう…」



明日、地球に帰れるかもしれないという期待を胸に眠りについた。





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