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地球ダンジョン  作者: 涼夜
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4、村人と異世界人


異世界の村───

見るからに中世レベルの民家しかない……

やっぱりこの世界は発展途上の文明レベルか。

まぁ、そんなこと言ってもしょうがない。


それより、村の前に着いたことはいいが、どうしよう?俺は無一文だ。異世界の村で田舎に泊まろうでもするか?

……て言っても村人にどう説明する?「異世界から来ました一晩泊めて!」……なんて言っても怪しまれるだけだしなー


「迷っててもしょうがないか。まずは村人に会ってみるか!」


俺は村の門をくぐり村内を進んだ。


小さな村だけどちゃんと人いるよな?


そんなことを考えていると、村の中央あたりにある井戸の周りで井戸端会議をしているであろう4人の奥さん方を見つけた。


声をかけてみよう!


「すいませーん!少しお話しいいですかー!」


そう言いながら井戸の方へ駆け寄っていったのだが……


奥さん方はすぐさま逃げるように散って各家に入って行ってしまった。


どうしてだ?俺なんか変なこと………!

もしかして言葉が通じてない?!

ステータス画面に固有スキルで言語理解ってあったよな?

あの固有スキルって異世界でも言葉が通じるように神様がくれたやつだろ?!機能してないのか?


あっ誰か来た


さっき奥さん方が入って行った各家から、4人のおじさん方が出てきた……ヤバくないか?


「こ、こんにちは~……」

まずは挨拶しておこう。


村人A「お前は、誰だ、詐欺師か?盗賊か?人拐いか?何しにこの村に来た?!」


言葉は理解出来るようだ。

俺の周りをおじさん方が囲み威圧するような雰囲気で話しかけてきた。


もしかして最近この村、盗賊にでも襲われたのかな?


「俺の名前は赤井涼夜といいます。さっきまで森で迷子になってしまってたんですがついさっきこの村を見つけてやって来ました。どなたか一晩泊めてくれませんか?」


もうシンプルにお願いするやり方でいいだろう!



村人B「森で迷子だと?お前はどこの村の者────」

村人C「おい!ちょっと待て!こいつもしかして……」


村人Cが村人Bの話を遮った後

おじさん方同士でこそこそ話し始めた。


「…………!……」


どうやら話し合いは終わったみたいだ…

おじさん方はこちらを見つめて言った。


村人A「お前……もしかして異世界から来たのか?」


!!もしかして俺のいた世界の事を知っているのか!?


「はい!俺、この世界ではない地球という星の日本から来ました!」


そう言うとおじさん方は驚き、次第に納得したような顔をして言った。


村人A「そうか!わかった!ひとまず、俺の家にこい!泊めてやる」


「あ、ありがとうございます!」

どうやらここの人達は異世界について何か知っているようだ。


案内され入った家は、まさにゲド戦記にでてくるような中世の民家だった。

テレビもない、冷蔵庫もない電気すらない家……

やっぱり異世界で暮らすのは何かと大変そうだな……



村人A「じゃあ、まずは腹減ってるだろ!食え!」

奥さん「はいどーぞ召し上がれ」


そう言ってテーブルの上に奥さんがシチューらしき料理を出してくれた。


「ありがとうございます。頂きます!」


ありがたく頂くことにした。

異世界初の食事はシチューとなった。

おいしかった!


「ごちそうさまでした。おいしかったです」


「それは良かった。それはそうと名乗ってなかったな!俺の名はケインだ。そしてこっちが妻のアンだ!」


そう紹介されたのは先ほど逃げだした奥さんの一人だ。


「さっきは、逃げ出してごめんなさいね。最近他の村で物騒なことが起きたものだから……ついね」


「いえ、気にしないで下さい。こちらこそこんな変な服装で来たのが悪いんですし」


そう、この村の人達の服装をみるに俺の学生服はこの世界ではかなり浮いていると思う。


ケイン「まぁ、それよりリョーヤ、お前がここに来た経緯を教えてくれ」

アン「私達は異世界人ってことでも信じるから嘘なくね」


二人は俺に真剣な眼差しで聞いてきた。

ご厚意をしていただき真剣に向き会ってくれそうなこの夫婦に嘘や適当なことを言う理由などない。

俺は包み隠さず今までの事を話した。

地球で死んだこと

神様にこの世界に連れてきてもらったこと

スキルを使って地球に帰りたいこと等々


普通なら信じてもらえないだろう。だが、二人は最後まで真剣に聞いてくれた。


ケイン「なるほどな。やっぱり異世界人だったか」

アン「やっぱり言い伝えは本当だったのね……」


言い伝え?


「今度はこっちの質問に答えて下さい。二人とも何で異世界の事を知っているんですか?」


アン「それは過去にも異世界人がこの村に来たことあるからよ」


俺の他にも異世界人がいたのか……


ケイン「昔……俺たちのじい様方の若い時代、森の方から奇妙な服を着た黒目黒髪の《鈴木太郎》と言う男が現れたそうな。その男は「俺は違う世界の日本から来た」と言い、異世界の知識を使ってこの村に異世界の料理や知識を授けてくれ、村が魔物に襲われた時は珍しいスキルを駆使して撃退してくれたこともあったらしい」


アン「そんな事があって、その言い伝えを子供の頃からよく聞かされてたからね。この村の者は異世界の存在を全員知ってるのよ」


ケイン「あんたはまさに、その言い伝えに出てくる通りのやつだったてわけだ。

森の方から来た、変な服装、珍しい黒髪黒目、異世界の日本から来たという発言。全く同じだ!」


「なるほど。そうだったんですね」


ありがとう鈴木太郎さんとやら。


ケイン「まぁ、そういうわけだ!右も左もわからん所に来たばかりのやつをほっておけるほど落ちぶれちゃいねぇ!一晩と言わず何日でも泊まっていけ」

アン「そうよ!わからないことは聞いてね。何でも答えるわ!」


二人の温かい言葉が身に染みる。

異世界に一人で来た時から心のどこかで感じていた心細さが消えていくようなそんな感じがした。


「あ、ありがとうございます。よろしくお願いします!」


俺はその後、夜遅くまでこの世界の事について教えてもらい、又、二人に日本の事について色々教えてあげたりした。


本当に色々あった1日だったが新しい出会いのある忘れられない1日でもあった。

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