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地球ダンジョン  作者: 涼夜
39/39

39、極秘任務

現在俺達がいる市には大きく分けて4つのグループがある。


一つはカキ工、志雄子小、正忠大、北校、農業校、水産校、私立中、体育大、ショッピングセンターによる【学校連盟】。

俺達が所属する最大グループだ。約6000人


二つ目は誰かが決めたルールや労働に従うことなくこの世界を自由に生きようとする人達が駅前に集まってできた【自由組合】。約3000人


三つ目は市の西側のエリアのスーパーやらを独占し徐々に勢力を拡大してきた、ヤクザがしきるグループ【獄門会】。

独占した食料管理で住民を支配して働かせ、逃げだす者は容赦なく殺すと噂だ。住民含め約2000人


四つ目はバリケードで固めた家に閉じ籠ったり、どこの団体にも属さず個人または少人数で細々と活動して暮らす人達【ソロ・小グループ】。総勢約数千人



最近、学校連盟に所属する遠征パーティが獄門会のヤクザグループと衝突しその遠征パーティは重症を負わされる事件が発生。


それを受け校長から極秘裏に獄門会の内部調査をするよう俺に依頼がきた。


「色にではなく俺個人に依頼するのには何か理由があるんですか?」


俺は校長に尋ねる。


「君が一番適任だと思ったからだよ。ある程度赤井君のスキルは把握してるが瞬間移動に気配遮断、変装スキル等などとても潜入に向いてるスキルばかりで実力もあるからね」


確かに、明良とか魔物相手だと強いが潜入とかには向いてないかもしれない

夏子も悪人相手だと突っ走っていきそうだし


「なるほど」


「それに、他の組織と敵対するかもしれないということはまだ住民達には知られたくないから極秘裏に行いたい。危険だと思うが頼まれてくれるか?」


相手は魔物じゃなく人だ。今までのように殺しておしまいとはいかないだろう。

相手が人である分スキルも使うし知恵も回る。

あちらもすでにこちらの安全地帯内にスパイを送り込んでる可能性もあるからな。

注目を浴びてる色メンバーが全員動くのは不味いかもしれない。


「わかりました。その依頼引き受けます」


俺は変装スキルで顔と髪型を変えながら答える。


「ありがとう。念のためこの封印の首輪とマスキングテープを渡しておこう。いざというときは使ってくれ」


そう言って校長が渡してきたのは封印の文字が刻印された鉄の首輪とマスキングテープ。

恵が学校側に提供しているスキルを封印するアイテムだ。


「いや、自前の持ってるので大丈夫です」


「ああ、色には白川君がいるんだったね。うっかりしてたよ」


俺達【色】パーティは他とは一線をかくす実力と活躍でいくつかの特例が許されるようになった。


一つ目は銃火器の自由使用。俺が考案したしね。

二つ目は物資の優先使用。俺が大半提供したしね。

三つ目は犯罪者につけて労働を強制させるための封印スキルによるアイテムの使用。スキル主の恵がパーティメンバーにいるし、悪用もしないしね。

などなど。


「それじゃあさっそく西側エリアの獄門会を覗いて来るとします」


「頼む」


そうしてた俺は瞬間移動で俺たちのいる町と一山隔てた西側のエリアの住宅街へ瞬間移動した。



─────────────


瞬間移動した先にオーガが一体目の前にいた。


オーガは突如目の前に現れた俺に驚きすぐに襲いかかってきた。


「ウガァー!!」


雄叫びをあげ筋骨隆々な腕を俺に振り下ろすオーガ


「うるさい」


俺は超高力の【火剣】でオーガの喉元を貫く。

オーガは倒れこみ魔石だけとなった。


すると─


「あっちからオーガの雄叫びが聞こえた!行くぞ!」


そんな声と共に曲がり角から4人の人が近づいてくることが空間認識能力でわかった。



気配遮断!



「あれ?いねぇ?」

「確かにこっちから雄叫びが聞こえたんだがな…」

真っ先に駆け寄ってきたガラの悪そうな不良学生二人


「おら!さっさと歩けノロマ!」

「ひぃっ、すいません!」


後からやって来たこれまたガラの悪そうな不良学生一人と、そいつに殴られながらやって来た荷物持ちをしている一般人っぽい中年男性。



おそらくこの西側エリアを縄張りとしている獄門会の連中だろう。

レベル上げに出てきてるのか?


「ちっ!まぁいいや、あの商業ビルにでも行くぞ!」


一人の男が遠くに見える15階建ての商業ビルを指指した。


「おいおいリーダー、商業ビルに行ったところでろくな物資なんてねぇだろ」

「レベル上げなら屋外の方がやり易いぜ」


「ちげぇよ!あの商業ビルを俺たちだけで獄門会の拠点かつ遠征での休息地点にするんだ!そしたらボスも喜ぶだろうぜ」


「なーる!」

「いいねぇ!褒美もでそうだ!」


そう言って4人は商業ビルへと向かっていった。



つけてみるか。

どうせ、獄門会の本拠点がどこかわからないし、あいつらをつけてたらいずれ拠点に帰るかもしれないしな。



そうしてあいつらをつけて俺も商業ビルの中へとやって来た。

中は薄暗い。

だが、荷物持ちの中年男性以外はズカズカと進み、中にいる大蜘蛛や魔猿、大猫、オーク等を苦戦しながらも倒して行く。


実力的にうちの中堅下位クラスほどの実力があるだろう。

刀やメリケンサック、火魔法などで戦っている。


「以外に魔物がいるな」

「ちょっとキツイぜ。休憩だ」

「おい荷物持ち!何してるお茶だ!」

「は、はいっ!」


ビルの3階まで制圧したところで休憩をとっていた。


あの中年のおっさん完全にパシリ扱いされてるな。

こういう力関係で遠征にでるのはあんまり好ましいとは俺は思わない、だって──


その時、奥の階段から魔物が複数体降りてきた。


ブヒヒ!キシャァ!フゴフゴ!ウゴォ!


ハイオーク3体に大きめの大蜘蛛、それに大剣を持ったオーガだ。


「やべぇぜ!あの魔物をあの数相手するのは無理だ!」

「逃げようにも1つしかねぇ階段を占拠されてたら逃げるに逃げれねぇぜ!」


強力な魔物と数にかなり慌てている様子だ。


「おい!窓から飛び降りて逃げるぞ!」

「おいおい!ここ三階だぜ?!」

「俺たちのステータスなら多少のダメージですむ!死ぬよりかましだ!行くぞ!」


「わ、わたしはどうすれば?レベルも低いんだ…この高さは…」


割れた窓から次々と飛び降りて逃げる中、中年男性がリーダーと呼ばれていた男に指示をあおぐ。


「お前は、ここでせいぜい魔物の囮になって俺らが逃げる時間稼ぎでもしてるんだな!」


そう言って中年の荷物を奪い取って中年を蹴飛ばし、そいつも飛び降りて逃げていった。


「ひいっ、酷い……私が何をしたって言うんだ……」


そう嘆いた中年男性を魔物は容赦なく襲いかかった。


「やっぱり囮にされたか…」


その瞬間、中年男性の前にいた魔物達は首筋等の急所から血を流して倒れ込んだ後、魔石となった。


中年男性の前には先程のオーガの大剣を品定めする一人の男がいた。変装した俺だ。周りからは30代ぐらいの見た目に見えてるだろう。


「大剣って明良使うかな?」


「だ、だれだ……助けてくれたんですか?」


中年男性は怯えるように俺に問いかけた。


「ん、ああ。大丈夫ですか?俺は─えーっと、ソロで活動してる佐藤太郎という者です。通りがかりに魔物に襲われてるあなたを見かけたので助けにきました」


とっさにそれっぽいこと言ったが…さすがに今時名前を太郎ってのは変か?


「え、あ、助かりました佐藤さん!私は金川と申します。私さっき一緒にチームを組んでた人達に囮にされて……」


「一部始終みてましたよ。酷いですが、この世界になってからはよくあることです」


カキ工でも魔物発生初期には誰かを犠牲にして自分だけ逃げたやつがいたという噂は何度も耳にしたことがある。

今でこそその行為は罰がくだるルールができたもののいざ自分の命がかかった状況で他者より自分の命を優先する気持ちはわからなくもない。


「まぁ、あの子らにとって私はチームの仲間じゃなく荷物持ちやいざというときの囮役としか思ってなかったみたいですしね」


「金川さんやさっきの人達は獄門会に所属してるんですよね?ちょっと獄門会についてできるだけ詳しく教えて貰ってもいいですか?」


「え、あっ、はい。獄門会とは元はヤクザグループで…魔物が発生した当初はスーパー等を独占しつつも周辺の住民を即座にバリケードで固めた市立陸上公園で魔物から保護してくれたり食料も配分してくれたりしてたんです」


そう聞いたらとてもいい行動だと思う。

最初の頃の俺のようなやつが個人で物資を独占して持ちさるのを防ぎ、それを皆に等分してたのなら立派だ。


「それも最初の数日だけでした。日々避難して増えてくる住民の大半は何も行動せず「保護してくれるのは当たり前」「すぐ自衛隊が救援にくる」と勘違い現状の理解ができておらず、不平不満を垂れるだけ。私もその一人でした。それに獄門会の連中は痺れを切らしたようで─」


なるほど、カキ工は最初こそ学生達に頼ってる現状に自分達も何かやらねばと避難してきた周辺住民の方は動いてくれる人が多かったが、人が増えるにつれ誰かがやってくれるだろう、と何も活動しない人が増えた。

それを機に早々に何らかの仕事や貢献がないと優遇を受けれないという改革がカキ工でおきた。

おそらく獄門会でも似たような改革がおきたのだろう


「それからはバリケード作りや物資集め等、何かしらの貢献や労働がないと食事抜き、歯向かう者は見せしめに殺されました。逃げ出そうにも妻や子は人質のように離れた場所で労働生活。家族がいない者には【マーキング】をつけられるので魔物を避けながら逃げてたらすぐに追いつかれて殺されてしまう。おまけに獄門会幹部の【薬物作用】スキルによって逃げ出してもいずれ自分から戻ってきてしまうありさまです…」


「そこまで酷い扱いで管理されてるとは、まるで独裁政治ですね。」


「でも、活躍を見せた者には優遇、特権、褒美など与えられ上手くいけば幹部にしてやるという飴と鞭の使いようです。さっきの不良学生達がいい例です。我先にと自発的に貢献する者が増えましたからね」


「因みにその【マーキング】スキルや【薬物作用】スキルを使ってる奴や幹部、トップの名前ってわかります?」


こんな現状を知った以上、放置はできない。

まずは校長に報告するが

いずれ俺の【ブレイク】又は【封印】のアイテムでその使用者のスキルを解除する必要がある。


「もしかして獄門会に取り入ろうとしてるつもりですか?いくら佐藤さんが強いとはいえやめた方がいいですよ。数週間前ひょっこり現れてすぐ幹部になった緋田温昼(あけだはるひ)とかいうやつだって忠誠心を示すために平気で連れの頭を銃で吹き飛ばすイカれっぷりを見せたらしいですから」


「はっ?……誰がって言った?」


「緋田温昼です。高校生ぐらいなのに現幹部を屈する程の実力を見せ、拳銃の提供と学校連盟のスパイ活動を請け負うことで幹部の座をもぎ取ったらしいですよ」


「嘘だろ……あのハルが」





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