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地球ダンジョン  作者: 涼夜
38/39

38、拠点拡大

大石との決闘から一ヶ月

魔物が発生してから約二ヶ月がたった。


寒い季節に突入したが学校やショッピングセンターに住む人々に不安や恐怖の表情はすでになかった。


理由は色々あるが、ショッピングセンターの地下空間の開発が進んだことが一番大きいだろう。


あそこは常に温暖でありかつ魔物が存在しない。というか魔物はあの中に入れないということが判明したのだ。


なのでいざというときの避難所があるということが人々に安心感を与えているのだろう。


現在地下には建築科や建設関係等の仕事をしてた人が簡易な避難所を作り、遠征パーティが広い畑を完成させ、多種多様な作物が栽培されている。

職業【農家】の人のスキルで作物がすぐに育ち、【状態保存】【収納】効果がある宝箱で長期間の保存ができるため、今後食料に困ることはないだろう。

現在は水田を作り、米の栽培に着手しているとのことだ。



それと人々の不安が少なくなった他の理由としては、魔物に対抗する力を持つ人々が着々と増えてきているという点もあるだろう。


現在、銃を使わず単独で大蜘蛛レベルを倒せる人が400人、オークレベルを倒せる人100人、ハイオークやミノタウロスレベルを倒せる人が50人ほどになっている。


そして、その中で《色》パーティは最強として名を轟かせ人々の希望となっている。


本来、活動に支障をきたしたり利用されたくなかったがために今まで秘密裏に活動してきたのだが、俺が《ハイオークナイト戦の英雄》やら大石との決闘やらで目立ってしまい、目をつけられたようで、俺達を【遠目】【気配遮断】等を使用して尾行してた人に【瞬間移動】や【収納】を使っているところを目撃されてしまったのだ。そこから芋づる式に今まで物資や家畜を運んだり安全経路を作ってたこと、果てはヤマタノオロチを討伐したのは《色》メンバーじゃないのか?という噂が瞬く間に広まり、最後には口止めをしてたはずの志雄子小の先生から「カキ工生徒会長と一緒にいたやつが瞬間移動や収納系のスキルを使ってた」という情報が流れたことによって《色》の活動が明るみになった。

バレた当初は一部の代表や後から避難してきた一部の人達の非難の声が凄かった。

「危険な存在かもしれない。拘束または監視下において管理すべきだ!」

「人類のために最大限利用しようじゃないか!」


方針を決める会議でそんな事を言う人がいたようだが、各学校の校長や元自衛隊の川上さん、そして多くのカキ工生や住民の反論や擁護、英雄視する声によって《色》のパーティが理不尽な扱いを受けたり過度な追求を受けることはなかった。


恐らく、非難をしていた人達も校長達を敵に回して追放されるのを恐れて強く押しきれなかったのだろう


そして、俺達は色々とバレたことによって活動やスキル使用で人目を気にすることがほとんどなくなった。


そして、《色》には新たに二人と3匹の新メンバーが加わった。


一人はシルバ。

実力はまだまだだが本人が強く希望し、俺達と全く関係がないわけでもないので加入に反対するメンバーもいなかった。

それに、ちょっと前までシルバは自分を偽ってるように感じていたが今では普通に素の自分で接してる感じで信頼できる人物となったため【八つの首の王】の条件を満たした。俺が責任を感じていたのも大きいかもしれない。


二人目は《北高の聖女》の異名をもつ恵だ。

以前パーティに誘った時は北高がまだ不安定だったがために断られたが、今となっては北高も安定してきて恵が抜けても問題ない程度にはなったらしい。

恵とは少し気まづい雰囲気になるかと思ったが、恵は吹っ切れてるらしく普段通りだった。

レアスキル持ちで実力も申し分なく、俺が信頼できる人物であるのに変わりないので【八つの首の王】の条件を満たしていた。


そして、最後に黄瀬の《使い魔創作》によって産み出された3匹の仲間。


一匹は鉄顎狼の魔石とスケルトンの鎧を混ぜ合わせて産み出された、鉄顎狼に所々鎧を身に纏った姿の使い魔、名前は《ポチ》。

命名したのは黄瀬だが、狼なのに犬みたいな名前だ。

だが、見た目にそぐわず愛嬌があり意外と似合ってる…サイズが小さければだが─

ポチのサイズは人が2~3人乗れる程に大きい。四足のポチの目線と俺の目線の高さが同じぐらいに。

込める魔力量でサイズがきまるのだが、魔力を込めて生み出す際に他の人も魔力を込めることができるらしく、試しに俺も魔力を込めたらこのサイズになってしまった。


そして、二匹目は《大猫》という鉄顎狼サイズの猫の魔物の魔石にスライムのゲル素材を混ぜ合わせて生み出した使い魔、その名も《タマ》。

タマはポチ程の防御力は無いもののスライムのように核さえ無事なら傷を負っても傷口がすぐに塞がり、スライムの要素を取り込んだからといって敏捷性や攻撃力が落ちることはなかった。

それどころか、タマはポチと同じくらいにデカイ。

しかし、生み出す際に、《色》メンバー全員が魔力を込めたのにもかかわらずポチと同じサイズだったということは、恐らく基にした本来の魔物のサイズによって限度が決まっているのだろう。


ポチとタマは俺達の遠征時以外はショッピングセンター周辺の警備をしてもらっている。


一応、他のパーティや住民にポチやタマ、それから蛇子のことも説明しているので大騒ぎになることはなかった。

最初は皆怖がってたものの、ポチとタマが愛嬌よく接してたこともあり、今じゃ人々の人気ものになっていた。

鎧づくりに協力してくれた【裁縫】スキル持ちのおばさんが鞍と手綱を作ってくれたので、たまに子供達がタマとポチに乗って遊んでた。大人も同伴してるしタマもポチも落ちないように気遣って乗せて歩いてるので、微笑ましい限りだ。


テイム魔物を使役する上位パーティ【獣の牙】が立つ瀬がなくてうなだれてたけど。



そして最後に"大都市に現れたような強力な魔物が攻めてきても人々を守れるような最強の味方を作ろう"ということとなり、他パーティも巻き込んだ一大計画として生み出された最強の使い魔、《マヤ》。


各方面に許可を取りショッピングセンターの屋上駐車場で黄瀬が残りのヤマタノオロチの魔石と大蜥蜴の鱗を混ぜ、《色》メンバーはもちろんその他多くの上位パーティーが魔力を込めた。

そして多くの人が見守るなか《マヤ》は顕現した。


体は硬い鱗に覆われ、胴体は30m、胴体から伸びる八つの蛇一本一本が優に600mを越える長さをほこり、ヤマタノオロチの実に3倍近い大きさだ。


その後マヤはショッピングセンター屋上に鎮座し、長い首を伸ばしての周辺の魔物の掃討役を命じられた。


「いくら物体をすり抜けれると言えど大きすぎる。遠征に連れ出すより安全結界のない重要拠点のショッピングセンターにいてもらってほしい。」


という要望を会議で伝えられたため、そうすることとなった。今じゃ《守護神》として崇められてる、



そして現在の《色》

リーダー:青景夏子Lv54

メンバー:赤井涼夜Lv57

     緑川明良Lv52

     黄瀬桃花Lv54

     シルバ・ゴルディLv25

     白川恵Lv40

使い魔:蛇子、ポチ、タマ、マヤ



少し前まで地下開拓や施設の設営等で遠征に出ていなかったのにも関わらずシルバを除いて皆かなりレベルが高い。現在上位パーティの平均レベルが40台ぐらいらしいので《色》は現最強パーティといえるだろう。

【八つの首の王】と【経験値倍】のおかげなのは、他パーティにはいまだに秘密だ。


レベルが上がって何度か上位職に転職したのだが、第十職業解放を皮切りにその後職業枠の解放がされなくなった。恐らく職業枠は10枠しかもてないのだろう。

最上位職に達していなかったらまだまだJPを消費して上位職に転職が可能なのだが、そう考えると元から最上位職だった【破壊者】や【先駆者】を選んだことをもったいなく感じてしまう。何度か転職できる職業を選択しておけば手に入るスキルの数も増えてただろうに、と。

まぁ、【破壊者】も【先駆者】も他では手に入らないような強力なスキルが手に入ったのでよしとしよう。

第十職業を解放したあとからJPをSPに変換できるようになってたし、全て最上位職に転職した後は実質的に一レベル上がるごとにSP20使えることになるな。



そして、ここ最近の一週間の活動は


週2日の労働や警備活動。

他パーティとローテーションで勤めることで、遠征メンバーは自由に活動できる権利を得る、という仕組みとなったため。義務を果たさないと発言権や優遇措置を受けられないらしい。


週2日の自由行動。

娯楽に興じるもよし、体を休めるもよし、レベル上げに向かうもよし。

俺の場合は、MPに余裕があれば安全経路の天井に【創造】で創り出した金網を【溶接】で取り付けたり、サイドの補強をしたりしている。

空いた時間は勉強。俺は第九職業を【学生】にしたのだ。なぜなら大石が発見した【学習】スキルによるテキスト読み込みで関連スキルの習得を目指すためだ。

本屋に行けば色んな資格のテキストがあるが、【回路把握】スキルが欲しいのでまずは電気工事士のテキストを読み込み中だ。

ハルの話しによると短機関銃を作るには【小物創造】【危険物生成】【回路把握】と銃知識が必要と言われたからな。銃知識は短機関銃をいつか手にいれて分解すればなんとかなるだろうという希望的観測だが、【回路把握】は持ってなかった。

【学習】でテキストを何度も読みこんで勉強してるものの習得はいつになるかわからない。

なぜなら、後から聞いた話しなんだが、大石はああ見えて学年2位の学力を持ってたらしく、その大石が寝る間を惜しんで毎日何時間も勉強して二週間かけてようやく【危険物生成】を習得できたらしい。

実際、簡単にスキルを習得できるとは思ってなかったが確かに根気のいる道のりだ。頑張ろう。



週3日の遠征、魔石集め。

【八つの首の王→瞬間移動】で夏子や明良達が行ったことある旅行先や他県へ出向き状況把握。その地の避難民の保護・接触。レベル上げを行っている。

【瞬間移動】の同伴可能人数は5人(使い魔等も含め)なのだが、夏子、明良、黄瀬、恵、シルバの全員が【八つの首の王→瞬間移動】を選択すればポチやタマも連れて行けるどころか、本人+30人を連れての瞬間移動が可能となる。



だが、以前行った大都市(政令指定都市)以外の大都市に瞬間移動で遠征に行くも、どこも壊滅状態。人を見かけるどころか、すでにボスレベルの魔物と強力な魔物が住み着くだけの荒廃した地となっていた。

やはり、大きな都市ほど魔物は強力だということがわかる。



俺達の住む市は政令指定都市とは隣接せず自衛隊の駐屯地も近くにない山と海に囲まれている場所だが、中核市レベルの規模の市である。世界中で魔物が現れたとしても今までずっと自衛隊が来ていないのはおかしい。

元自衛隊の川上さんも自衛隊の現状がわからないみたいだった。


なので、一番近い(といっても距離がかなりあるが)自衛隊の駐屯地に向かうことにした。

あわよくば機関銃を手にいれたかったしな。

偶然にも恵がその周辺地域に行ったことがあったので瞬間移動で向かうことができた


─だが、自衛隊駐屯地は見る影もなかった。いや、影、しかなかった。

駐屯地を包みこむようにしてドーム状に闇が広がっていたのだ。

明良の【光魔法】でも照らせないような全ての光を飲み込むような闇の中にあやふやな実体を持つ何かがいるのを俺の【空間認識能力】が感じとった。

「早く入ってこい!」と言わんばかりに目の前の闇の中に待ち伏せているのがわかった。未知すぎる相手だったので、とりあえず数発豪火球を打ち込んで帰った。完全にボスレベルなのは間違いなく、他の基地も同じような状態だとしたら自衛隊の助けを期待できないだろう。



だが、夏子達の行ったことがあるいくつかの小規模の一般市に瞬間移動で遠征に向かうと学校に【学校管理】の結界によって生き残ってる人々がいた。計4校。

そんな時は俺達の拠点の《転移結晶》を借りて、その学校と繋ぎ、そこの代表と俺達の拠点のお偉方が相談し合って方針が決定された。


検証の結果、自分の学校でなくとも【校長】は【学校管理】を発動できる(多重不可)らしく、他県、他市で無事だった田舎の農業高校、港町の水産高校、私立中学校、体育大学の4校は俺達の市の各拠点の近くの廃校(全滅した学校)に移転することとなった。


まず4校の避難民総勢約2000人をこちらの各拠点に《転移結晶》を使って来てもらう。

そして、農業高校の校長はショッピングセンター近くの廃校に移動してもらい、【学校管理】の結界を発動。→結界内の魔物の掃討。→荒れた廃校を清掃し設備を整え避難民の移住。


水産高校の校長は志雄子小の近くの廃校に移転。

私立中学はカキ工近くの廃校に移転。

体育大学は北高とショッピングセンターの中間にある廃校に移転した。


【学校管理】の安全結界はSLvを上げれば半径500mの安全結界ができる。

各学校とも、既存の拠点と隣接する学校に移転させたのもお互いの安全結界同士がギリギリのところで重なるか近くにあることで安全経路を作らなくても行き来できるようにするためだそうだ。

農業高校をショッピングセンターの近くに移転させたのはそこの避難民が農業系スキルを持った農業生や農家の人が多かったため、ショッピングセンター地下の畑の管理を担当してもらうことにしたからだそうだ。


新しく増えた拠点はまだまだ設備不足だが、魔物の入れない安全地帯が増えたのはいいことだ。


それもこれも全部《色》あっての結果であることは周知の事実となった。─のだが、そのせいで面倒ごとも増えた。


例えば毎日のように【バリア】付与での決闘を申し込まれるようになったことだ。


大石との決闘で、重症の心配をすることなく全力で現最強パーティメンバーの一人と手合わせできる、とかいう噂が広まったからだ。


レベル上位者ともなると自分より強い相手と戦ってみたいが、エリアボスクラスの魔物は死ぬリスクが高く、対人だとスキルによっては相手を殺してしまうかもしれないというもどかしさがあるんだろう。


だから、【バリア】付与で怪我なく戦える俺に挑む者は後をたたない。

不思議と、同じ能力の【結界】スキル持ちの恵にはなぜか挑むやつはいないのだが…


仕方ないので夕方に1日2人までは相手にしている。


決闘時には恒例のようにショッピングセンターテラスの会場に人が集まり、すでに娯楽として定着してしまった。


ルールは簡単。

周囲に被害がでるスキル禁止。

俺は固定結界の発動禁止。

俺は相手のバリアを3枚破壊したら勝ち、逆に相手は俺に1枚でもバリアを使わせたら勝ち。


不利?そんなことはない。

人前でも【瞬間移動】や【ブレイク】等を使えるようになった俺に敵うものなどそうそういない。

未知のスキル攻撃をされることもあるが、レベルが上がり、SLvがMAXになった【先読み】は2秒先のできごとを感じとれるので、難なく対処できる。


俺が避けた攻撃が観衆に向かったとしても大丈夫。観客の前には恵が固定結界を張っているからMPがもつ限り被害はない。

明良達も【八つの首の王→バリア】を使えるが、それだとメンバー全員がレアスキルを使えることに怪しむ人が出てくるので人前では使えない。

隠していたスキルを公開したと言っても、全てではないし、入手方法も黙秘している。

【八つの首の王】や【経験値倍】なんてのがバレたら僻みが増えそうだからな。



そうして、俺達《色》は活動がバレてからというもの着々と実績、実力、信頼を積み重ねていき、"人々の希望"と呼ばれるまでになったのだ。



───現在のステータス───

名前/赤井涼夜

Lv40→57

職業/

極炎魔導師

暗殺者

創造者

破壊者

泥棒JLv1→大泥棒JLv1→怪盗JLv1

黒子JLv1

縁の下の力持ちJLv1→支援者JLv1

先駆者

・学生JLv1

・(未選択)


HP890/890→1060/1060

MP1640/1640→1810/1810

力/360→490

防/350→435

速/365→450


SP20 JP4(SPに変換可能)


称号/【八つの首の王】


固有スキル/

言語理解、神様の応援


スキル/

経験値倍、バリア、収納、瞬間移動、身体強化、空間認識能力、危険物取扱者、ブレイク、MP増加

加工SLv5

溶接SLv5→6

極炎魔法SLv3→MAX

精神耐性SLv4

気配遮断SLv7→MAX

創造SLv5→6

暗視SLv5→6

急所看破SLv3→4

武具強化SLv4→6

スティールSLv1→4

目利きSLv1→4

短剣術SLv3→4

筋力増加SLv1→MAX

先読みSLv6→MAX(2秒先)

・宝探知SLv1

・偽装SLv1

・変装SLv1

・支援魔法SLv1→MAX

・学習SLv1→2

─────────


職業【泥棒】→【大泥棒】→【怪盗】へと転職

【宝探知 】【偽装】【変装】スキルを獲得。

職業【縁の下の力持ち】→【支援者】へと転職

【支援魔法】スキルを獲得。

【支援魔法】のSLvMAXにしたことで、

自分や相手の能力値を一時間20%上昇させることができるようになった。一度に最大10人まで。


第九職業を【学生】に選択。

【学習】スキルを獲得。

第十職業は最後の枠ということもあり選択を保留にしている。



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