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地球ダンジョン  作者: 涼夜
32/39

32、真実

魔物発生から21日目────


「ん~~っ!よく寝た~なぁ~!」


俺はベッドから起き上がり勢いよく伸びをした。

時計を見るとすでに昼の12を過ぎていた。


「さすがに寝すぎたな……」


まぁ、それも仕方ないか

なんせ、ここ最近は八岐大蛇討伐に向けた夜通しのレベル上げでろくに寝てなかったうえ、昨日はかなり疲れる戦いだったからな。


「そういや、昨日の戦いでレベルもあがってたっけ。確認しとこう!」


──────────────

名前/赤井涼夜

Lv36

職業/

炎魔導師JLv1

暗殺者

匠JLv1

破壊者

泥棒JLv1

黒子JLv1


HP760/760→→→→850/850

MP510/510→→→→600/600

力/260→→→→→→305

防/255→→→→→→300

速/270→→→→→→315


SP93

JP105


称号/【八つの首の王】


固有スキル/

言語理解、神様の応援


スキル/

経験値倍SLv5

バリア

収納

瞬間移動

身体強化SLv7

加工SLv5

溶接SLv3

危険物取扱者SLv6

炎魔法SLv4

精神耐性SLv3

気配遮断SLv7

小物創造SLv7

暗視SLv4

急所看破SLv2

ブレイカー

武具強化SLv2

空間認識能力SLv7

スティールSLv1

目利きSLv1

短剣術SLv2

────────────


「おー、9もレベルが上がってる。早速SPとJPを振ろ──ん?なんだこれ?」


ステータス画面に見馴れない欄が追加されてあった。


─称号/【八つの首の王】─


「称号?これって昨日、八岐大蛇を倒したから手に入れたってことか?」


称号の欄をスキル詳細を見るときのようにタッチした。


──────────

【八つの首の王】

→称号主が認める真の仲間8名それぞれに、称号主が所有するスキルを一つ使えるようにできる。

───────────


「称号による効果か……」


これを使えば俺の持つ【経験値倍】のスキルで《色》のメンバーはかなり強くなるだろうな。


()()()……か」


その文字が俺の心に深く突き刺さった。


嫌なことから目を背けてばかりの俺にその資格はないのだろうな…………


俺は心のどこかで怯えている

真実を知った時あいつらが俺をどう思うか……


「決めた、この悩みとも決着をつけよう」


そう決心し俺は《通信の指輪》のスイッチを押した。


「明良、夏子、黄瀬、聞こえるか?……悪いんだがリビングに集まってくれ」


◇◇◇◇◇◇◇


ガチャリと玄関のドアが開く音がした。


黄瀬「来ましたよ~先輩」


黄瀬が蛇子を背負って帰ってきた。


明良「涼夜ー!見てくれよこれっ!」


明良も手の甲に装備した《伸縮の盾》を見せつけながら帰ってきた。


続いて夏子も玄関に現れた。


「みんな来たな」


明良「涼夜、聞いてくれよ!この《伸縮の盾》を大きくした状態と小さくした状態に分けて硬さ試験機にかけたらさ、どっちも同じ数値だった!しかもかなりの硬度がある!」


明良のテンションが高くなる。


夏子「へぇー。質量が変わらないのに大きくしても脆くならないんだ!」

黄瀬「さすがマジックアイテム!」


「…………そうか。……凄いな」


明良「なんだ涼夜、テンション低いな?疲労か?」


夏子「それより、涼君。私達を呼び出してまで伝えたいことってなんだったの?」


夏子が俺に尋ねてくる……


俺は意を決して本題に入る。


「明良、夏子、黄瀬……今から言う事を最後まで黙って聞いてくれ」


真剣な顔をして放った言葉に皆、これが重要な話しであると悟ったのだろう。

場が静まり、三人とも頷いた。


「魔物が現れてから、多くの人が死んだ。三人も、大切な人をなくしたと思う……正直に言う。こんな世の中になった原因は…俺なんだ」


場が更に静まり帰る。


三人とも目を見開き固まった。


明良「は、はっ?……ちょ、ちょっと、何……面白くない冗談言ってん───」


明良が場の沈黙を破って切り出した言葉を夏子が手を伸ばし止めた。


夏子「涼君。……続けて」


そう言った夏子の顔はいつにも増して真剣だった。


「実は俺は───…………


俺は今まで誤魔化してきた真実を包み隠さず伝えた。


実は異世界で生き返っていたこと。

ケインさんやアンさんとあったこと。

瞬間移動スキルで地球に帰ることを目標にダンジョンに潜ってレベル上げしてたこと

念願叶って地球に帰ってきたら魔物が溢れかえっていたこと。

そしてその原因が俺が異世界との壁に穴を開けたことによるものだと神様から伝えられたこと

全て



明良「嘘だろ……おい」

黄瀬「そ、そんな……」


明良と黄瀬はかなりショックを受けているようだ


夏子「涼君。あなたがしたことの意味がわかってる?」


夏子は変わらず真剣な眼差しで問いかけてくる。


「もちろんだ。俺のせいで沢山の人が死んだ。知らなかったからで許されるようなことでないこともわかってる。……そして、三人に嫌われるのが怖くて……今まで黙ってた……」


俺は落ちついて答え、続けた


「……三人とも、俺を気がすむまで痛めつけてくれてかまわない。《バリア》はオフにしてある」


そう言って俺は収納から取り出した青剣を握り、そのまま勢いよく振って自分の左腕をケジメとして切り落とした。


「─ッ!」


左腕は"ボトッ"と床にあらかじめ敷いておいたビニール袋に落ちた。


黄瀬の叫び声が響く。


用意していた紐で止血し話しを続けた。


「こんな事で償うことができないだろうが、気がすむまで──」

明良「涼夜ーー!!」


─ドカッ!


明良に胸ぐらを捕まれ頬を殴られた。


黄瀬「アキ君!─」


黄瀬が止めに入ろうとするが夏子がそれを止める。


夏子「…………」


…………


明良「バカ野郎!腕を切り落としたぐらいでいい気になるなよ!!……何で…なんで、直ぐに言わなかった!こんなに思い詰めてたなんて……俺は……俺達……親友だろ?なぁ」


震える声をする明良の顔を見ると頬には涙の筋がある。


「もちろん親友だと思ってる……俺にその資格があるかわからないが……」


明良「バカが!資格なんて関係ねぇ!俺達は《死んでも友達》!忘れんじゃねぇよ!!俺は全てを許してやる!」


そう言って明良は泣きながら抱きついた。


「明良……」


黄瀬「そうですよ!赤井先輩はなんにも悪くないですよ!私も同じ立場だったらそうしてましたし!……そ、そう!全部神様がしっかりしてなかったせいです!」


黄瀬も涙を流していた。


「黄瀬……」



夏子「涼君……」


夏子が俺の前に立った。


瞬間、夏子は手のひらで俺の頬を殴った。


「夏子……おれ─」


夏子「勘違いしないでよ!今のは明良君と同じで私達に相談せずに一人で追い詰められて腕を切り落としたことに対して殴ったの!」


「こんな俺を……許してくれるのか……?」


夏子「許す?なに加害者づらしてんのよ!許すも何も悪いのは全部、管理不足で涼君にちゃんと説明もせずに異世界へ送った神様じゃない!そんな情けない顔せずシャキッとしなさい!!」


夏子は明るくそう言った。


「夏子……皆、ありがとう」


俺は堪えきれなくなり瞳から大粒の涙が溢れてきた。


それを見た夏子も堪えきれなくなったように顔をくしゃっとさせて泣きながら俺の胸に抱きついた。


夏子「辛かったよね……よく頑張った……偉い!」


今さっきまで明るく演じていたのが嘘のように俺の服を掴んで涙を流している。


そしてそんな中、夏子が「おばあちゃん……おじいちゃん」と小さく呟いたのを俺は聞いた。


夏子も色々と、思い詰めた気持ちが今、溢れているのだろう


◇◇◇◇◇◇◇


黄瀬「って!!そんな感傷に浸ってる場合じゃないですよ!先輩、腕大丈夫なんですか!早く処置しないと!」


黄瀬が慌てて俺に言ってきた。


「確かにそうだったな…………あれ?……塞がってる?」


腕の切断面は綺麗に塞がっていた。


明良「まじで?」

夏子「本当だ……綺麗に塞がってる……スキルの効果よね」


夏子は涙で赤くなった目を擦りながら腕を観察する。



「スキル?…………あっ、固有スキルの【神様の応援】って確か《治癒力アップ》だったな。それでか」


明良「自分のスキルの効果なのに忘れてたのかよっ!」


「いや、だって、普段【バリア】があるから今まで怪我することなかったし……しょうがないだろ」


ステータス画面でも【神様の応援】って書かれてあったから、どんな効果か印象薄かったし……


黄瀬「それにしても、よく自分の腕を切り落とそうと思いましたね……正直バカだと思います」


黄瀬からの辛辣な言葉が突き刺ささる。


「ははっ…キツいこと言うなー…これは俺自身への罰と戒めだからいいんだ。腕一本なくなった程度で足手まといになるつもりもないしな」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あっ、そうだ!忘れてた!」


三人と談笑をしていると俺はあることを思い出した。


心の底から真の仲間と思えるようになった今ならできるはず!


─称号,【八つの首の王】発動!!


俺は明良、夏子、黄瀬を対象に称号の効果を発動させた。


明良「うわ!」

夏子「え?」

黄瀬「スキル一覧?」


三人の前には俺でも視認できるスキル一覧の画面が浮き出ていた。


「それは俺のスキル一覧だ。八岐大蛇を討伐した時に手に入れた、称号【八つの首の王】の効果で俺の仲間に俺が持ってるスキルを一つ使えるようにできるらしい。遠慮なく選んでくれ」


夏子「称号なんて機能があったんだー。新情報ね」

黄瀬「私、【経験値倍】にします!」

明良「あっ!俺もそれにする!それと、涼夜、【経験値倍】のSLvをMAXに上げといて!お願い」


三人とも喜んでくれてるようで良かった。


「わかった上げとく。それと、変更したくなったらいつでも言ってくれ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



その日の晩──


俺は誰もいない学校の屋上に一人でやってきていた。


収納から適当な台を取り出しその上にお供え物をおいた。


そして手を合わせる(片手ないが)、夜空に向かって伝える─


「神様、今日は成り行きとは言え、神様を悪者扱いしてしまい、申し訳ございませんでした」


実際に神様に責任を押し付けたのは黄瀬と夏子なのだが、俺もそれに対して言い返さなかったので一応、儀式的に謝罪しておく

神様が聞いているとは限らないが──


『気にすることはないぞ!』


どこからともなくあの神々しいお声が聞こえてきた。


「神様!?!」


『お主の成長を見れてとても嬉しかったぞ。餞別として固有スキルに手を加えておく。さらばじゃ!』


そのお声を最後に何度呼び掛けても神様の返事はなかった。



「というか……何か違和感が……」



違和感を感じた左腕を見ると──


「腕が生えてる……」




その後ステータスを確認すると固有スキル【神様の応援】のスキル詳細が《治癒力アップ》から《超高速再生》という無くなった腕でも一瞬で治すチート効果になっていたのだった。



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