30、八岐大蛇討伐作戦
夏子「これから八岐大蛇討伐に向けた作戦会議を行うわよ。まず、何度かの調査でわかったことはこの4つ」
・夜行性
・動くものや音に敏感に反応して襲ってくる
・蛇の攻撃時以外実体がなく、こちらの攻撃はすり抜ける
・八岐大蛇の胴体部分はショッピングセンター地下の謎の空間にいると思われる
黄瀬「八岐大蛇が寝ていると思われる昼間に奇襲をする。そのため起こさないよう音を立てず胴体部分へ向かう!ですよね」
明良「というか本当に地下に謎空間なんてあるのか?」
夏子「えぇ。私の【獲物感知】で捕捉した10mはあろう八岐大蛇の本体が、地下あたりで動き回ってたの。つまりそれだけの空間があるってことじゃない」
「ま、本体も地面や壁をすり抜けるられるとしたら別だがな。俺の【空間認識能力】がもっと広範囲だったら詳しくわかるのに」
夏子の【獲物感知】SLv10は範囲半径100mに対し、俺の【空間認識能力】SLv7は範囲半径7mだ。
その地下空間とやらまでは届かなかった。
だが、地下へ向かう階段を見つけている
黄瀬「まぁ、いいじゃないですか!それでも地下へ向かう階段を見つける段階までこれてるんですし!」
夏子「そうよね。それともう一度、皆の戦闘スタイルなどを確認しあいましょ。私は魔法弓【雷纒(矢)】がメインで、拳銃や【電気魔法】も使ったりするわ」
夏子は職業【電気工事士】から
【感電者】へ転職した時に【電気魔法】スキルを得たのだ
──────
電気魔法SLv1
→魔力を消費して手から半径10cmに電気を流す
────────
スタンガンがわりに使ってるそうだ
黄瀬「私は涼夜先輩に作ってもらったライフルに【氷纒(銃)】を使って戦います!」
そう言ってライフルを抱えた。
俺が試行錯誤して作った狩猟用の猟銃だ。銃口先には鋭い刃物を取り付け、手持ち部分は少しだけ伸ばすことができるため、いざという時は槍に変形させて戦うこともできる代物だ。
明良「俺は魔物から手に入れた《切れ味増加》が付与されたこの日本刀で風刃を放ったりするぐらいだ」
そう言って明良は腰に携えた日本刀に手をおいた
次は俺だな
「俺は、青剣や炎魔法メインで瞬間移動とか色々使って戦うつもりだ」
俺はこの一週間で戦い方の幅を広げた
まず炎魔法
上位職転職で火魔法が炎魔法になったことで炎の壁や火球、火槍を飛ばせたり、火を吸収してMPに変換する炎吸収なんかができるようになった。
また、職業【火遊び人】から【火魔法】スキルを得た生徒に火剣をレクチャーしようとした時のこと、その生徒は火剣を作り出すことができなかった。
よく調べてみると、【火剣】は【危険物生成】との合わせ技で出来ていたと判明したのだ。
最初に火剣をあみだした時、俺はガス溶接を参考にアセチレンを燃やしそこに高圧酸素を送りだすイメージをしていた。
危険物の中にはアセチレンを発生させる炭化カルシウムや酸素供給体である第1,6類危険物があるのだ。
だから、火剣をイメージした時に無意識に【危険物生成】も発動していたのだ。
これが判明したのをきっかけに
【危険物生成】スキルを意識して火剣を使うと、MPの消費は多くなるが今までより高出力の【超火剣】も使えるようになった。
そして火剣も形を変え派生させたりもした
・普通の棒状の【火剣】
(切るというより貫く)
・手刀の手先から薄広く鋭い火剣を出す【火剣:手刀】
(焼き切る)
・猫の爪のように各指先から細い火剣の爪を伸ばす【火剣:爪】
(魔物の肉をえぐりとる)
そしてどの火剣も【炎魔法】では光を抑えこむことができるようになったのでサングラスはいらなくなったのだ。
夏子「なるほど。わかったわ。あっ、それと涼君、もし地下空間が狭い洞窟だったり燃えやすい木々が生い茂ってたりしたら【炎魔法】は使わないでね。酸欠や大火事になるかもだから」
「あ、ああ、わかってる……」
……だとしたらヤバいな、【炎魔法】がメインだったのに……
【危険物生成】で硫酸やニトロ噴射…………とかも考えてみたが、飛び散ったり大爆発したら怖いしな……
そんな事を心のどこかを考えながら夏子の作戦に耳を傾けていた。
───────
夏子「──って感じで行く予定よ。皆準備はいい?」
明良「おう!」
黄瀬「行きましょう!」
作戦確認も終わり、皆やる気満々だ。
でも、夏子、何か忘れてないか?
「おーい、夏子アレを忘れてるぞ」
夏子「……あ!、そうだった!忘れてたわ!アレを出してもらえる」
俺は収納からアレを取り出した
明良「こ、これって防具か!」
黄瀬「鱗の鎧ですね。どこで手に入れたんですか?!」
明良と黄瀬は驚いている
そう、俺が取り出したのは全員分の黒色のアーマーだ。
明良と黄瀬には内緒で夏子と一緒に用意してたのだ
「覚えてるだろ?あの毒を吐く大蜥蜴。あいつの鱗素材で作ったんだ」
夏子「涼君が鱗を【加工】でカットしたり【小物創造】で装飾品をつくった後、【裁縫】スキル持ちのおばさんにもろもろの製作を手伝ってもらったの。着てみて!」
「あと、色は染色科の人のスキルで黒に染めてもらった」
暗闇だと保護色にもなる
黄瀬「こんなの作ってたたなんて全然知りませんでしたよ!」
明良「俺も!早速着てみよ!」
そうして俺達はその鎧を着用した。
鎧と言っても胴部分はみぞおちから上が隠れるだけで、他は肩カバー、腕当て、すね当て等々だけで全身の鎧ではない。
そこまで鱗素材に余裕がないということもあるが、これ以上面積を増やすと動き難くガチャガチャと音がなってしまうからな。
明良「こんな硬い鱗なのに軽いな!」
「ああ、金属より硬いのにプラスチックより軽い。ついでに胴体部分は内側に衝撃を緩和する素材をはり着けてあるぞ」
黄瀬「それにしても。測ったかのようにぴったりですね…………まさか!【空間認識能力】で私のスリーサイズを……!」
「─測ってないって!寸法に関しては夏子が決めたんだからな!」
夏子「そうよ。桃ちゃんのサイズは知ってたから!何度も服とか一緒に買いに行ったりしたでしょ」
黄瀬「そうだったんですか。すいません涼夜先輩」
「ああ、わかってくれたならいい」
本当に勘弁してほしいもんだがな……
明良「そういえば、この防具には【武具強化】かけたのか?」
「忘れてた。まだしてない……【武具強化】っと!これでより丈夫になった。それと、今のうちに明良達にもバリアかけとくぞ……」
明良、夏子、黄瀬、に二枚ずつ──バリア付与!
これで今日俺が使えるバリアは残り4枚……
「じゃあ準備も整ったことだし、行くぞ!掴まれ」
シュン────
────────────
ショッピングセンター地下空間への階段前─
───シュン
(着いた……)
明良(この階段の先にやつがいるのか……不気味だな)
確かに不気味だ。真っ暗闇でも【暗視】のおかげで視界はあるが、なんというか、ダンジョン特有の雰囲気というかオーラやまがまがしさ?が異常に感じられる
(じゃあ俺が先頭を行くから、音を立てないよう気をつけてついてきてくれ)
そうして俺達は一段一段ゆっくりと長い螺旋階段を降りていった
そうして降りていくこと数分、階段は終わり、球場並みに広い洞窟の空間へと出た
その空間の中央には大きな四足巨体に蛇の頭を八つつけた魔物がいた。
(予想通り、寝てるみたいだぞ)
黄瀬(でも、少し変じゃありませんか?蛇の頭から本体までの首部分が短すぎます)
明良(確かに、いつもは20m以上は伸びてくるが、今は1mもないな、寝てるからか?)
夏子(首の長さは伸縮自在なんでしょ……あいつが寝てるすきに仕留めるわよ!)
(じゃあ皆、作戦通り俺がやつに触れてやつのすり抜け効果を打ち消すから、合図した瞬間、最大威力の攻撃を放ってくれ!)
あいつが寝てる今が接近できる最大のチャンス、今を逃せば【ブレイク】スキルですり抜け効果を封じる瞬間がないかもしれない
夏子(ちょと涼君!!止まって!)
夏子が八岐大蛇に忍び寄ろうとする俺の腕を引いて止めた。
(何だ?!)
夏子(そこ見て、砂利が敷かれてるわ)
俺が踏み出そうとした一歩先から八岐大蛇の周りを囲むように砂利が敷き詰めてあった。八岐大蛇ばかり意識が行ってしまい気づかなかった。もし夏子に止められなかったら砂利を踏んだ音でやつは起きてしまっただろう。
(あぶねぇ、サンキュー夏子。でもそれだとどうする?)
固定結果を足場にすることもできるが……それだと八岐大蛇との距離的にバリア4枚全部消費してしまう……
夏子(仕方ないわね。八岐大蛇が寝てる間はのすり抜け効果がないことを期待してそのまま攻撃するわよ!準備して)
(了解)
ということで俺はすぐ横の大岩に登り八岐大蛇に青剣を投げつける準備をした。
夏子と黄瀬も攻撃準備に入った
明良(いくぞ!)
明良が手を降りおろすのを合図に俺は青剣をめいっぱいの力で投げつけ、夏子もたくさんの魔力を込めた雷矢を放ち、黄瀬も氷弾を撃ち込んだ。
──ドゴーーッン
もの凄い音が洞窟内に響き渡り、土煙が八岐大蛇を覆った。
(どうだ!?)
あれだけの攻撃を食らったらただではすまないはず。そう期待し、八岐大蛇へ目を凝らした。すると、"シャー""シャー"という鳴き声と共に八岐大蛇は首を八方へ伸ばし始めた。
夏子「皆!寝込み作戦は失敗!通常通りの作戦でいくわよ!」
という夏子の指示を号令に明良、夏子、黄瀬は八岐大蛇に対して扇状に広がり配置についた。
そして俺だけはそこらじゅうをぐるぐると縦横無尽に走り回る
気が狂ったわけではない。どこでも瞬間移動できるようにするための必要な行動だ!
すると八岐大蛇の蛇達は音をたてて動き回る俺めがけて真っ先に襲いかかってきた。
予想通り!
明良「─【風刃連激】!!おらっ!こっちだ蛇!」
明良が風刃を数発放ち蛇を二匹惹き付けて離れてくれた。
──パーン、パーン!
黄瀬「蛇ー!こっちよ!」
と黄瀬も銃を撃って一匹引きはなしてくれた
夏子「私の所にも来なさい!」
と、夏子も続くように雷矢を放ち二匹引き離してくれた。
すると俺の前には蛇三匹が残るのみとなった。
「準備は整った。覚悟しろよ蛇ども!」
すると蛇三匹は俺を三方向から取り囲んだ
賢いな、死角をつくつもりか?
【空間認識能力】発動!
【炎魔法・炎の壁】!
俺は自身を中心に炎の壁で包みこんだ。
これで蛇は炎の音と光で俺が見えない。だが、俺はお前らの位置は目をつむっても分かる!
おっ!さっそく、一匹の蛇が炎の壁に突っ込んでくる
【瞬間移動】!
俺は即座に炎の壁に突っ込んできた蛇の長い首の所に移動した
首ががら空き!くらえ!【火剣】!
─スカッ
火剣は蛇を通り抜け空を切った
こいつ、突っ込んできた時、攻撃目的じゃなかった?!
だからすり抜けた?
いやっ!そんなこと考えてる暇はない!
【ブレイク】!からの【超火剣】
左手で蛇に触れすり抜け効果を打ち消すと同時に右手の【超火剣】で蛇の首を貫き腕を突っ込んでからの……
【火剣:手刀】!!
蛇の首を内側から焼き切った
するとその蛇は絶命したかのように倒れこむ─
成功だ!まずは一匹目!
次も同じように……といいたいところだが炎の壁はもう解除だ。
MPを多く消費しまくってる
後二匹ぐらい平気だろう!
一匹の蛇が俺に接近してきた
─ドドドドドドドド
(何の音だ?!いやそれよりもまず前の蛇を─【火剣】!)
──「涼くん!逃げて!!」
そんな声が響くなか俺の【火剣】は蛇をすり抜けると同時に、ゆっくり通りすがるかのように俺の体もすり抜けて行った……かと思った瞬間──
──ドシーーン
俺の目の前にバリアがはられ、寒気が伝わっった。
目の前にはあの巨体な八岐大蛇本体がいたのだ。
そう、蛇が俺の目の前で正面を見えなくしてた間に本体が俺に突進してきたのだった。
【空間認識能力】範囲でとらえたかと思うと、反応する間もなく目の前に突っ込んたでいた、という見た目の鈍重さからは想像できない突進スピード
目の前でバリアに阻まれ止まってはいるがあまりの驚きに腰を抜かし転けてしまった
後ろから蛇が迫ってくる
「涼夜、気を緩めるなー!」
という声に"はっ!"と気づいた時には反応する間もなく蛇に軽く咥えられ天井向けて投げとばされていた
天井に"ゴーン"と勢いよくぶつかる──
が、またバリアによって衝撃もなく無傷─
だが、今度は自由落下───
する前に【瞬間移動】で地面に戻ってきた。
くそ、今ので残りバリア2枚だ……慎重に行こう
本体はあれから止まったままだ。俺は蛇の攻撃をかわしながら本体と距離をおき、考える──
残りMPも少ないし、【炎魔法】も考えて使わないと……
いや……待て、八岐大蛇本体が移動したのならやつに投げた青剣を今なら回収できるはず!
【空間認識能力】集中!………………あった!地面深くにめり込んでる!【収納】!
よし回収できたぞ!
─としてる間に蛇が俺めがけて勢いよく向かってくる。
明らか攻撃体勢だ!実体がある!
【収納】から槍を出現!蛇に向けて地面に突き立てる!
─ズシュ!
成功!自らの勢いで能天に突き刺さった!
後、一匹!
明良「おーい!涼夜!加勢するぜ!」
明良がやってきた。
「そっちは終わったのか?」
明良「ああ、残りは夏子の所にいる一匹だけだ。桃花が加勢に向かった。」
「そうとなりゃあ!あと一息。ラストスパートだ。さっさと片付けるぞ!」
明良「おう!」
…………
そうして俺と明良の連携で目の前の蛇はあっという間に倒すことができた。
明良「よし、あとは夏子の蛇一匹だけだが……もう決着がつきそうだな」
と、残りの蛇が倒されるのを眺めていたその時──
──ボッカーーン!!!
蛇が突然爆発した。
その後すぐ、胴体部分も爆発を起こした。
明良「なんだ!!!何が起こった!自爆?」
「夏子!黄瀬!大丈夫か!!」
…………
黄瀬「こっちは大丈夫です!」
夏子「バリアのおかげで爆炎から守られたわ。、何かが蛇に飛んできたと思ったら爆発したの」
そう行って向かってくる二人に怪我はなさそうだった。
明良「よかったー……」
「何かが飛んできた?爆弾か?!」
ハル「ピンポーン正解だ涼夜!俺の【爆弾生成】スキルで作った爆弾だ」
そんな声とともに煙の中からハルが出てきた。
夏子「緋田君!」
黄瀬「何であの人がここに……」
「ハル……!」
ハル「ああ、感謝しろよ。討伐を手伝ってやったんだからなぁ」
明良「そんなことより!ハル!!お前!桃花や夏子が近くにいることを分かってながら爆弾投げ込みやがったな!!!」
明良がハルの胸ぐらをつかみかかった。
「あの場面で、お前が爆弾を投げ込まなくても夏子達だけで倒せてた。なぜそうした?答えろハル!」
俺は珍しく本気で怒りかけている。もしバリアを付与してなかったら夏子は大怪我をしてたかもしれないんだからな
ハル「……は…はは、久しぶりにみたぜ、涼夜がキレてるとこ。仕方ねぇ答えてやるよ。俺はずっとお前らが戦ってるところを隠れて見てたからな。あの時、生徒会長と明良の彼女が付与されたバリアが残ってたのも把握してた。死なねえと分かって爆弾投げたんだぜ?どうしてもトドメは俺がさしたかったからな」
そう言ってハルは明良の手を払いのけた。
夏子「バカね。知らないの?トドメを刺したからといって経験値が多く得られるわけじゃないのよ。それまでにダメージを与えた分だけ経験値はそれぞれ得られるの」
ハル「うるせぇな。そんなレベルの話しをしてんじゃねぇよ。見てろよ、今から八岐大蛇のすり抜けスキルを奪ってしまえばお前らは俺に触れることすらできなくなるぜ…………──……あれ?スキル欄がでねぇ……お、おい!こいつ死んでねぇ!!まだ生きてるぞ!」
「「えっ!」」
ハルがそう叫んだ瞬間、絶命したはずの各蛇部分が胴体部分に向けて縮んでゆく
「こいつ、生きてたのか……何か様子がおかしいぞ!皆気をつけろ!」
くそ、もう少し早く気づくべきだった。
倒したのに消えなかったし、経験値アップのアナウンスもなかった時点で…………ハルの方に意識が行ってしまってたからだ
八岐大蛇はどんどん姿を変えていき、最後には翼のないドラゴンのような、甲羅のない亀のような、足の生えたツチノコのようなよく分からない魔物へと変化していた。
ハル「ちっ、しぶとい魔物だな。喰らえっ!!」
ハルはやつに爆弾を作りだし投げつける──
だがやつは地面に潜りこみ回避した
ハル「くそっ!どこいきやがった!」
夏子「皆、気をつけて!八岐大蛇はすり抜け効果で地中を泳ぐように移動してるわ!」
夏子だけは【獲物感知】でだいたいの位置を把握できるみたいだ
明良「それで?!今やつはどこなんだ!」
夏子「上よ!くる!!皆逃げて」
すると上から大きな口を開けてこちらへ落ちてくるやつの姿があった。皆それぞれ距離を取り逃げる─
──ドシーーン
やつは地面に着地し、凄い衝撃と共に地響きが響いた
皆、やつとは20mほど距離をとる─
すると、やつは夏子の方を向き、足を踏ん張りだした─
突進だ──
ヤバい夏子にはもうバリアがかかってない!
夏子の雷矢を受けながらもお構い無しにやつは突っ込んでくると共に口を開き炎のブレスがくる─
──シュン─シュン
あぶない……ギリギリだった……
俺は即座に夏子のもとへ瞬間移動しすぐさま夏子を連れて瞬間移動で離れたのだ。ほんの数秒のでき事─
夏子「あ、ありがとう涼君……今のは死を覚悟したわ……」
明良「大丈夫か!二人とも!あいつ炎まで吐けるのかよ!」
黄瀬「もう逃げましょう!私達の勝てる相手じゃありません!あの緋田も階段上がって逃げていきましたよ!」
二人も俺達の周りに集まってきた
夏子「そうね…一時撤退…涼君、瞬間移動お願い」
撤退か……
確かに、あきらかな劣勢の今じゃなくても明日でも明後日でも作戦を練りなおして万全な状態でまたきた方がいい……だが!
「いや、最後に一つ俺を信じてやらせてくれ!夏子、やつは今どこだ!」
夏子「壁から潜って今はまた上に行ってる。もう少しでまた上から降ってくるきよ!」
「わかった!あとは俺に任せて皆は、あそこに作った固定結界に入っておいてくれ!」
俺は残り二枚のうちの一枚で離れた所に固定結界をつくっていた。
黄瀬「無理ですよ!逃げましょう!」
明良(桃花!ここは涼夜に任せて結界に入るぞ!)
明良が俺を引き留めようとする黄瀬を押して結界内に入れた。
─ジャリジャリ!
やつが目標を明良達に変えないよう足下の砂利を踏んで音をだしながら準備する。
夏子『涼君!やつが来るわ!』
俺は通信の指輪から聞こえる夏子の合図で俺はアレを準備した
最終奥義!【超火剣:手刀:合掌】!
両方の手を合わせ15mにも及ぶ高出力の青白く長い炎の剣を作りだす───
「ダメだ、もっとだ!もっと火力をあげろ!燃やせ!酸素を送れ!」
そう、自身にいいきかせ【危険物生成】から様々な可燃性液,個体を火剣に織り混ぜる
カリウム、ナトリウム、リチウム、バリウム、カルシウム、ガソリン、灯油、赤リン、ニトログリセリン、硝酸……
混ぜれば混ぜる程に炎の剣は赤、橙、黄、紫と色を変え所々はじける音がなる
そして、やつが天井から顔を出し落ちてきた──
よし!この火力なら!…………いや、まずいぞ……このままだとMPが足りない!
くそっ!ここまで来て!
その瞬間、やつは落下しながら俺めがけて炎のブレスを吐いた──
やつの吐く火炎放射のような炎は俺の最後のバリアによって防がれ熱もこない……
「最高だ!ありがとよ八岐大蛇!」
【炎魔法・炎吸収】!!
バリアに当たるやつの炎がMPに変換され、MPが回復していく──
「そして、さらばだ!」
最終奥義【超火剣:手刀:合掌】をそのまま八岐大蛇めがけて振り上げた!
───ジョシュンッッ!!!!
─ドシドシーーン!
八岐大蛇は超超高熱の炎の刃によって一刀両断され地面に落ちた。
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
アナウンスが頭の中でけたたましく流れた。
今度こそ本当に倒せたようだ
「よっしゃあぁ!!やったぞ!」
俺は柄にもなくガッツポーズをしていた。
今までに味わったことのない緊張感、緊迫感、スリルの後の達成感、喜び……こんな気持ち、こんな世界にならなければ一生味わえなかっただろう
そんなこんなで俺達の八岐大蛇討伐作戦は完了したのだった




