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地球ダンジョン  作者: 涼夜
3/39

3、ステータスと魔物


爽やかな風とともに大自然の香りが俺を包んだ。


気づくと森にいた。

正確には森の中にある小さなストーンサークルに囲まれた台座の上にいた。



ここが異世界なのか……


体に異常は無し。服装も事故直前まで着ていた制服姿……カバンは─さすがにないか……

体は特に違和感はないが、この体はできたてホヤホヤの新品なんだよな……


違和感があるのは少し空気が違うってところかな

これがマナのある異世界の空気なのだろうか?


まぁ、ともかくまずはステータスの確認だ!

確か漫画だと……


「『ステータスオープン』だったか?」


ウィンッ


画面が出てきた。正解のようだ。


───────


名前/赤井涼夜(あかいりょうや)

Lv1

職業/(未選択)


HP500/500 MP250/250

力/90 防/85 速/100


固有スキル/言語理解、神様の応援


スキル/

経験値倍SLv1

バリアSLv1

収納SLv1

瞬間移動SLv1

身体強化SLv2

加工SLv1

溶接SLv1


───────


よくわからないのもあるが、だいたい予想通りの内容だ。

しっかり選んだスキルも入っている


「じゃあさっそく"あれ"を試してみるか」


そう、俺はスキル一覧で"あれ"を見つけてから1つの計画を立てていた。


【瞬間移動】だ!


神様は言った

『一度その世界で魂を宿し生まれ死んだ肉体を蘇らせたりは神々の決まりでできない』─と。


俺は思った

『異世界で生まれた新しい肉体で【瞬間移動】を使って地球に帰ることならできるんじゃないのか?』─と。


だから俺は異様に高いポイントを消費してまで瞬間移動スキルを選んだのだ。


「よし!では、さっそく……地球の俺の部屋へ【瞬間移動】!!」


俺は強くイメージしてスキルを発動させるよう念じた。


…………


なにも起こらない…


「やっぱり、だめか……」


深いため息が出てしまう。


薄々は思っていたことだが期待が高かった分に落ち込みも大きい


恐らくできなかった原因は─

1、異世界から地球まではそもそも無理。又は地球側にマナがないため地球までは無理。

2、この瞬間移動スキルは「数㎞圏内」みたいな制限がある

3、単純にSLv(スキルレベル)が足りない。

─のどれかだろう。


そんな考察をしながら俺はステータス画面の【瞬間移動】の文字をふとタッチしてみた。


ウィンッ


「あっ……」


なんとスキル詳細らしき画面が表示された。


──────

瞬間移動SLv1

→半径1㎞圏内の訪れたことのある所へ移動

──────


なるほど距離的制限があるのか

てことはSLvをMAXまで上げれば"どこでも移動"できるようになって地球に帰れるかもしれないな


「可能性はある!そう、信じよう!」


希望があると信じていなければやって行ける気がしないからな。


SLvは魔物を倒して自身のレベルが上がった時に得られるSP(スキルポイント)を消費して上げる、又は使用しているうちに自然と上がるものだ─と事前に神様から聞いている。



よし!とりあえず移動だ!

この世界には魔物もいるようだし夜になる前に人里にでなければ。


だがさすがに丸腰で魔物のいるかもしれない森にこのまま入りたくない……


目の前の森は普通に見れば爽やかな森林なんだが、魔物がいるかと思うと少し物怖じしてしまう。


「そうだ、槍を作ろう!」


そこらの太い枝を折って先端を【加工】スキルで削ればできるかもしれない!



~数分後~


「完成!」


立派とは言い難いが、ちゃんとした木槍ができた。


これを【収納】スキルでしまっておいて、いざという時に取り出してこれで戦おう。


そうして俺は森を進み始めた。


~~~


森を進み始めて気付いたことがある。

不安定で歩きにくい山道を歩いてきたのにも関わらずあまり疲労を感じないのだ。

最初は新品の体だからかとも思ったが、どうやら【身体強化】スキルのおかげのようだった。

──────────

身体強化SLv2

→力、防、速に+20

──────────

本当にスキルというものは素晴らしい。


それと、森を進み始めてまだ30分程だが全然魔物に遭遇しない。

せいぜい鹿を見かけた程度だ。


SLvを上げるために雑魚モンスターでも出てきて欲しいところなんだが…………おっ!


そんな事を考えて森を進んでいると小さな池が見えてきた。

しかもその水辺にはプヨプヨ動くゲル状生物が数匹見えた。


「スライムだ!」


見た目は水色の半透明ゲル状

サイズはバレーボール程

内臓はないが核らしきピンポン玉サイズの球体が中にある


あの核を潰したら倒せるって感じだよな……


収納から槍を出して核を潰そうとした……が


ダメだ!ゲル内の球を尖った槍で潰すなんて普通にむりだ!

かと言って足で踏み潰したくもないし……


俺は辺りを見渡した。


「あった!手頃な岩!」


目に入ったのは枕程の大きさの岩だ。

そう、これをスライムの頭上に落とし潰す作戦だ!

まぁ、もちろん【身体強化】スキルがあると言っても今の俺では持ち上げることすらできないだろう。

そこで役に立つのが【収納】スキルだ!


────────

収納SLv1

→5畳程の空間に物を収納

出し入れは半径50cm以内なら自在

───────


「収納!」


目の前にあった岩は収納された。


そしてスライムの所へ戻り作戦を実行


「岩投下!」


─ヒューーズドンびちゃっ


見事スライムは潰れてしまった

核も粉々だ。


レベル上がったかな?


一応確認のためステータス画面を開いた。


「ステータスオープン」


───────

~~~

Lv1

~~~

───────


変化なし……

まぁ、雑魚で有名なスライム一匹だけじゃ上がるわけもないか


と思い、もう一度辺りを見渡した。


水辺には、まだまだスライムがうようよいる。

そして日はまだ明るい……


「よし!スライム狩りだ!」


レベルアップの魅力に負けスライム狩りをすることにした。


そして岩を収納しては落としを繰り返しスライムを次々と潰していった。


~~~~


「よしこいつで10匹目っと……」


ヒューンズドンびちゃっ


【レベルが上がりました】


10匹目を潰した瞬間、頭の中にアナウンスがかかった。


「おっ、レベルアップしたのか?」


すぐさまステータス画面を確認する


────────

名前/赤井涼夜(あかいりょうや)

Lv2

職業/(未選択)


HP510/510  MP260/260

力/95 防/90 速/105

SP10 JP10


固有スキル/

言語理解、神様の応援


スキル/

経験値倍SLv1

バリアSLv1

収納SLv1

瞬間移動SLv1

身体強化SLv2

加工SLv1

溶接SLv1

────────


レベルアップしている!

しかもHPMPともに+10

力、防、速ともに+5増えた!


「スライム10匹でレベルアップか~…まだ何とも言えな……ん?いやまてよ!」


俺はすぐにあのスキルの詳細を確認した。

【経験値倍】スキルだ!

────────

経験値倍SLv1

→獲得経験値2倍

────────


「なんだと……SLv1で2倍?!……てことは本来スライム20匹潰してやっとレベルアップだったのか?!」


確かに【経験値倍】スキルは高いポイントを消費して選んだけど、SLv1はせいぜい1.1倍くらいかと思ってた。

ちょっと、まてよ!もしSLvが1つ上がるごとに効果が何倍になるかによってはチートっぽいぞ?


後で確認しよう!



そして俺はステータスの中に新しい項目が追加されていることに気が付いた。


SP(スキルポイント)JP(ジョブポイント)


SP(スキルポイント)については神様から事前に聞いてた。

スキルのSLvを上げれるポイントだ!


JP(ジョブポイント)は多分名前からして職業レベルを上げるためのポイントだろう。

そういえば、まだ職業未選択のままだったな……確認してみるか


俺はステータス画面の職業の欄をタップした。


───────

職業/(未選択)

→【一つ選択してください】

市民、学生、職人見習い、危険物取扱者

────────

──と表示された。


「なるほど……この中から選択するのか」


【市民】はそのまま地球にいたころ普通の一般市民だっからだろう。


【学生】は俺が高校生だからだろう。


【職人見習い】は俺が工業高校生だったからだろう。


【危険物取扱者】…………これは俺が取得した資格だよな?

俺は国家資格である危険物取扱者資格を丙種、乙種全類、甲種にいたるまで全て合格してきた。だが資格は職業になるのだろか?基準がわからないな



やっぱり職業はまた今度にしよう。もしかしたら今後選択できる職業が増えるかもしれないし!


「とりあえず、本命のSPでSLvを上げるか……」


と言ってもどうしよう……


普通に地球への帰還のため【瞬間移動】優先か?

攻撃手段にしてる【収納】か?

でも【経験値倍】の効果の上がり方しだいで今後のレベリングの効率が大幅に上がるし……

又は今後の強い魔物の遭遇に備えて【身体強化】か?


……と言うかまだ全部スキル詳細確認してないな。確認しとこう。

─────スキル────

経験値倍SLv1

→獲得経験値2倍


バリアSLv1

→1日一回オートで致命傷攻撃を防ぐ


収納SLv1

→5畳程の空間に物を収納

出し入れは半径50cm以内なら自在


瞬間移動SLv1

→半径1㎞圏内の訪れたことのある所へ移動


身体強化SLv2

→力、防、速に+20


加工SLv1

→物を軽く荒削りできる。


溶接SLv1

→物と物を軽く仮付け


────固有スキル───

言語理解

→どの言語も扱える


神様の応援

→治癒力アップ

────────────


へー

何か思ってたスキルと違ったのもあったな。

あと、固有スキルというのは神様のサービスか?SLvもないし、これ以上効果は上げれそうにないな


………


まぁ、最初は【経験値倍】を少し上げてから考えよう



【経験値倍をSP1消費してSLv2にしますか?YES/NO】


「YES」


【経験値倍がレベルアップしました】

アナウンスが流れた。


確認っと!

────────

経験値倍SLv2

→獲得経験値2.2倍

────────


0.2倍増えただけか……いや、それでもすごいと思うべきだよな……

もう一段階上げよう


【経験値倍をSP2消費してSLv3にしますか?YES/NO】


消費するSPが増えるのか……


「YES」

………

──────────────────


俺はSP10を全て使い──

経験値倍をSLv3へ

(経験値2.4倍)


バリアをSLv2へ

(バリア1日2回)


収納をSLv3へ

(収納量アップ、出し入れ範囲半径1.5m)


瞬間移動をSLv3へ

(半径10㎞の訪れた場所、一人同伴可)


───となった


このペースでいけば案外すぐに瞬間移動がSLvMAXになって地球に帰れるんじゃないか?


とかなんとか考えていた

─────その瞬間……


ガキィーーン



背後から耳に響く金属音がした。

とっさに振り向くとそこには、透明なガラスのような膜が張っられていた。そして、その奥にはナイフを持った体長1mのゴブリンらしき異形の生き物が転げている。



「なんだ!何が起こった?あっ……」

俺は状況がわからず混乱した


すると、ガラスの膜は粉々に砕け消えていった。


ゴブリンは起きあがりこちらを警戒している。


(落ちつけ!冷静になって今の状況を考えろ。えっと……ステータスに気を取られていた俺の背後をナイフを持ったゴブリンに襲われた?……それをあの膜が弾いてくれたのか?……そうか!俺の【バリア】スキルがオートに働いたのか!)


俺はとてつもない鳥肌がたった。

醜悪な生物の見た目

そいつに背後から襲われたこと

バリアスキルがなければ死んでいたかもしれないことに対してだ。



「これが異世界ってやつか……気を抜いたら死んでしまうな」


俺は槍を収納から取り出し構えた。


ギィギィ


ゴブリンも警戒してこちらの様子をうかがっている。


…………


ナイフと槍ならばリーチ的にこちらが有利なはず……


ならば!


俺は瞬間、ゴブリン目がけて槍を突き出した──

それをゴブリンは、かすりながらも横に転がり避けた─

だが俺はそれを予想し、避けて体勢の整ってないゴブリンを勢いよく蹴飛ばす、すぐさま俺はゴブリンに馬乗り状態で抑えつけ、続けざまに【収納】から岩を頭上に出現させゴブリンの頭を潰した─


─グチョッ!


ゴブリンの頭は無惨にも血飛沫をあげて潰れてしまった。


【レベルが上がりました】


頭にアナウンスが虚しく流れる


あまり喜べる状況じゃない。

さすがに目の前で生き物の頭が潰れ、その肉片や返り血を浴びた状態ではテンションも上がらない。


「レベル上げのためにこれからも魔物を倒すだろうし慣れないといけないよな……次からは岩を落とした瞬間に【瞬間移動】で離れよう」


そんな事を考えながら池で服に着いたら血を洗い落とし人里探しに戻った。


人里探しは難航するかと思ったが、あの池の近くに川が流れており、その川の下流をたどること20分ほどで村らしき所にたどり着くことができたのだった。


あのストーンサークルの所から以外と近い所にあったな。

まぁ、魔物のいる森で野宿するはめにならなくてよかった。




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