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地球ダンジョン  作者: 涼夜
29/39

29、ここ一週間

魔物発生20日目───


俺は早朝から家の前で軽く体を動かし気を引き締めていた。


そう、今日は『一週間以内に俺達だけで八岐大蛇を倒せるレベルまで行く!』と目標を立ててからちょうど一週間目だ。

この一週間で八岐大蛇の下調べはある程度すんでいるので、今日の昼頃には作戦の再確認を済ませ八岐大蛇討伐に向かう予定である。


それと俺達、色のメンバーはこの一週間で、レベルをかなり上げ、全員Lv27になった。

皆、本当に頑張ってレベル上げに励んだものだ。昼もレベル上げ夜もレベル上げ……俺達だけでいったい何百匹の魔物を倒しただろうか……


まぁ、俺達はこの一週間レベル上げばかりしていた分けではない。北高への物資運びや安全経路の整備(俺だけ)、学校の畑の収穫作業の手伝い、オーク肉確保や物資集め等々も平行して行ってた。


そして、カキ工からの志雄子小、正忠大、北高への安全経路が完成した。


これの完成には本当に達成感を感じたものだ。なにせ、何㎞もの道のりの地道な一人作業だったからな……


それと作業中に見つけた宝箱で、《魔法弓》と《光魔法の書》という宝を手に入れた。


《魔法弓》は長さ60㎝程の小さな弓で「弦を引くと矢が自動的に生成され、発射するときに込める魔力によって威力が上がる」というマジックアイテムだった。

これは皆の合意で夏子が使うこととなった。


《光魔法の書》は「最初に読んだ者は光魔法スキルを習得する」という物だったのだが、これは明良と黄瀬がじゃんけんして明良が習得した。

────────

光魔法SLv1

→明るい光の玉を出せる

────────

暗闇でも【暗視】で目が効く俺達には不要なスキルかとも思ったが明良は戦闘中目眩ましとして応用していた。



また、ここ一週間、他にも色々と変化があった。


・安全経路ができたことにより丈夫に改造した車での学校間の行き来が増えたこと。


・町に転がる人の死体がカラスや魔物によって食われたり特にスライムに溶かされたりして、白骨となってきたため腐敗臭が収まったこと


・浴場作りなどの技術がある建築科の生徒や【危険物生成】スキルなどを持つ一部のカキ工生徒は志雄子小などの他の学校の発展の為に移住したこと


・【酪農家】の人の【家畜管理】スキルのおかげで家畜が短期間で順調に増えてきていること


・どの学校も【農家】の人の【植物成長促進】スキルのレベルが上がったことで配膳される料理がレパートリー豊かになってきたこと


・ミノタウロス、大蛇、熊、オーガという比較的強い魔物が出現するようになったこと

ミノタウロスの肉はA5ランク牛肉並みのにうまいらしい


・カキ工生の多くの人がレベルを上げ、職業【職人見習い】→【職人】を選び【小物創造】スキルを手に入れていた。

というのも【小物創造】は拳銃や手裏剣等の武器を簡単に作れる便利スキルだと広まったからだ。

だが、銃のような問題の種となる武器を個人が所持するという事態を恐れた学校側が、唯一銃弾を作り出すことができる俺を含む数少ない【危険物生成】スキル持ちに「無闇に銃弾を作ってはいけない」という決まりを作った上、極一部の人しか銃を作るための資料の閲覧を禁止した。

これでカキ工生が【銃弾生成】スキルの存在に気づいたとしても資料がなければ銃本体を作れないってわけだ。

そして銃のレンタル管理制度は保たれたこと


・カキ工の避難者だけで430人程と増えたのはいいが、色んな人が増えた分、学校側だけで統率することが難しくなり、ルールを守らず遠征にでて命を落としたり行方不明になる人が何人か出た為、今後の方針を決める会議に各団体の上司や代表者等を出席させ話し合ってるらしいこと


─────等々だ


そして現在の俺のステータスは

──────────

名前/赤井涼夜

Lv17→→→→→27

職業/

放火魔JLv6→・炎魔導師JLv1

暗殺者

職人JLv1→→・匠JLv1

破壊者

・泥棒JLv1

・黒子JLv1


HP660/660→→760/760

MP410/410→→510/510

力/210→→→→260

防/205→→→→255

速/220→→→→270


SP3

JP15


固有スキル/

言語理解、神様の応援


スキル/

経験値倍SLv5

バリアSLv5→→→Max

収納SLv8→→→→Max

瞬間移動

身体強化SLv5→→7

加工SLv3→→→→5

溶接SLv3

危険物取扱者SLv4→6

火魔法SLv5→→→・炎魔法SLv4

精神耐性SLv3

気配遮断SLv3→→→7

小物創造SLv4→→→7

暗視SLv3→→→→→4

急所看破SLv1→→→2

ブレイク

・武具強化SLv2(防具、武器の強度を上げる)

・空間認識能力SLv7

・スティールSLv1(小物を手元に引き寄せる)

・目利きSLv1(物の価値がなんとなく分かる)

・短剣術SLv2



─────────

──となっている。


レベルも上がり、新しい職業やスキルを習得した。


だが、一点だけ失敗してしまったことがある。

それは第六職業を【黒子】にしてしまったことだ。【黒子】が選択可能になった理由は多分、夜中に人目を忍んで黒コートで変装し、道路整備作業に取り組み続けたからだと思う。第五職業【泥棒】を選んだ時は【スティール】と【目利き】スキルが手に入ったのに対し、第六職業【黒子】では【影薄】というスキルが手に入ったのだが【気配遮断】の下位互換として【気配遮断】スキルに統合されてしまったのだ。……つまり職業【黒子】では【気配遮断】がSLv1上がっただけで何のスキルも手に入らなかったのだ……本当にもったいない



また、この一週間、【気配遮断】や【暗視】のような多用するスキルは自然とSLvが上がったりもしたが、レベル上げで溜まりに貯まったSPをふんだんに使って全体的にSLvを上げたりもした。

【バリア】は1日10回使えるようになり、しかも他人にバリアを付与できるようになった、【収納】は効果範囲が半径5mになり、【加工】は切断、削り加工の他に曲げ加工、鏡面仕上げ加工等々もできるようになったりした。





そして、この一週間で、一度だけハルとコンタクトを取ることに成功した。


そう、これは数日前のお昼頃の生徒会室での話────

──────────────


俺達はレベルを上げ上位職を選択したりしていた。


【職人から《匠》へ転職しました】

【《武具強化》スキルを獲得】

【条件を満たしてるため《空間認識能力》スキルを獲得】


…………

「……俺は職業【職人】から【匠】に転職した」


明良「へぇ、それでどんなスキル手に入れたんだ?」


「えーっと……【武具強化】と、条件を満たしてたらしくて得た【空間認識能力】?ってスキルみたいだ」


「「空間認識能力?」」


夏子「スキル詳細は?」


「"空間認識能力SLv1

→任意で、半径1m内にあるものの位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔を正確に把握できる。"……らしい。多分、俺が製図検定とかに合格してたから獲得条件を満たしたんだと思う」


機械製図は平面図、正面図、右側面図を描くために立体的にイメージし寸法通りに描く力が必要だったしな


明良「確かに、涼夜は手書きの製図もCADの製図もクラスで一番うまかったからな」


黄瀬「任意ってことはオンオフ可能ですよね?オンにしてみてくださいよ」

夏子「そうね、試しにこのシャーペンの寸法でも当ててみて」


そう言って夏子はシャーペンを俺に渡してきた


「わかったやってみる!」


──空間認識能力、発動!


うぉぉ!すげぇ!なんだこれ!


「凄い……物の位置が四方八方から覗いてるように立体的に見える……しかも目を閉じても物の位置がわかる!…………ちなみにシャーペンは直径9.25㎜長さ137.90㎜だ」


明良「えっ!嘘だろ……ぴったし正解……」

明良はシャーペンをノギスで測りながら言った


黄瀬「凄いですね!」

夏子「えぇ、凄いわね……」


「この【空間認識能力】と【小物創造】スキルを組合せて使えばより精度の高い部品も作れるかもしない!」


夏子「いえ、それどころかSLvを上げて範囲が拡大できるのなら近くにきた魔物や宝箱、鉱石何かも簡単に見つけれるんじゃないかしら?」


そうなると、明良の【宝探知】、夏子の【獲物感知】スキルの上位互換ってことだろうか……


「ちょっと……いやSLv7ぐらいまで一気にあげてみる」


【空間認識能力をSP1消費してSLv2にしますか?】

〜〜〜〜〜

【空間認識能力をSP8消費してSLv7にしますか?】

「YES!」


凄いな……本当に驚きだ


「半径7m先まで把握できるようになった……」


明良「おー」

夏子「それで、どんな感じ?」


「そうだなー、戸棚の資料の奥にお菓子を隠してるってことはわかったぞ」


俺は生徒会室の戸棚を指差して言った。


色までは分からないが形的にチョコボールとコアラのマーチとスナック菓子かな?


夏子「あっ…………」

黄瀬「ばれちゃいましたね……」


明良「これか!本当にあった!生徒会も悪いところあるな~」


明良が戸棚を開けてお菓子を出した。


夏子「あはは……いいじゃないお菓子ぐらい……ね」

黄瀬「そうですよね~」


夏子「というか、見えない所まで見えるなんて凄いわね。」


「ああ、今なら隣の教室にいる人や廊下を歩いている人の体型や輪郭まではっきりくっきり見え……………ん?」


黄瀬「も、もしかして、私達の体まで服を通りこしてくっきりと……」

夏子「涼君今すぐオフにして!」


二人はそんなことを俺に訴えてくるが俺は耳を傾けず、ある一点に集中した──


やっぱりだ!


「悪い、用事ができたからちょっと席を外す!」


そう言って俺は理由も告げず生徒会室を一人飛び出した。


───────────

〜〜〜〜〜〜

────────


「おい!ハル何やってんだよ!ここで!」


俺が生徒会室を出て向かったのは生徒会室すぐ横の教室だ


ハル「りょ、涼夜!……何で……【気配遮断】は完璧のはず」


そこにいたのはハルだった。


「どうやら、俺の【空間認識能力】の前では気配遮断は意味ないらしいな。隣の教室で壁に耳を当てているハルのシルエットがはっきり認識できたぞ」


ハル「まじかよ……」


「それで何してたんだ。盗み聞き……っていってもこの壁の厚みで聞こえるわけもねぇしな」


ハル「いや、そうだ。盗み聞きだ。俺の【聞き耳】スキルでお前らの会話を聞てた。悪いか?」


いや、悪いだろ


「はぁ~……てことは俺のあれらの件も知ってたりするのか?」


ハル「あれだろ?収納やらバリアやら瞬間移動やらのチートスキルをたくさん持ってることだろ?」


やっぱり知ってたか……俺の昔の親友はストーカーにまで成り下がったか……


「ずっと監視してたのか?何が目的だ。このことをネタに脅すつもりか?」


ハル「は?何を言ってやがる。涼夜がバラされて欲しくないことをバラすわけがないだろ。というか俺はお前らに感謝してるんだぜ?」


「ん?感謝だと?」

ハルは俺らのこと嫌ってんじゃ


ハル「お前らがいなければカキ工がここまで発展してないことぐらい知ってら。物資の件も家畜の件も銃の発案もな」


「だったら──」


ハル「だが、お前らの綺麗ごとばかりには付き合えねぇな。俺は俺の好きなように悪人を排除させてもらう!」


「……人殺しか?」


ハル「最悪の場合な……悪人がスキルを持っている以上なにをしでかすかわからねぇ」


「……ならこれを渡しておく」

俺は恵からもらった封印のマスキングテープを渡した


ハル「これは封印のやつか」


「なんだ知ってるのか。なら話しが早い。悪人がいたのなら殺さずにそれ巻き付けて先生に引き渡せ。そうすれば封印の文字が刻印された首輪をつけられそいつは労働力として働くことになる」


つまりスキルを使って逃げ出されることもなく、労働力が増え、ハルもこれ以上人殺しをしなくてすむ


ハル「なるほど。今はそんなルールになってるのか……わかった今後はそうしてやるよ…………(気分しだいで)」


「そうか!よかった。……ん?最後なんか言ったか?」


ハル「いや、何でもねぇ」


「それと……一つ質問なんだが、ハルが持ってる短機関銃ってどうやって作ったんだ?」


ハル「教えたところで俺以外に作ることはできねぇぜ?」


「なぜだ?教えろよ」


ハル「一人で作ろうとしたら【小物創造】【危険物生成】【回路把握】スキルが必要で、よっぽどの銃への理解がないと作れねぇからな─」


【回路把握】なら夏子が持ってたはず……魔石の消費して電気を流せたり物の構造を理解できたりするスキルだ。


ハル「─学校のあの銃の資料を見てみたがあんな資料だけじゃ素人が機関銃作るなんて無理な話しだ」


「そうだとしたら…………今から資料さがそうにももうネット繋がらないしな……」


ハル「ちなみに俺は作り方を広めるつもりも短機関銃を提供するつもりもねぇ!」


「どうしてもか?」


ハル「考えてもみろ!もし、銃乱射するようなやつが出た場合、拳銃やショットガン程度なら簡単に治めることができるが連続的に何発も撃てる機関銃なら被害も大きくなるし厄介だろ!」


「……」


住民のレベルアップに便利と思ったが、確かに皆が皆、悪用しないとはかぎらない……訓練された軍人ではないんだからな……

拳銃などを貸し出し管理されてる今ぐらいがちょうどいいのかもしれない


ハル「それと、涼夜にばれてしまった以上、もう盗み聞きはこれっきりにしてやるぜ」


「あたりまえだ」


ハル「じゃあな!」


そう言ってハルは走り去ってしまい空間認識能力の範囲にはいなかった


────────────


ということで俺は生徒会室に戻ってきた。


ガチャ


明良「あっ、帰ってきた」


夏子「どこ行ってたの!」

黄瀬「私達の体を空間認識能力で見てないですよね!」


「ん?体?なんのこ…………あっ……悪い……なるほど」


意識がそこに行ってしまった

夏子と黄瀬が言いたいことは理解した



夏子「今すぐオフにしなさい!!」

明良「涼夜……お前……」

明良に呆れた顔をされてしまった


「オフにした!本当ごめん」


黄瀬「もう、酷いです。涼夜先輩!」


「大丈夫、黄瀬には意識が行ってないから」


夏子「つまり私には意識がいったのね!恥ずかしい!」


「いや、恥じるような体型じゃなかったぞ。それどころか綺麗だった」


って何言ってんだろ俺


明良「涼夜、もう黙った方がいいんじゃないか?」


「あ……」


明良に言われて夏子の顔を見ると真っ赤になっていた


そうして俺の【空間認識能力】は遠征時等の時以外使用禁止の上、使用時は女子に意識を向けてはいけないというルールができた




─────────────


──と、まあこんなことが数日前にあったわけだ。



明良「おーい、涼夜ー!そろそろ作戦会議始めるから家に入ってこいよー」


そんな声が玄関から聞こえ、俺は軽い運動を切り上げ家に入って行くのだった




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