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地球ダンジョン  作者: 涼夜
24/39

24、ショッピングセンター

魔物発生12日目────


俺達は学校から3㎞離れた所にあるショッピングセンターの駐車場へと瞬間移動で来ていた。


昨日、このショッピングセンターへ遠征に向かった2組の遠征パーティーが帰ってこなかったと報告があった。

魔物に襲われて全滅した可能性が高いが、怪我をしてどこかで助けを待っている可能性もあるので俺達は彼らを捜索しにこのショッピングセンターに来ているのだ。


(本当に不気味だな……)


このショッピングセンターはいつも人が賑わっているのだが……

現在は電気もついてなく、窓も割れ人の気配が全くない廃れた姿であった。


夏子「広いけど、未知の魔物がいるかもしれないから塊って捜索するわよ……」


そうして俺達は【暗視】スキルを持っていない黄瀬を俺達の中央に置いた状態で店内に入って行った。

そして、黄瀬にはわざとライトを渡さなかった。

そうした、緊張感でいた方が早く【暗視】を習得してくれると思ったからだ。




店内を進んでいると黄瀬は真っ暗闇の中俺達の声を頼りに移動してたおかげで【暗視】を習得した。

それと俺達はあることに気がついた


明良「おかしいぞ!全く魔物に遭遇しない!」


黄瀬「なんでだろね」


夏子「それどころか、人が多くいたはずのショッピングセンターなのに死体一つ転がっていないわ……血の跡は沢山残ってるのに……」


一階フロアをもう一通り回り二階フロアまで来ているのに今まで魔物どころか死体一つ見つからない。


「不気味だな……人が立て籠ってそうな感じはないのに……」


…カツカツ……………


黄瀬「……あっ!何か音が聞こえませんか?!」


黄瀬がいち早く音に気づいて俺達に伝えた。


耳を澄ますと足音がこちらに近づいてくるのがわかった。


夏子(何か来る!皆物陰に隠れて!)


夏子が小声で俺達に言って俺達は商品棚などの陰に隠れた。


そして、足音が次第に大きくなり、声も聞こえてきた。


その正体は人だった。


ライトと釘つきバットを持ったガラの悪い高校生らしき二人の男が会話しながら歩いていたのだ。


「……う……えば昨日のあいつらどうする?」


二人が近づくにつれ会話の内容も聞き取れてきた。


「いい情報も聞き出せた事だし、もう用済みだから放置でいいだろう」

「そーだな。それより楽しみだな!例のカキ工に行くの」

「おぅ、武さんのスキルならカキ工は俺達のもんだぜ!」


二人の男はそんな会話をしながら俺達の横を通りすぎて行った。


……………………


「人だったが……なんか怪しいこと言ってたな……あれカキ工の生徒か?」


夏子「いえ……生き残った生徒はだいたい把握してるけど……あんな生徒見たことない……」


黄瀬「私もです」


明良「それよりあいつらカキ工のこと知ってるみたいだったぞ……"昨日のあいつら"ってまさに俺達が探してるパーティのやつらのことじゃないのか?」


夏子「確かにそうね。会話の内容からみてさっきの二人を含む複数人に捕らわれている可能性があるわ」


「急いだほうがいいな。【気配遮断】を持ってる俺が先行してさっきのやつをつけて行くから後に続いてくれ」


────────


そうして俺達はあの二人を尾行していくと、フードコートにたどり着いた。


そこには金髪に染めた武さんと呼ばれる男を中心とする不良とおぼしき男5人と女が2人いた。

ランタンの明かりを囲み会話しているそいつらの近くの物陰に明良、夏子、黄瀬は陣取り、俺は会話している不良達のすぐ隣に陣取って会話を盗み聞いた。


…………


「武さん。やっぱり探してもあいつらいませんでしたぜ!」

「本当にどこいっちまったんだろな?見張りをしてた2人」


(さっきの二人だ……誰か探してたのか?)


「不気味だな……やっぱりこのショッピングセンター何かいるんじゃねーのか?なー武」


武「魔物も死体なくて拠点に都合がよかったが、ここともおさらばだ。今日あの作戦を実行すんぞ」


武という人は鎖をじゃらつかせながら言った。


「いよいよか……」

「今度は失敗せんでくださいよ!武さん」


武「あぁ、北高の時と同じドジはしねぇ。かならずカキ工を乗っ取ってやる!」


(……!)

思わず声が出そうになった


(まじかよ……カキ工を乗っ取るだと?!)


「北高の時は作戦を実行する直前でばれて不審者認定されて学校の敷地内に入れなくなったからな……」


(北高っていうとカキ工から4㎞、このショッピングセンターからだと1㎞程離れた坂の上にある高校だよな……

北高も【学校管理】が働いてるのか!)


「くそっ!今思い出してもムカつくぜ!あの校長のやろぉ!」


武「今度は校長に不審者認定される前に忍びこんで事を済ますぞ」


(今のカキ工をたかが8人程度の不良が乗っ取れるわけないのに……どうするつもりだ?)


「カキ工の校長と学校をまとめ上げた信頼ある生徒会長の青景夏子ってやつを武の【パシリ】スキルで傀儡にすれば晴れてカキ工はうちらのもんだな!」


スケバン風の女がわざわざ語ってくれた。


(まじかよ……それに夏子のことまで知られてる)


「そんで武、この3人は奴隷として使うとして、残りのカキ工生徒7人はどうする?」


一人の不良がそう言って椅子替わりに使っていた3人を叩いた。


その四つん這いになっている3人は俺達が捜索していたカキ工生だ。すでにボロボロの状態でそこにいた。


(テーブルと重なっててきづかなかった……酷いな……)


武「あー、あいつらならあのままロープで縛って閉じ込めておけ。【パシリ】にしようにもスキル制限で5人までしかできねーしな」


(本当にクズだなこいつ……まぁ、それより全員まだ生きてるみたいで安心した)


そんなことを思っていると──


夏子「あなた達!その子達を解放しなさい!それと残りのカキ工生徒も!」

明良「おまえら動くな!」


と言って夏子が出てきた後、明良も続いて出てきた。


不良「なんだなんだ?」

不良「はっ!またカキ工生か?」


「生徒会長……!」

「助けに来てくれた……」

「やった」


椅子にされてた生徒が、がらがら声で言った。


武「なるほど。お前が生徒会長か。大事な生徒達を助けにきたってか!」


不良「ありがたいねー、手間がはぶけたじゃないか!」


武「お前ら、捕まえて縛りあげろ。たかが二人だ。女は殺すなよ。奴隷どもは俺達が怪我しないように盾にな────」


そう武が指示をし始めたところで───


カチャッ


「動くな!!」


俺は武の背後に立ち武の頭に銃を突き付け腕をひねりあげた。


武「誰だ!いつの間に?!」


武は痛がりながら驚いた。


ずっと隣にいたのだが……


「動くと撃つぞ」


そういうと不良どもは静まりかえった。


夏子「涼君、ナイス!」

明良「お前ら一歩も動くなよ!」

カチャッ


そう言って明良と夏子も拳銃を不良どもに向けた。


というか……夏子さっき俺のこと涼君って……

まぁ、今はそれどころじゃないか


「お前らは、もうすでに方位されている!余計なことをしようとするなら──」


──パァーン


どこからともなく銃声がなり響き不良の足元付近を弾いた。


ナイスタイミングだ。黄瀬


「…………このように、銃で武装して潜んでる俺達の仲間数人がお前達を狙い撃つぞ!」


実際は黄瀬一人だがな。

【暗視】を持ってないだろうこいつらにとってはランタンの明かりが届かない周りの闇に銃武装した人達がいると思ってくれるだろう。

そしてもちろん脅しのつもりで当てるつもりはない。


武「…チッ……………皆、あれを使うぞ」


武が不良どもに何か合図した。



「おい!変なことす──」


不良「「「【スティール】」」」


不良どもがなにか言ったかと思うと俺の手にあった拳銃が何かに引っ張られるように離れていった。そしてその瞬間、ランタンの明かりが消え、俺が油断した瞬間に武が体をひねって俺の拘束から外れてしまった。


武「動くな!動くとこっちにいるカキ工生を銃で撃つぞ!」

不良「はっはー!こんなに暗かったら、周りにいるやつも狙えねぇーだろ!」

不良「拳銃まで奪われてざまーみろ!」


そんな声が闇の中から聞こえてくる。


─が俺達は【暗視】スキルがあるので丸見えだ。


どうやら明良と夏子も拳銃を奪われてるようだ。

拳銃を持った三人が椅子にされてたカキ工生に銃を突き付けている。


あのちょっとの合図から拳銃を奪って明かりを消しそんな中カキ工生を人質にとるとは大したものだ。


まぁ、暗闇を使った硬直状態を作りたかったらしいが俺達は【暗視】があるので、結果として自分達を追い込んだことになったがな。


武「おっ、おい!なんとか言ったらどうなんだ?……うわっ!なんだ?!」

不良「あっ……まじか!」

不良「かっ、返せ!!!」


俺と明良と夏子は拳銃を奪った不良に静かに忍びより拳銃を持った手をひねり拳銃を奪い返した。


「明良、夏子、黄瀬、これで拘束しろ」

俺は収納から布テープやロープなどを取り出して渡し俺達は暗闇でパニックになっている不良どもを次々拘束して行った。


不良「くそっ!」


そんな中2人の不良が暗闇の中を走って逃げだした。


一人は商品棚にぶつかってこけたがもう一人は上手い具合に走り抜けて行く──


黄瀬「私に任せて下さい!」


そう言って黄瀬はそいつに向かって拳銃を構えた。


「えっ!おい──」


まさかまじで撃つのか?!



パァン……パァン……パァン


三発の銃弾が逃げる不良の進行方向の床に当たり氷ついた。


そして不良はその氷で足を滑らせ頭から転倒した。


黄瀬「人には撃ちませんよ。足元を【氷纏(銃)】の銃弾で床に氷を作って足止めしただけです!」


「なんだそうか!……だよな!ごめん」


黄瀬が背を向けて逃げるやつを撃つわけないのにな


まぁ、何はともあれ不良どもは全員両腕を縛りロープで7人を繋げて逃走防止をはかった。


夏子「それじゃあ、まずはこの三人にかけた【パシリ】スキルとやらを解除しなさい!」


夏子が武に言った。


武「もう解けてるよ……さっきなぜか強制的に解除された。お前らがやったんだろ?」


夏子「え?」


夏子がこっちを見た


「あー、うん。俺が、もう解除したぞ!」


【ブレイク】スキルの手で触れて解除したのだ。


夏子「それじゃあ、残りの生徒はどこに閉じ込めてるのよ!」


武「…………」


沈黙か……


夏子「あなた達ねぇ……」


「それなら、一番最初にカキ工生の居場所を教えてくれた人は罪を軽くしてカキ工での生活を約束しよう」


俺は提案した。

もちろん嘘だ。

人を奴隷みたいに扱った上にカキ工生をそのまま放置しようとしてたんだからな。

ちゃんと罪は償ってもらう。


そしてどうやら釣れたようだ。


「俺が教える!」

「うちよ!」

「俺が教えてやるよ!」

武「おめぇら!」


次々と名乗り出てくる。

安っぽい信頼だな。


夏子「じゃあ、あなたがでいいわ。連れて行ってくれる?」


夏子は一人の女の不良を選んだ。


不良女「やったね!じゃあついて来て下さい」


夏子「涼君もついてきて。桃ちゃんと明良君と三人は他の不良達を見張ってて」


と夏子が言って女不良と俺と夏子はカキ工生が閉じ込めている場所へとむかった。


その道中、少し会話をした。


夏子「あなた名前は?何年生?」


不良女「私っすか?私は北高一年の有本りんっていいます。本当~思い罰とか勘弁してくださいよ~!あいつらといたら面白そうだったから一緒にただけでこんなに悪いことするとは思わなかったんですからー!」


夏子「そうね、それはあなたの態度しだいよ。それで北高も【学校管理】が働いているの?」


有本「はい!私達はもともとその安全地帯にいたんすけど……ちょっと目をつけられて追放されまして……昨日このショッピングセンターに来たんです」


「そしてうちの生徒と遭遇してカキ工のことを聞き出したってことか……無理矢理」


有本「はい……」


夏子「それで武って人が持ってる【パシリ】スキルってなんなの?」


有本「えーっと、相手本人にパシリになることを承諾させることで一週間だけ命令したことに逆らえさせないってやつでした確か……」


「どうやって相手を承諾させたんだ?」


だいたい想像つくけど……


有本「ぼこぼこにしてから"承諾しないと殺すぞ"って脅して強制的に承諾させてました。……私はしてませんよ!」


ぼこぼこね……これをカキ工を掌握するために夏子にもする予定だったんだろうな……


夏子「酷い。最低ね……」


有本「…………私もそう思います」


「よく言えたもんだ……」


自分もそいつらと一緒につるんでるくせに


有本「私だって、隠れてタバコ吸ったりバイク乗り回したりする不良でしたけど……魔物が発生して世界が荒れだしてから私以外の皆がエスカレートして行っただけなんですよ!今さら抜けたいなんて言える勇気もなかったですし……」


「そうか……」


有本「あっ!着きました。ここです!」


ガチャ


そして拘束したカキ工生を閉じ込めているというスタッフ控え室の鍵を開けドアを開けた。


「うっ……」

「なんで!」

「…………」


俺達の目に映ったのは部屋を染めた血飛沫の跡だ。

その部屋にはカキ工生どころか死体もない。


夏子「どういうこと!!」


有本「し、知りません!確かにこの部屋に閉じ込めてたはずなんです」


「……鍵はかかってたよな。つまり魔物じゃなく不良どもの誰かが虐殺して遺体を捨てたって可能性もある」


有本「そ、そんな……」

「嘘でしょ……」


すると──


『おい涼夜、夏子!!聞こえるか?返事してくれ!』


俺と夏子の指輪から明良の声が聞こえた


カチ

「どうした明良?!」

夏子「不良が暴れだしたの?」



明良『ち、違う!魔物だ!すぐ帰って来てくれ!強い!』


明良がこんなに慌てる程の魔物なのか?!


「急いで戻ろう!」

夏子「ええ!」

有本「わ、私も……置いてかないで~!」



そうして俺達三人は明良達のいるフードコートへ戻った。


するとそこには極太のヘビが二匹床から伸びてうねうねと明良達を襲っていた。


「明良!大丈夫か?!」


俺は短剣を構えて明良の方へ駆け寄った。


「ああ、俺と桃花と三人は無事だが……拘束していた不良達は……」


そう言って床をよく見ると不良達の死体が転がっていた。


「…………!」


黄瀬「このヘビ。攻撃してもすり抜けてしまいます!」


そう言って黄瀬は槍をヘビの長い首に突き刺すが実体がないかのように槍はすり抜けた。


夏子「実体がない?でも実際不良は攻撃受けてるよね?」


明良「こいつら、壁や床まですり抜けられるようだが攻撃する瞬間は実体になるようだ!」


「つまりその瞬間が攻撃のチャンスってことか!」


俺がヘビの攻撃をよけながら武器を構えた時──


後ろから叫び声が聞こえた。


振り向くとそこには有本と三人のカキ工生を襲おうとする同じヘビが床から3匹伸びてきていた。


ヘビは合計5匹……厳しいな


夏子「皆!逃げるわよ!急いで!涼君ライトをあの子らに!」


夏子もさすがに勝算がないと思ったのだろう。


俺は4人にライトを出して渡し、夏子と黄瀬が先導して走りその最後尾を俺と明良がついて走る形で出口を目指した。


そしてヘビは一匹、また一匹と増えて追ってきて、俺達がやっとの思いでショッピングセンターから出た頃にはショッピングセンターの壁から8つのヘビの頭を覗かせていた。



夏子「はぁ…はぁ…間一髪だったわね……」


黄瀬「そうですね、あの魔物、ショッピングセンターから出てこないみたいで安心しました……」


ヘビは俺達がショッピングセンターを出た瞬間、諦めたように追ってこなくなっていたのだ。



生徒「それより……俺らの仲間は……」


一人の生徒が聞いた。


…………


夏子「残念だけど全員あの魔物に食べられてたみたい……」


鍵がかかった部屋にいて死体が残ってなかったのだ……

おそらくあのヘビが壁をすり抜けて入ってきて食べたのだろう


生徒「そ、そんな……」

生徒「くそっ!」



明良「……まぁ、学校へ帰るか……今の俺達だけじゃああの魔物は倒せない」


「そうだな……」




そうして、俺達【色】及び救助したカキ工生3人と不良女有本りんはカキ工への道のりを帰って行くのであった。


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