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地球ダンジョン  作者: 涼夜
20/39

20、鉱石と指輪


俺達は午後からも黄瀬のレベル上げをしていた。


一応、昼飯を食べ終わった後に銃弾を追加で200発作っておいたのでまだ玉切れの心配はない。

俺も慣れたもので銃弾を作るのにもそう時間がかからなくなってきていた。



そして当の黄瀬もスキルの扱いや戦い方にも応用がでてきだした。


黄瀬は【跳躍力強化】スキルで塀などを踏み台にピョンッピョンッと住宅の屋根に軽々と登り、そこから見える範囲にいる魔物を拳銃で仕留めては屋根づたいに移動して拳銃で魔物を仕留めるを繰り返していた。


しかも最初は一体倒すのに2、3発使ってたのだが、【狙撃】スキルを手に入れてからほぼ一発の銃弾だけで仕留めれるようになっていた。


また、遠距離攻撃だけでなく、【槍術】による近距離攻撃にも応用がでてきていた。


遠くからの【狙撃】スキルを効果させた槍投げによる倒し方や四方を魔物に囲まれた時の槍を使った棒高跳びのような回避方法など圧倒的な運動能力とセンスで魔物を倒していった。


もうサポートなしで立派に戦える段階になっている





黄瀬はLv14に到達

【銃士】から【プロ銃士】へ転職

第三職業を【鑑定士】に

スキルは【銃弾生成】【遠目】【鑑定】を手に入れたそうだ

──────

銃弾生成SLv1

→MPを消費して銃弾を作りだす

(拳銃の銃弾一発につき1MP消費)


鑑定SLv1

→いろんなものの詳細を調べれる

────────


明良「化けたな桃花……ここまでとは……」


明良は驚いたように言った


確かに戦闘力的に明良より黄瀬の方が強くなってしまったからな……


黄瀬「化けただなんて失礼ね!普通にちょっと強くなっただけでしょ」


「いや、ちょっとってだけじゃなくないか……」


夏子「あの屋根上を飛び回る機動力に、銃による遠距離攻撃と槍による近距離攻撃による戦い方の多さ……」


「ああ、完全に戦闘能力に関して俺達の中でダントツだな」


黄瀬「へ…へぇ。そうですか?」


黄瀬はなんか申し訳なさそうな感じだ。

別に気にしなくていいのに


明良「なんか悔しい……涼夜!俺にも銃作ってくれよ!」


明良は気にしてるみたいだ。


「もちろんMPに余裕ができたら明良と夏子の分も作ってやるよ」


元々そのつもりだったし


夏子「でも一応、他の人達にはばれないようにしてよね」


もちろんだ。

俺達【色】が特別なだけで他の人達は学校に管理されてる銃をレンタルするって予定だからな


黄瀬「あっ、そういえば【鑑定】スキルでさっそく昼に見つけた鉱石でも鑑定してみましょう」


「そうだな。はいっ」


俺は収納からあの翡翠色の鉱石をだして黄瀬に渡した。


黄瀬「えーっと………………」


黄瀬は鉱石を見て鑑定しているようだ。


明良「桃花、それでどうなんだ?」


黄瀬「特殊効果があるみたい……《癒し石》"癒し効果がある"ってでました」


夏子「癒し石?……それだけ?」


黄瀬「はい……使用方法がわかりませんね」


明良「加工してネックレスみたいなアイテムにして身につけておくと癒されるとかか?」


…………


「なぁ、その癒し石俺に使わせてくれないか?ちょっと試したいことがあ」


俺にはある考えがある


夏子「別に構わないけど何か当てでもあるの?」


「ああ、学校の浴場の浴槽に設置してみたい!」


黄瀬「なるほど!」


明良「癒し効果のある風呂になるかもってわけか」


夏子「いい考えね!でもたったそれだけで効果あるのかしら?」


確かに大きさは10cm程度

しかも男湯女湯に等分したらもっと小さくなる……


「なら、今から探してみる?」


明良「いいね!全浴槽分集めよう!」


と明良が言い、夏子と黄瀬も賛成したことで。俺達は鉱石探しを始めた。





────────


鉱石探しを始めて、三十分程のこと、まだ鉱石は見つからなかったのだが─


明良「あっ!反応がある!」


「反応?」


明良「宝だ!俺の【宝探知】スキルが反応した!」


そういえばそんなのあったな……


夏子「えっ、普通にそこらの家にある貴金属とか宝石じゃないの?」


明良「これは、多分違う……」


明良の後をついて歩いた所にそれはあった



明良「これに反応してる!」


俺達の目の前にあったのはTHE宝箱って感じの縦20×横30×高さ30㎝の小さな箱だ。


「宝箱……」


黄瀬「これも、地球ダンジョンによって生み出されたもなんですかね?」


夏子「多分そうだと思うけど…………ねえ、涼夜君、開けてみて」


「えっ、なんで俺?」


「もしゲームみたいに魔物が化けてた場合、涼夜君なら大丈夫でしょ!」


まぁ、俺ならバリアあるからな……

というか夏子もそういうゲームするんだなー。以外だ


「わかった。……じゃあさっそく…………」


俺は宝箱の蓋を開けた。


「「…………指輪?」」


箱の中にはクッションの上に置かれた4つの銀色の指輪があった。



黄瀬「あっ、ここに紙が挟んであります」


黄瀬はクッションの間にあった紙を広げて読み上げた


黄瀬「えっと、"《通信の指輪》指輪にあるスイッチを切り替えることで通話ができる"って書いてあります」



夏子「マジックアイテムってやつなのかしらね」


明良「つまり、電話の指輪バージョンってことか?」


「そうみたいだな」


俺達は一つづつ指輪を手に取った。


ちょうど人数分あったのは偶然だろうか


とか思っていると──


明良「もーもか!手ーだして!指に着けてあげる」


とかいい出した。


黄瀬「わあ、ありがとう!私もっ!」


黄瀬もノリノリで明良の薬指に《通信の指輪》をはめてあげてイチャイチャしていた。


本当にラブラブだな……

こういうのは後でやってほしいものだ。見てるこっちが恥ずかしくなるし、横で見てる俺と夏子が気まずいんだよ。


「本当にラブラブだな……」


そう思いふと夏子の方を見ると俺と目が一瞬合いすぐに目を反らして、明良と黄瀬の方を見た。


夏子「ほ、本当にラブラブね!桃ちゃんと明良君!」


明良と黄瀬の方を羨ましそうに見ながら夏子が俺に言った。


もしかして、夏子はあんな風に誰かと恋がしてみたのかな?


…………


「夏子、俺も着けてやろうか?指輪」

夏子「……え?」


あっ…………

やってしまった……

明良と黄瀬のあの空気のせいでめっちゃ恥ずかしいことをつい口にしてしまった!

絶対気持ち悪いと思われたな……


「ご、ごめん。冗談冗談!忘れて!」


夏子「……いえっ、お、お願いしてもいいかしら!はめて……」


夏子は顔を真っ赤にしながら手を出した。


夏子は優しいやつなんだな

俺に恥を欠かせないようにしてくれたんだ……

自分だって相当恥ずかしいくせに……


でもこれは夏子にわるいな。


「はは……変なこと言って悪かったな。嫌なら断ってくれ……変な気をつかわれると余計つらい……」


笑って断ってくれてた方が楽だったな


夏子「べ、別に嫌じゃないわよ!」


そう言う夏子は本当に恥ずかしそうだ。


ここまで言ってくれたんだ

夏子にまで恥をかかせるわけにはいかないからな……


「それじゃ……」


俺は夏子の指に《通信の指輪》をはめた


夏子「薬指……ありがとう」


「ん?…………あっ!」


俺はついつい明良達のを見ていたせいで無意識に左手の薬指に指輪をはめていた……


絶対勘違いされたよな……

夏子に気があるって……


「私もはめてあげる!」


夏子はそう言って夏子が持ってた通信の指輪を俺の薬指にはめた


「あ、ありがとう……」


めっちゃ気恥ずかしい……


これも全部明良のせいだ!


俺はどうしようもないこの気持ちを抑えるために黄瀬とイチャイチャしてる明良のケツをタイキックしてやった。


明良「もー、なんだよ涼夜!」


「さっそく使ってみよう!明良!」


明良の指輪には赤、青、黄色の小さな3つのスイッチがあった。


俺の指輪には緑、青、黄色のスイッチがある。


つまり明良への通信は緑色だな


俺は15m距離をとって緑のスイッチを押した状態の指輪にしゃべった


カチッ──

「"あーあー、きこえるか明良ー?"」


すると明良が指輪のスイッチを入れた。


『おー、聞こえるぞー!』


俺の指輪から明良の返事があった。


それじゃ、お次は全員に……


カチカチッ─

「三人とも聞こえるか?」


指輪の声に気付き夏子も黄瀬もスイッチを入れた。


『聞こえましたー!』

『私も聞こえたわ!』

『俺も皆の声、聞こえてるぞー』


俺はしっかり指輪から声が聞こえたのを確認して皆のところへ戻った。




黄瀬「この指輪、便利ですね!まるで先生の【意思伝達】スキルみたい!」


夏子「いえ。【意思伝達】スキルは相手が【意思伝達】スキルを持ってない限り言葉は一方通行で会話はできないから、これは【意思伝達】スキルより便利よ」


「そうだな。これがあれば今後の遠征では連携がとりや───」

夏子「ちょっとまって!静かに!…………………………」


夏子がいきなり言った。


………………


「……どうしたんだ?」


夏子「さっそく今、先生から【意思伝達】で連絡が入ったわ。"安全地帯周辺に毒を吐くコモドドラゴンのような魔物の群れがやってきて居座っているので各遠征チームは早く戻ってきて対処して下さい"、だそうよ 。どうやら【意思伝達】に登録してる生徒に一斉に連絡したみたい……」


「コモドドラゴン?」


コモドオオトカゲのことだよな?

確かインドネシアとかにいるデカイトカゲ……

人間も食べられることもあるっていう……


明良「それって、ヤバくないか?」


黄瀬「今日から学校へ避難してくる人が多くなるかもしれないのに……安全地帯周辺に魔物が沢山いたら……」


確かにそうだ

昨日の晩に拡大した安全地帯にある民家や建物内の電気をつけていたことで、今まで以上に遠くからも光に気づいて避難してくる人が増えてくるかもしれないのだ。


「急ごう!俺に掴まれ!」


俺達はすぐさま生徒会室に瞬間移動した。






生徒会室────


夏子「私はこれから先生方に状況を確認しに行くから、三人は騒ぎがある所に先に行ってて!後で合流するから!」


「わかった!」

「了解です!」

「オッケー!」


そう言って俺達は生徒会室を出た。



そうして俺と明良と黄瀬は学校を出て4、500m住宅街を走った所で結界の端へと到着した。


そこには、すぐ目の前にある結界外の通りをうろつく数十匹の鱗に覆われたコモドオオトカゲの姿と先に交戦していた生徒達と住民の姿があった。


明良「おっ、やってるな!あれがコモドドラゴンか!」


明良少し楽しんでないか?

まあ別にいいが


「俺らも参戦するぞ!」


明良「おう!」


黄瀬「私は結界内のから拳銃で援護しますね!」


「それなら一応これ着とけ!銃はまだ皆に公開されてないから!」


俺は変装用のマスクとコートを黄瀬に渡した。


黄瀬「ありがとうございます!」



そうして黄瀬は住宅の屋根の上へ飛びあがり俺と明良は結界外へ向かった。


すると─

「おい、お前ら!盾ももたず、どこ行こうとしてる!」


結界内から手裏剣でコモドドラゴンを攻撃していた野球部らしき坊主の生徒が大声で俺達へ言った。


「あの大蜥蜴は毒を吐くんだぞ!お前は立派な、剣があるとしても、そこのお前なんて丸腰じゃないか!中途半端な実力で来るなよ!邪魔になる!」


怒鳴るように言われた。イライラしてんだな。


まぁ、注意してくれたんだろう。


「いや、一応、短剣はあるぞ」


俺はばれないように後ろポケットから取り出すふりして収納から手に短剣を取り出して見せた。


「バカか!そんなので大蜥蜴を倒せるわけねーだろ!そもそも背中を覆っている鱗は刃物なんか通りもしねーし」


こいつやっぱり口が悪いな…


「大丈夫!一応、火魔法も使えるから!」


と言って俺はサングラスをして高出力の青白い【火剣】を見せてやった。


これにはさすがに野球部っぽい生徒も驚いてるようだ。


「……チッ!もういい!さっさと行け!毒には気をつけろよ!」


優しいのか優しくないのかわからんやつだな。


明良「感じわりーな。行こうぜ涼夜!」


「あ、ああ!」


俺と明良はそいつを後にして結界外へ出た。


そして俺と明良はコモドドラゴンの群れとわたりあった。


大蜥蜴は以外と厄介な魔物だ。

背中、頭、足を覆う鱗が硬く明良の中距離攻撃の風刃が至近距離で放ってようやく斬れる感じだ。

俺にいたっては明良のように【剣術】も【強斬(スラッシュ)】もないので短剣では傷一つつけれていない。

しかもスチール缶すら一瞬で溶かし切った【火剣】も鱗を溶かせなかった。

あの鱗は一瞬の攻撃では鱗の融点までいかないのだろう。

でも、熱は伝わるみたいで嫌がる。


まぁ、弱点は【急所看破】でだいたいわかる。鱗のついていない腹周りだろう。


他の遠征パーティーも槍を持って複数人で囲んで大蜥蜴をひっくり返して腹を攻撃しているし。


というかまだ俺、一匹も倒してないぞ

明良はズバズバと斬り倒しているのに……

こんな敵、人目さえなければ収納から鉄アレイでも落とせば簡単なのに、固定結界も張れば毒もいちいち避けたりする必要ないのにな……


と思っていると──


黄瀬「アキく~ん!赤井先輩!」


俺達の所へ黄瀬が走ってきた。



明良「桃花!後ろ!」



黄瀬の後ろを追ってきていた大蜥蜴が黄瀬めがけて毒を吐いた!


黄瀬「きゃあ!…………あれ?」


「あっぶっねー」


俺は瞬時にその毒を手で受け止めていた。

というか打ち消していた。

【バリア】じゃない【ブレイク】スキルだ……

あの毒はスキルや魔法系の攻撃だったのか……



それより今の他のやつに見られてないよな?


明良「この!よくも桃花に!」


ズバッ───


明良はすぐにその大蜥蜴を一刀両断した。


黄瀬「あ、ありがとうございます!助かりました!」


「周りには気を付けろよ」


前にも似たようなことあったな……


明良「それよりなんでここに来たんだよ?」


黄瀬「だって。あの大蜥蜴、鱗のせいで銃弾が効かないだもん!目を狙おうにもまだ私の【狙撃】レベルでは当てれないし……それなら槍で戦おうかなって!」


明良「そうか……じゃあ、一緒に戦うか!危なくなったら俺が守ってやる!」


おー、かっこいいこと言うな!彼氏らしい!


黄瀬「アキくん……頼もしい!」


そうこうあって俺達は三人で協力して大蜥蜴を狩っていった。


俺が扇状の火炎放射を両手から出して大蜥蜴を明良と黄瀬の方へ追い込みそこを二人が仕留めていく流れ作業だ。


そうこうして三人トータルで10匹程狩った時のこと──


メガホンの声が聞こえた。


『皆さん!大蜥蜴を倒したらこちらへ運んで下さーい!私達が解体しますのでー!』


声のする安全地帯の方を見るとそこには、メガホンを持った夏子の姿とその後ろにロープや出刃包丁を持った住民達が控えていた。


『それと、保健室の先生を連れて来たので毒を受けたり怪我をした生徒は【治癒】を受けに来て下さい』


そういい終わった後、夏子が俺達の方へ合流してきた。


夏子「調子はどう?私も参戦するわ!」


明良「こっちは順調!」


「というか、夏子が参戦するって言っても多分、大蜥蜴には矢は刺さらないと思うぞ」


黄瀬「銃弾が通じませんでしたし……」


夏子「さて、それはどうかしらね……」


夏子は弓に一本矢をかけもう一本手に持って次矢を控えさせながら構えた……


すると矢にバチバチっと黄色い電気のオーラが現れ

次の瞬間、目にも止まらぬ速さで矢が放たれ、次矢の一本も放たれていた。


すかさず矢の放たれた方向を見ると、鱗を貫いて能天に矢が突き刺さり痙攣して絶命した二匹の大蜥蜴の姿があった。


黄瀬「え!」

明良「やべぇ……」


夏子「どお?凄いでしょ。【雷纒(矢)】による雷のような矢は」


夏子は自慢気に言った。


確かに凄い。凄過ぎる


「あのスピードにあの威力、それに連射速度に命中精度……ヤバいな……」


大蜥蜴に決定打を与えれてないの……もしかして俺だけか?


「それなら俺だって、必殺技があるぞ」


俺はポケットから出すふりして収納から青剣を取り出した。


夏子「綺麗な青白い短剣だけど…これがどうかしたの?」


明良「これが必殺技とどう関係するんだ?」


「実はな、隠していたがこれは発掘品………じゃなかった。宝箱から見つけたマジックアイテムなんだ!持ってみろよ」


俺は明良に手渡した。


明良「うわっ!重ッ!何キロあんだよ!この短剣!」


驚いてる驚いてる


「10㎏だ!ちなみに俺だけは重さを感じない。俺だけが扱える短剣だ!」


明良「10㎏?嘘だろ!ステータスの上がった今の俺が本当に10㎏位に感じるんだぞ!絶対それ以上ある!」


まじで?


夏子「明良君貸してみて」


夏子が青剣を持った。


夏子「本当に重いね。でも本当に10㎏だとしたら私の力のステータス的に3、4㎏に感じるはず……確かにそれ以上に重いわね」


黄瀬「【鑑定】してみますね!えっと、短剣の名前は……《氷雪(ひょうせつ)》で、効果は"主人と認めた者には重さを感じさせないが、それ以外の者は等しく10㎏の重さになる"だそうです」


へぇ、《氷雪》って名前だったんだ。

色的に……いやっ

主人は雪のような軽さで他は氷の重さって感じか?イメージで


まぁ、今まで通り呼び名は青剣でいいや


明良「でも、それって他の人が扱えないだけで別に必殺ではなくね?」


夏子「……それは違うと思う。……よねっ涼夜君!」

黄瀬「そうなんですか?」


夏子はもう、気づいたのか……


「当たり。見てろよ……」


俺は近くをはっていた大蜥蜴に【青剣】を投擲した。



ドゴッッッン───


青剣は大蜥蜴の鱗ごと貫いて胴体に風穴を開け、下のアスファルトにヒビをいれて突き刺さった。


その突き刺さる音に一瞬周りが静まりかえり注目が集まった。


やっちまった……

もう少し加減するべきだったか



「やべぇなあの兄ちゃん……」「今何した?」


そんな声が住民のいる方から聞こえてくる……


俺はそそくさと青剣を回収して倒した大蜥蜴を住民の方へ担いで運んで行くと、おっさんやおばさんに「凄いなー」等と囃し立てられた。

そしてなぜか俺の方を睨んでくるあの口の悪い野球部っぽい生徒……


「いえいえ、そんな大したことは……このマジックアイテムのおかげです」


と、一応軽く説明をして夏子達のもとへ戻った。


明良「おい、涼夜今のなんだよ!凄いな」


「これが俺の必殺技だ!」


まぁ、短剣を投げただけだが……


夏子「質量が大きいのにそれを無視したように勢いよく投げれるからとてつもない運動エネルギーがあるわけね」


「正解!」


明良「ん?ごめん俺、物理わかんね……」


黄瀬「もう、アキくんったら!例えると他の人が砲丸投げで飛ばすような物を赤井先輩は大砲並みの威力で飛ばせるってことよ!この短剣だと」


その例え、分かりやすいな


明良「なるほど!それでそのマジックアイテムってどこで見つけたんだ?」


異世界の武器屋です


「マンションの駐車場だ………………ってそんなことより大蜥蜴退治だ」


はぐらかした


そうして、70匹程いた群れも遠征に出ていたパーティーが次々帰って来たおかげであっという間に退治し終わり、一部肉や鱗等の素材に解体された。


もう、夕暮れだ……晩飯食って風呂入って寝よ


そういえば風呂に入れる《癒し石》は結局一個だけか……

しょうがない!小さくなるが加工して男湯用と女湯用に等分しよう


「夏子ー、これ…………あれ?夏子は?」


等分した癒し石を渡そうと思ったのだが…………


明良「夏子ならもう行ったぞ」


黄瀬「今日の宝箱の件や鉱石の件の報告に会議室へ」


はー、忙しいな夏子は


「そうか、それなら代わりに黄瀬がこれを女湯に設置しておいてくれ」


俺は黄瀬に癒し石を渡した。





そして俺は男湯に癒し石を【溶接】して取り付けた後晩飯を食べに体育館前の広場へ向かった。

そして気づいた。


人が増えてる!


今までいなかったサラリーマンのような人達や作業服姿の人達、白衣やナース服を着ている人までいた。


昨日の夜、学校を中心とする住宅街の明かりに気づいて遠くのビルとかに立て籠ってた人達が命がけでここに向かってきたのだろう。

服もぼろぼろだ……



まぁ、人が増えるのはなによりだ。

食料ならまだ十分あるし、噂で他のパーティーもオーク肉や角兎肉を運んできたと聞いたしな……


俺は晩飯の配膳を受けとるとトレーの上には豚汁と焼き肉と白米があった。

俺は明良と黄瀬を見つけ隣に座った。



「それにしても、今日の風呂は楽しみだな」


癒し効果のある石の風呂だからな


明良「それなんだが…………涼夜が癒し石を設置してる時に連絡があったんだけど……今日、俺達男子生徒は風呂が使えないらしい……」


「はっ?!なんで?」


明良「今日避難してきた人が58人と多いからさぁ……その人達優先するらしい」


黄瀬「それに何日も風呂入ってないそうですからね……」


「そうか…………残念」



俺は晩飯を食べ終え水道で軽く体と汚れた服を洗って収納から違う服に着替えて10時頃に布団に入った。



今日も色々あって疲れたな……


そんな事を思い1日の振り返りをしていると思いだすあの指輪の件での恥ずかしい記憶


あー!恥ずかしい

恥ずかし過ぎて眠れねー!


───────


本当に眠れね……


別に、夏子の事なんか好きでも嫌いでもないただのパーティーメンバーってだけなのに

あれのせいで変に意識してしまう。


……ってもう夜の12時だ……

夏子ももう寝てんだろなー……


俺はふと《通信の指輪》の青いスイッチを入れて「おやすみ」と布団の中で小さく呟いた。


なにやってんだろ……


──『おやすみ』───


指輪から夏子の声が聞こえた



まだ起きてたのか…………

まさか俺と同じで指輪の件を思いだして眠れなかった……とか


……………………


なわけねーか、寝よ


俺は布団の中に深く潜り明日に備えて寝た。




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