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地球ダンジョン  作者: 涼夜
19/39

19、黄瀬のレベル上げ

魔物発生7日目───


生徒会室───


俺は朝食を済ませて一人で生徒会室へ来た。


コンコン…ガチャ


「おはよー夏子。銃の件はどうなった?」


夏子「おはよ。今日から本格的に【職人見習い】の生徒のレベル上げが始まる段階よ」


「そうか」


俺はパイプ椅子に腰掛け一息ついた。


「それより聞いてくれよ、明良のやつ昨日元カノとよりを戻したらしくて朝からその元カノに会いに行ったんだ。熱いよな」


俺は昨晩、明良から彼女とよりを戻したことをしつこいほど聞かされた。

おめでたいことではあるが、のろけ話に夜遅くまで付き合ったのでもう疲れた。


夏子「へぇ、良かったじゃない!どんな子なの?」


「夏子も知ってるはず。生徒会書記の黄瀬桃花って2年の女子 」


夏子「え!桃ちゃんだったの?!」


「ああ、中学の時に同じ陸上部にいた黄瀬に明良を紹介したのがきっかけで中学の終わりまでは二人付き合ってた」


俺が二人の仲を取り持ってあげたおかげで交際が始まったようなもんだ。

まぁ、元々どちらもお互い気になるような雰囲気だったからな。


夏子「へぇ。桃ちゃん可愛いいしいい子だから明良君とお似合いね」


「だな…………あっ、そうだ、それなら黄瀬も俺達のチームにいれてみるか?」


俺も黄瀬が真面目なやつだと知ってるし、チームに入れても秘密を守ってくれるだろう。

俺の秘密。


夏子「いいわね!さっそく二人を呼びましょ」


ということで俺はトランシーバーで明良に黄瀬を連れてくるよう伝えた。


─────

ガチャ


黄瀬「失礼します」

明良「来たぞー二人とも」


さっそく二人は生徒会室に来てくれた。


黄瀬「あっ、赤井先輩!お久しぶりです」


黄瀬は俺に気づいて律儀に挨拶をくれた。


「久しぶり。明良と復縁したんだってな。おめでとー」


黄瀬「ありがとうございます!それで私に何か用があるんですよね?」


夏子「えぇ。桃ちゃんに伝えたいことがあるの。私達はね──」


そう言って夏子は俺達の事について黄瀬に説明した。


俺が死んで神様にレアスキルと共に生き返ったこと。

そのレアスキルを使って私達は秘密のチームを結成して物資集めや家畜のことなどで裏で活動していること─等々


黄瀬は本当に驚いたようだったが次第に納得した顔になった。


黄瀬「……な…なるほど……今までの謎の協力者は赤井先輩だったんですね……信じがたいですが確かにそのスキルなら合点がいきますね……」


どうやら信じてくれたようだ。夏子が真剣な顔して嘘をつくとは思えなかったのだろう。


夏子「それを知ってもらった上で提案なんだけど……桃ちゃんも私達のチームに入らない?」


夏子は本当の目的を伝えた。


黄瀬「えっ!私ですか?!」


明良「いやいや!ダメだって!桃花に遠征なんて危ないだろ!」


明良が横から口を挟んだ。

大切な彼女に危険な事をして欲しくないのだろう。


黄瀬「アキくん……」


「明良……気持ちはわかるが、まずは黄瀬本人の希望を聞いてやれ」


俺は一応、言っておく。


黄瀬「私も遠征行ってみたいです!でも……Lv1の私なんかでは……足手まといに……」


夏子「大丈夫よ。桃ちゃん職業【陸上部員】で【身体強化】【槍術】スキルを持ってるじゃない!」


へぇそうなんだ……

確かに黄瀬は中学の頃、槍投げと走り高跳びが得意だったな……

というか槍投げが得意だったから【槍術】って……



夏子「それに銃があるから最初の内は簡単にレベルを上げれるわよ!涼夜君だしてあげて」


「はいっ」


俺は収納から拳銃を取り出して黄瀬に渡した。


黄瀬「これって昨日の会議であった銃ですよね!なんだ、匿名の情報提供者も赤井先輩だったんですか!」


夏子「そうよ!それでどうするの?チームに入る?」


黄瀬は一瞬迷い明良の方を見たが、明良が頷いて決心したようだ。


黄瀬「入ります!これからよろしくお願いしますね!」


「「「よろしく!」」」


そして俺達のチームは4人となった。


黄瀬「あっ、それと"チーム"って呼び方はもう古いですよ!今では、ほとんどの人は"パーティー"って言ってますよ。しかもパーティー名までつけて」


知らなかった……


明良「じゃあ……俺らのパーティーも名前つけとくか!例えば俺達の頭文字をとって……"モアリナ"とか?」


「だせぇ、モナリザかよ……ここはシンプルに"極秘機動隊"でいいだろ」

明良「それこそ中二くせぇー」


夏子「もう、パーティー名なんて適当でいいじゃない!」


黄瀬「もういっそクジで選びませんか!一人一つ紙に書いて」


黄瀬の提案でクジで決めることとなった。


結果

黄瀬が考えたパーティー名が当たった。

パーティー名【(いろ)

理由:皆名字に色があるから


適当すぎないか?


夏子「パーティー名も決まったことだし、さっそく桃ちゃんのレベル上げ遠征に行きましょうか!涼夜君銃弾のストックいくらある?」


「まだ100発分しか作ってないな」


夏子「100発か………それなら槍もあったほうがいいわね」


黄瀬「でも夏子先輩、もう陸上部の槍は誰かが持っていってしまってますよ」


明良「それなら俺が今から槍ぐらい作ってきてやるよ!」


明良がそう提案して実習場に走って行った。




三十分後─────


明良は槍を持って生徒会室へ戻ってきた。


直径3cm長さ170cm程の鉄の丸棒の先端が旋盤で加工して尖らせてあり、持ち手部分にグリップテープを巻き付けたような簡単な槍だ。


明良「桃花これを使え!」


黄瀬「アキくん……ありがとう!」


明良も彼女にカッコいい所を見せたかったのだろう。


俺の【加工】を使えばもう少しよくなるのだが……

俺が手を加えるのは少し野暮かもしれないな


「じゃあ、準備も整ったことだし行くか!俺に掴まってくれ」


そして俺達は学校から適度に離れた住宅街へ瞬間移動した。



──────

住宅街───


シュンッ


黄瀬「うわっ!本当に瞬間移動してる!」


驚いてるな


一瞬でこんな死体の転がる道に移動したからな。

というか人の死体もかなり腐ってきだしたな……

ここ最近暑かったからな……


「皆一応マスク付けとけ」


俺は収納からマスクを取り出して三人に渡した。


そして黄瀬のレベル上げが始まった。

黄瀬が魔物を銃で狙い、仕留めそこなった時だけ明良が倒す感じで進んで行った。

その間、俺と夏子は後ろで二人を見守った。


そして銃を撃つ黄瀬の横で明良が寄り添いラブラブカップルのようなイチャイチャした会話をして二人は楽しんでいた。

まるで見せつけるように……


後ろで見てる俺と夏子の空気が気まづいんだが……


夏子「本当にイチャイチャね……」


夏子が話しかけてきた


「ああ、中学の頃もあんな感じだったぞ」


夏子「へぇ、そうだったんだ……桃ちゃん全然中学の頃の事あまり話してくれたことなかったから知らなかったわ……なんで別れたの?あんなに仲がいいのに」


「なんか、明良が黄瀬と初めてキスした日の記念日を1日間違えてたらしい。それでケンカして仲直りする前にすぐ卒業式がきて……て感じかな」


夏子「えっ!キ、キス!?中学生なのに……」


夏子は少し取り乱したように言った。


もしかして夏子は物凄くピュアなやつなのか?


…………


そして俺と夏子は明良と黄瀬のイチャイチャラブラブな姿をもう一度見た。



「ラブラブだな……」


夏子「えぇ……ラブラブね…………でも少しイチャイチャしすぎよね!ちょっと注意してくる!」


そう言って二人に声をかけようとした夏子を俺は止めた。


「夏子待って!今日ぐらいは特別に許してやろう。長い間お互い想い会ってたのにすれ違いが続いてたんだからさ!」


昨日よりを戻したばかりなんだ。昨日の晩に明良が嬉し涙を流して語るほど黄瀬といれることが嬉しいのに水をさしてあげたくない。


「……それもそうね」


夏子も理解してくれたようだ。



そして俺達のサポートにより黄瀬は着々とレベルを上げていき昼になる頃には黄瀬はLv9になっていた。


黄瀬は【陸上部員】から【とび職】へ転職した。


というかどうして【陸上部員】の上位職選択の中に【とび職】があったのか不思議だ……

高い所を飛び回るからか?高飛び繋がり?

まぁ、俺の時も【危険物取扱者】の上位職に【ボマー】や【消防士】なんて繋がりが微妙なやつがでてきたしな……

気にしないようにしよう


それと黄瀬は第二職業を【銃士】にした。


拳銃をずっと使ってたから選択可能になったのだろう。


そして【高所耐性】【跳躍力強化】【狙撃】【銃術】スキルを手に入れたそうだ。


─────────

高所耐性SLv1

→高い所が平気になる。高い所から落ちてもダメージが軽減される。


跳躍力強化SLv1

→跳躍力が上がる


銃術SLv1

→銃を扱う技術に長ける


※現在はSLvを上げている

──────────


明良「じゃあ、昼になったことだし、昼飯食べに学校へ戻るか!」


「そうだな」


昨日の昼はオーク肉のしょうが焼きだったけど、今日はなんだろな。楽しみだ。


と思っていたのだが……


夏子「今日はそこらの住宅に入って昼を食べましょう!いちいち戻るのは手間だから」


と夏子が提案しそれに黄瀬も賛同したことでそうすることとなった。

1日に何度も瞬間移動すると頭痛が続くので、もしかしたらそれを考慮してくれたのかもしれない



俺らは荒らされてはいるが死体のない一軒家に入った。


明良「カップラーメンが台所にあったぞ~」


さっそく明良はカップラーメンを4つ見つけてきた。


黄瀬「ガスも電気も止められてるのにどうやって湯をわかすつもり?」


「あー、それなら俺がカセットコンロ持ってるから大丈夫」


俺は収納からカセットコンロを取り出して言った。


黄瀬「…………本当に便利ですね赤井先輩のスキル」


あきれたように言われてしまった。


夏子「涼夜君、一応、固定結界張っておいてくれる?念のため」


まぁ、食事中に背後から忍びよられたら怖いからな

一度ステータスに夢中になってた時に経験あるし……


「オッケー。固定結界」


リビングに2×2×2mの魔物だけ入れないようにした結界を張った。


黄瀬「…………」


黄瀬ももう俺のスキルの便利さに呆れて言葉にならないらしい


そして俺達は結界の中で"何日で死体は白骨化するのかな?"とか"今度は角兎(ホーンラビット)の肉を食べてみたいな"などの他愛もない雑談をしながらカップラーメンを食べた。



明良「はー食った食った!」


黄瀬「じゃあレベル上げに戻りますか!」


俺達は腹ごしらえも済ませ屋内から出た時のこと

夏子があるものに気がついた


夏子「ねぇ、皆。あれなに?」


そう言って夏子が指差した所にはブロック塀の隅に引っ付く10㎝程の翡翠色の結晶があった。


明良「なんだこれ?」

黄瀬「宝石?」


あっ、これはもしかしてギルドで聞いた─


「ダンジョンにできるレアな鉱石かな」


「「「ダンジョン?」」」


あっ、ヤバいつい口にしてしまった……


「いやっ、昔見た漫画でレア鉱石が発生するダンジョンがあったなって思いだしてさ!」


そんな漫画は見たことないが……

ごまかせたか?


明良「確かに……"ダンジョン"って今の地球を表すにはぴったりだな。魔物が発生するし……」


夏子「そうね!これからこの変わった世界の事を【地球ダンジョン】って呼びましょう!分かりやすいし」


はは……確かにダンジョンだしな……


黄瀬「じゃあ、これはダンジョンに発生した鉱石ですかね?」


「かもな。遠征終わったら、骨董品屋のおじいさんに【鑑定】してもらうか」


黄瀬「ああ、私のじぃじにですね」


「え?」


じぃじ?


夏子「えっ!あの人桃ちゃんの祖父だったの?!」


黄瀬「はい母方の祖父です。じぃじには小さい頃からよく骨董品について教えてもらってたので目利きには自信があるんですよ!」


そうなんだ……もしかして黄瀬の選択可能職業に【鑑定士】があったりして……


夏子「知らなかったわ……」


明良「まぁ、俺は知ってたけどな」


「そうなのか?」


黄瀬「中学の時にじぃじに紹介しましたからね!」


明良「懐かしいな~」


夏子「それより、もしかして桃ちゃん【鑑定士】って選択できたりする?」


夏子も俺と同じ点に目をつけたらしい。


黄瀬「あっ、はい。ありますよ」


夏子「もしよければ次の第三職業それにしてほしいな~……なんて……だめ?」


俺もそうしてほしい……


黄瀬「もちろんいいですよ!元々次は【鑑定士】にするつもりでしたし!」


夏子「ありがとう桃ちゃん!」


「それなら、それまで俺の収納でこの鉱石は保管しとくぞ」


明良「そうだな前のドロップアイテムみたいに特殊効果があるかもしれないしな」


そうして俺はホームセンターで手に入れたつるはしで翡翠色の鉱石をブロック塀からはがし落として収納した。



よし。午後からも遠征頑張るぞ!


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