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地球ダンジョン  作者: 涼夜
15/39

15、小学校

生徒会室───


夏子「用事も終わったことだし、遠征に行きましょう!」


夏子は生徒会室のドアに鍵をかけながら言った。


「「おう!」」


俺達は瞬間移動した。




志雄子小学校(しおこしょうがっこう)──────


俺達は小学校の下駄箱前に瞬間移動していた。


俺と明良が通った小学校だ。

いつも、あちこちから子供の元気な声が飛び交う活気ある学校だったのだが……


俺達の目の前にはガラスが割れ血飛沫がそこらじゅうに飛び散り、転がる少年の死体を漁るゴブリンの姿があった。


明良「くそぉっ!」


明良は静かに怒りながら目の前のゴブリンの首をはね落とした。


夏子「この様子だと……【学校管理】は働いてないようね……」


「かわいそうに……」


俺達は足元に転がる若い子ども達の死体をみながら学校内へと入っていった。


夏子「一応、立て籠っていないか確認し──」


そう夏子が言いかけた瞬間──


夏子の横に勢いよく襲いかかる赤い影──


「夏子っ!危ない!」

夏子「きゃっ!」


俺は反撃が間に合わないと悟りとっさに夏子を押し退け身代わりとなった。




ガキィーーーン…


俺は【バリア】に守られ響き渡る金属音とともにそいつは弾かれた。


明良「赤毛の狼…の魔物…!」


そう、夏子を襲おうとしていた正体、それは赤茶の毛並みの狼の魔物……しかも顎と口回りが金属でできているのだ。


夏子「あ、ありがとう涼夜君……」


俺達はすぐに武器を構えると鉄顎狼も警戒して距離をとった。


「あの牙……噛みつかれたらヤバそうだな……」


夏子「そうね……ここは三人で連携して──」


明良「いや!俺がやる!」


明良は刀を一本構え一歩前へ出た。


「大丈夫か?」


「ああ、なめるなよ!」


そう言って明良は鉄顎狼へ向けて刀を降りながら駆け出した。


ガキーンギギギガキッン


明良が降り下ろした刀を鉄顎狼は口で受け止め弾いて後ろに飛んだ───


強斬(スラッシュ)!」


明良は弾かれた後すぐに【強斬】スキルを放った──


ザシュッ


強斬が見事にヒットし、鉄顎狼の頭を真っ二つに両断していた


「達人みたいだ……すげぇ」


俺もこんなカッコいい戦い方の方がいいな……。物落としたり背後とったりするやり方より……


明良「すげぇだろ。涼夜と違ってSPを【剣術】【身体強化】に集中して使ってきたからな!」


夏子「ちょっと、お二人さん。もう一匹いるわ」


そう言って指差す方向には廊下の端にうろつく鉄顎狼の姿。距離約30m。


あっちも気づいたようだ。眉間にシワを寄せて向かってくる。


夏子「今度は私の番ね」


そう言って夏子は鉄顎狼の頭に向けて一矢─

それを鉄顎狼は横に避ける─

が、避ける所を予想してたかのように次矢が避けた鉄顎狼の能天に刺さった。


「「すげぇ……」」


鉄顎狼が魔石だけとなった。


「じゃあ、今みたいに初見の魔物に遭遇するかもしれないけど手分けして生き残ってる人がいないか探すわよ!」


明良「おう!」


「あっ、それならこれで連絡とりあおう!」


俺は収納からホームセンターで手に入れたトランシーバーを二人に渡した


「オッケー!」


ということで俺は北館を、夏子は南館校舎を、そして明良は体育館や倉庫へと別れた。


────────────


俺は遭遇するゾンビや大蜘蛛などを倒しながら回った。


一つ一つ教室を見て回るが、どの教室も血に染まり子供達の無惨な遺体が転がる。



辛い。

子供の遺体をみること

考えないようにしている俺の責任が頭をよぎることも。

精神耐性があるといえど……


だがそんな時は神様の約束を思い出して心を軽くした。

《気負うな》



「3階も誰もいないか……」


俺は深いため息をはいた。


すると─


「…………」「………」


上の階から声が聞こえたような気がした。


「人か?!」


俺はすぐさま4階へと続く階段をかけ上がった。


「これは……生き残ってる!」


4階の廊下にでる所に設置されたデカイ頑丈な防火扉が道を隔てていた。


これが閉まっているということは……

まぁ、まずは二人を呼びつけよう。




俺はトランシーバーで現在地を伝えて呼びつけると二人はすぐに来てくれた。


明良「ここか!立て籠ってるかもしれないって所は!」

「確かに、この奥から話し声が聞こえる……」


「ああ。あとは任せた。俺は一応【気配遮断】で影から見守っとく」


そう言う俺はすでにフード付きコートと日焼けマスクを装着していた。


一応、瞬間移動や物資提供の為に収納とかを見られても個人を特定されないためだ。


「おう!」

「わかった!」


そう返事をして夏子は防火扉をノックした。


ゴンゴンゴン


「開けてください!救援にきましたー!」


ゴンゴンゴン


「…………」


ガラガシャンゴゴゴ……キィ


するとデカイ防火扉に付いている小さい方の扉が開き中から教員らしき一人の男性が顔を覗かせた。


教員「……高校生?……まぁ、とりあえず中に入れ!」


明良と夏子を見て怪訝な顔をしたが中に入れてくれた。

俺には気づいてないらしい。


「はい」

「失礼します」

「……」


教員「奥のパソコン教室に他の教員が集まってるから付いて来てくれ」


そう言って俺達はその人に付いて廊下を進んだ。


窓はしっかり粘着テープや小さいホワイトボード等でふさがれ薄暗かった。

通りすぎる教室では生徒がだいたい40人ほどいたのが見えた。

どの子もぐったりしている。


教員「ここがパソコン教室だ。一応靴は脱いでくれ」


パソコン教室には絨毯が引いてある。

懐かしい教室だ。6年ぶりくらいか。

俺は入ってすぐ一応物影に隠れた。


「「失礼します」」

「………」


パソコン教室には教員らしき人が6人いた。


「よく来たね。…救援……に来てくれたそうじゃないか」


一人のはげた中年男性が言った。


夏子「はい。賀喜九軒工業高校から救援にきました。生徒会長の青景夏子と申します」

明良「俺は緑川明良です」


「はっ!本当はここに避難してきたんじゃないのか?ここには追加で二人を抱えれるほどの食料はないぞ!」


一人の教員がイラつきながら話した。


「こらっ!山根先生、態度が悪いですよ!」


はげた先生が言った。


夏子「安心してください。本当に救援目的できました。ところで魔物が発生してからここ数日食料はどうしてたんですか?」


「それなら、一階にある給食準備室から袋詰めのコッペパンを私達教員が命懸けでとってきましたよ……一名死者を出してしまいましたが……あとここはまだ水が使えるので」


「なるほど……御愁傷様です。……では本題にはいりますね。この中に校長先生はいらっしゃいますか?」


「ん?校長は私だが?」


そう言って名乗り出たのは今、話していたはげた人だった。


明良「よしっ!!」

夏子「やった!」


校長「どうしたのかね?」


夏子「まずはステータスから話しましょうか──」


そう言って夏子は

ステータス画面のこと

職業、スキルのこと

職業【校長】によって安全地帯を得られること等々を説明した。


「うわっ!本当だ画面が現れましたよ!」


「俺も!」「僕もです!」「私も……」


校長先生を初めとする教員方も次々とステータスを確認していき夏子の指示でそれぞれの職業を決めていった。


もちろん校長先生は職業【校長】にしてもらった。


──────


「これで学校は安全なのかい?」


夏子「結界がはられたのでこれ以上は魔物が入ってきませんが、元々学校内にいた魔物は駆除しないと……」


明良「おい!りょ……ん゛ん゛……親友!学校内にいる魔物を数匹生け捕りにしてきてくれないか?」


明良が俺に向かって言った。


なるほど校長と教員のレベルアップ用か……

確かに【学校管理】はSLv上がらないと電気、上下水道も使えないしな


「ああ、わかった。ついでに学校内の強い魔物は倒しておこう」


俺は返事をして物陰から出た。


「わっ!いつの間に!」「何これこれもスキル?!」「誰だ!」


声を出したことで教員達に認識された。


夏子「怪しい格好をしていますが、安心してください。私達の仲間です。訳あって匿名でお願いします」


「はあ……」


明良「それじゃ、お願いするわ!」


「わかった」


そして俺は瞬間移動をした。


教員もそれには驚いたことだろう。

まぁ、夏子がうまく説明してくれてるはずだ。


俺はその間、学校に残っている大蜘蛛や鉄顎狼を中心に手足を切り落とした生け捕り状態にしてパソコン教室へ連れていった。

大蜘蛛5匹、鉄顎狼4匹、ゴブリン8体を捕獲できた。


ギャゥギギギシャー


魔物達の鳴き声がパソコン教室内に響いた。

隣の教室にいる小学生達が怖がるだろうな……


「じゃあ、この魔物にとどめをさしてください。大蜘蛛は糸吐くので気をつけて」


俺は収納からホームセンターで手に入れた桑とブルーシートを収納から出して先生方に手渡した。


収納から桑を取り出した時は先生方は驚いた様子だったがいちいちつっこまないでくれた。


先生方は替わりばんこに魔物にとどめをさしていく……


明良「夏子、ここは任せていいか?今のうちに学校内の魔物を駆除しておく」


夏子「わかったわ。言ってらっしゃい」


明良「ありがと!じゃあいくぞ親友!」


そう言われ俺と明良は学校内を駆け回り学校内の魔物を一時間ほどで殲滅した。



それからの流れはと言うと─

・まずは【学校管理】のSLvが上がり電気、上下水道は使えるようになった。


・一度夏子を連れてカキ工に戻り、夏子のが放送で学校内にいる遠征チームに志雄子小のことを伝え、救援に向かうよう指示をした。


志雄子小までは約3㎞なのですぐに着くだろう。これで校内に散らばった遺体を今日中に片付けることができる。


・志雄子小に収納に入れていた食料と日用品などの必要物資を分け与えた。


・俺の【瞬間移動】と【収納】スキルについては内密にするよう約束させた。


・志雄子小もカキ工同様に畑を作ったりカキ工の生徒に移ってもらい安全地帯として最大限発展させることなどの話し会いをした。

───ということがあった。


そしてカキ工の遠征チーム達とカキ工の先生が志雄子小についたところを入れ替わりで俺達は志雄子小を去った。




お次は俺が通った中学校だ。



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