プロローグ
とある小さな村に8歳に見えない大人びた少年がいました。
その少年が5歳のころ、村から遠く離れた大きな国「帝都」ですら恐れられた魔女がやって来ました。
魔女の顔は帝都から送られてくる手配書によって村の皆知っていました。
そんな魔女は村人が怯えている様をみてこう言いました。
「死にたくないなら誰か犠牲になるものを呼んでこい。そうすれば他の村人には手を出さない。」
怯えて固まる村人達は村で一番若い5歳の少年を差し出しました。
少年は魔女に実験台になれと言われ呪いをかけられました。
その呪いはとても呪いとは思えない、体が大人になってしまう不思議な呪いでした。
そして、村から魔女はいなくなりました。
ですが村人達はどんな呪いをかけられたのかわからないため少年を恐れました。
それを知った村長は少年を自分の家で育て何か不審な行動をしたら村を追い出すと村人に言い村長の家で住むことになりました。
それから8歳までは剣術、拳術、弓術、魔術を特訓しながら村近くの魔物を倒していました。
村人はそんな少年をみて恐れるものはいなくなりました。
とある日、少年が特訓していると綺麗な歌声が聞こえて来ました。
声のする方へ行ってみると赤い髪、赤い瞳、綺麗な顔立ちをした15歳ほどの少女がいました。
村人達は彼女の前で座り綺麗な歌声を聞いていました。
そんな少女に少年は恋心を膨らませていました。
少女か村にきてから一ヶ月後、災厄が起こりました。
村を魔物から結界で守る教祖が深夜、何者かによって殺されてしまいました。
そして結界が破れたことに気が付いた魔物達が村を襲撃して来ました。
何かの意図かその日は村を守る警備隊の多くが遠征に行っていて村に残った警備隊だけではとても村人全員を守れる状況ではありませんでした。
少年は愛する少女を守るため三年間特訓した術を発揮しようと奮闘しました。
そして悲劇が起こりました。
村に来た魔物が最後の一体になった時、その魔物はあの少女の家の窓を壊し入って行きました。
すぐさま駆けつけると少女の左手はなくなり体は傷だらけになり死んでいました。
こちらを睨む魔物を刺し殺し少女の近くに座りました。
よく見ると少女の右手には手紙が握られていました。
その手紙の内容は少年へのラブレターでした。
両思いだったのです。
少年は泣き叫びました。
言葉にならない感情と涙が溢れ、立ち上がることさえ出来ませんでした。
そして少年は少女の手を握り誓いました。
死ぬまで君を忘れない、と。
二度と君以外を好きにならない、と。
そして二度と悲しまないよう人とあまり関わらない、と。
少年は旅に出ました。
小さな頃から抱いていた、夢を叶える為に帝都に向かいました。着くまで約1週間。
剣を持ち弓を持ち少年、ユキルは村出ました。