プロローグ
妹、それは神から授けられた人類の宝であり彼、坂口一陽が命よりも大切にしているものである。
だが神は、彼に試練を与えた。そう、彼には妹がいないのだ。もちろん、画面の中には妹はたくさんいるの
だが… しかし、無いものを作るのは難しい。親も年だし。だから、無いのであれば探せばいい、最強にかわいい妹を。
だからと言って3次元の人間に手を出すのはまずい、なのでゲームで最強にかわいい妹を探すことにしている。 そして今日もまた、最強にかわいい妹を探しにゲームショップに出かけている。
「今回はどんな妹と出会えるかなぁ グフフフ考えただけで笑いが込み上げてくるぜ」
人通りがいいところでつぶやいてしまったため完全にほかの通行人に変人認定されてしまっている。だが一陽にはとてもどうでもいいことだった。そんなことで頭を悩ませるくらいなら妹のことで頭悩ませたいからであった。 この考えからして筋金入りの変人であることは言わなくてもわかるだろう。
そんなこんなでゲームショップに到着。そして素早くゲーム選んでして購入して店を後にする。
今回のゲームはRPGで妹ヒロインで妹を救い出すという、言うなればドラ◯エのパクリといった感じのゲームである。
なぜこのゲームを買ったかというとすばらしく妹が可愛いからである。それ以外何もないともいえるが…
まあクソゲーだったとしても妹さえ可愛ければそれでよし、という考えを一陽はしている。
「よし、今日は徹夜決定だな」と意気込んだ。 完全に、ゲームと妹子としか頭になかったので、気が付かなかったが、前にギャルと清楚系女子が歩いている。女性が前を歩いているのは問題ないのだが、ギャルだというところに問題がある。なぜなら、ギャルは一陽が最も苦手とする女性の種類だからだ。一陽のギャル嫌いが始まったのは16歳の時妹好きがばれてそのときには、キモイや妹バカなどいじられ終いには、お前に妹いないだろと残酷な現実をぶつけてくるからきらいなのである。
「全国のギャルは破滅しろ」
言葉に出してしまったが罪悪感など微塵にもなく少しほんとになってしまえばいいのになど思ったほどである。
前を歩いているギャルたちは楽しそうに会話をしていてギャルに至ってはスマホをいじっている。
そのため、信号が赤なのに気が付いていない。トラックでも来たら確実に轢かれるなとか思いつつほんと
にそうなってしまえと一陽が思っているとほんとにトラックが来てしまった。
完全に轢かれると思った瞬間、勝手に体が動いてギャルを助けようと動いていた。自分でもよくわからなかった。なぜ嫌いなはずのギャルを助けようとしているのかと。わからないが仕方ない。体が動いてしまったのだから。
ギャルを引っ張って轢かれる範囲から引きずり出す。
「あ、やっべ」
今度は一陽が轢かれる範囲にいる。ここで死ぬのかと、一陽は悟った。だって無理じゃん。トラックとの距離はわずか3メートルくらい。この距離でよけれたらバケモノだ。そう思いつつ視線をギャルのほうこうにむけようとすると驚くべきものが視界に入った。あの清楚系女子である。彼女もギャルを助けようと飛び出していたのだ。
キィーとトラックがブレーキを踏むがもう遅い。体にドンとすごい衝撃がかかる。
一陽は思った。ああ今日買ったゲームの妹とイチャイチャしたかったなと。ギャルなど助けなければよかったと後悔で頭の中でいっぱいだ。
だんだんと意識が遠のいていく。 坂口一陽、18歳、この日、彼は人生という舞台の幕を閉じた。