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間違いだらけの異世界生活  作者: ニャンだ!
第一章 はじまりの物語
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第12話 ニーベルン城下町

 うっひょ〜、城の対岸に広がる城下町、その名も【ニーベルン】にやって来ました。


 それにしても、捻りのない名前だ。


 ニーベルン城に、ニーベルン城下町、もしかしたら、この辺りは、ニーベルン地方という呼称かもしれない。


 まぁ、そんな事は、些細で、どうでも良い事だ。


 何より、ここは、この世界に来て、初めての町だ!


 うっひょ〜、テンション上がるぜ!


 さぁ、飯屋はどこだ! 飯だ! 飯!


「ソフィア、嬉しそうね」

 レティーシアが、後から呼び止める。


 ふふふ、ははは、ぶははは、


 そう、レティーシアも一緒に来ているのだ!


 彼女の服装は、質素で、とても清潔感がある。

 顔は、庶民には知られていないので、姫様とはバレていない。


 だから、お忍びデートは、きっと、上手くいく。


「シアも、ソフィア様も、はしゃぎ過ぎだ」

 ちっ、辺境伯の息子も一緒に来ていた。


 しかも、シアだと、馴れ馴れしいぞ!


「もうっ、ジーク! ソフィアと私を一緒にしないで!」

 お互い愛称で呼び合う姿を、俺は、激しく睨みつける。


 羨ましくなんか、ないんだからねっ!


 この辺境伯の息子、名前は、ジークフリードという。


 道中、勝手に自己紹介してきた、しかし、なんだ、そのチートぽい名前。


 親父の名前を継いでハゲ太に改名しろ!


「貴様は礼儀を知らんのか」

 ジークフリードを睨む俺に、別の男が割って入ってきた。


 こいつは、朝食の時からずっと俺を睨んでいた。奴だ。


 俺の事が嫌いらしい……、

 ふっ、後で、殺るか……。


「エドワード、失礼だぞ!」

 そうだ失礼だぞ! 殺すぞ!

 ジークフリードが、更に割って入ってきた。


「お姉ちゃん、捕まえた!」

 俺の服が、袖から引っ張られた。


 お姉ちゃんは、今、忙しんだぞ!


 少しバランスを崩しながら、にかっと笑う少女の顔が目に入る。


 ジークフリードの妹の……、え〜と……、なんだっけ?


「クララよ! 早く、覚えて!」

 俺の表情で察した彼女は、口を尖らせながら、懇願してきた。


 え〜い、皆んな、騒がしいぞ、静まれ!


 こうして、ジークフリードの妹、クララが俺の袖を引っ張り、一同を先導していく。


「クララ、何処いくつもりだ?」

「美味しいお菓子屋さんよ」

 ジークの問いに、クララは、当然のように返事した。


「そうか……よし、飯だ! 飯を食うぞ!」

 ジークは、妹を完全に無視だ。

 お前の血、もしかして、B型か?


「私も、食事にするわ」

 しかし、ここは、俺も同意しておく。


「私は、いつでも、ジークフリード様に従う」

 神経質そうな男、えっと、エドワードだ。こいつも、飯派だ!

 

 これで、勝った! 飯派の勝利だ!

 多数決は絶対なのだ!


 不利を悟ったジークの妹は、レティーシアの方に駆け寄った。

「じぁ、シア姉様、お菓子を食べに行きましょ」


 お、ま、え、なぁ〜!

 まさか、兄弟揃って同じ血のB型だとぉ、協調性が微塵もねぇなぁ、おい!


「ダメよ! レティーシアと……、だけじゃ心配だわ」

 ふん、テメェに姫様が守れるのか、おい!


「ク、ラ、ラよ、クララ、いい、クララ、早く覚えて! じゃ、行きましょっ、シア姉様」

 クララは、レティーシアの袖を引っ張り始めた。

 ちっ、テメェら、B型は……。


 俺は、助けを求める為、A型認定(仮)のエドワードに懇願の眼差しを送る。


「さぁ、ジークフリード様、食事に行きましょう」

 エド、おい、エドワード、テメェ状況、理解してるのか?


 え? エドワードが勝ち誇った表情を俺に見せた。


 なるほど、ジークフリードと女性陣を引き離す事が目的か?


 それで、勝った気か、エドワード!


「……ちょっと聞いて」

「クララ、覚えた? ク、ラ、ラよ!」

 ジークフリードの妹は、なんか、一生懸命だ。かわいい、ちょっと欲しいかも。


「ねぇ、クララ、聞いて、食事した後、みんなで行きましょ」

 クララは、何か、考え始めた。

 もう一押しだ。


「食事の後で、みんなでデザートを食べましょ、きっと美味しいと思うわ」

 満面の笑みで、両手を広げた、さぁ、お姉さんの胸に飛び込みなさい。


「別にそれでいいわ」

 クララは、淡々と、俺の横を通り過ぎていく。


「ソフィア、君は、意外と落ち着きがないな」

 ジークフリードは、調子に乗って呼び捨てだ。

 エドワードは、苦虫を噛み潰したような表情だ。


 なんか、虚しい……。


「ソフィア、行きましょ」

 レティーシアは、俺の手を引いていく。


 こうして、俺たちの城下町見物は、はじまった。



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