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主人公物語  作者: でくすぎ こぼく
6/11

南の王国へ行くよ

 武藤さんが回復するまで、お城に仕掛けられていた盗聴器を取り外すことになった。

 高性能な発見器のおかげで、作業はスムーズに進んでいたけど、仕掛けられていた数があまりにも多くて結構時間が掛かっちゃった。


 何とか全て取り終えたところで、ちょうど武藤さんもインフルエンザから復活したよ。

 うなされていた間の記憶は無いみたいだったけど、体の色が元気なヘドログリーンに戻っていたから、体調は万全みたい。


 オイラは、シュウジンさんを追うために南の方に行く事になった経緯を武藤さんに話した。


武藤さん「なるほどな、事情は分かった。」

オイラ「変な人と出会っちゃったよ。」

武藤さん「あいつは昔から訳のわかんねぇ事言ってたからな。主人公を卒業したら何かしでかすとは思ってたんだ。」

オイラ「無責任なー。ちゃんと教育しといてよ。」

武藤さん「冒険のアドバイスは出来ても人間性の教育は専門外なんだよ。」

オイラ「もー。人間性の教育もしてこそ教育係でしょ。」

武藤さん「うお、痛いとこついてきたな。痛覚ねぇけど。」

オイラ「人様の為に働きたいなら、その辺の勉強もしないとだよ。」

武藤さん「この冒険が終わったら勉強するぜ。」

オイラ「その前にオイラを無事卒業させなきゃだね。」

武藤さん「お前もなかなか手が掛かりそうだ。」


「手無いけどね。」


西の大臣さん「急にハモるでない、びっくりするではないか。」

オイラ「でもこれお約束のパターンなんで。」

西の王様「手が無いことに早く気が付いておれば、やつを逃がさずに済んだのにのぅ。」

オイラ「作風上しょうがないよ。」

西の王様「それで、やつの行き先についてなんだが、実は目星がついておる。」

オイラ「何処ですか?」

西の王様「恐らく、南の王国にあるカジノに向かっておるのだろう。」

オイラ「分かりやすーい。」


西の大臣さん「南の王国には、まず我が西の王国の南にある『西の王国の南の港町』から船に乗り、南の王国の北にある『南の王国の北の港町』へ行き、そこから南の王国の南へ向かうバスに乗って、海岸沿いにある首都へと入るのだ。」

オイラ「ちょっと方角パラダイスで覚えらんないよ。」

西の王様「現在我が国で開発中の転送装置が完成すれば、一瞬で着いて楽チンなんだがなぁ。」


城内放送「お待たせしました。只今転送装置が完成致しました。」


オイラ「わーい、これで楽チンだね。」

武藤さん「このパターンもお約束だな。」

西の大臣さん「普通にいけば2日はかかる道のりだ。お主達は転送で先回りして待ち伏せするのだ。」

オイラ「オッケー。んじゃ行ってきまーす。」


 オイラと武藤さんは、転送装置を使うため開発室へと向かった。


「ようこそ主人公。オーバーテクノロジーであるこの転送装置を一番に使えるなんて、君は運がいいねぇ。」


 猫背のおじさんが不気味な笑顔で出迎えてくれた。この人が開発者の博士みたい。


博士「早速だが、使用料を頂くよ。」

オイラ「えー、お金取るの?」

博士「もちろんですよ。ヒヒヒ。」

武藤さん「いくらだ?」

博士「オブライ円です。」

オイラ「オ、オブライ円?」

博士「転送と言えばオブライ円でしょう。」

武藤さん「元ネタ分かるやつ何人いんだよ…。」

博士「とりあえず形だけ払ってもらえたら大丈夫ですから。」


 オイラはオブライ円支払った。


オイラ「これでいい?」

博士「大丈夫ですよ、ヒヒヒ。あと転送距離に応じてマイルズが貯まりますので。貯まったマイルズを使いたいときは言ってくださいね。」

オイラ「マイルじゃなくて?」

博士「マイルズです。オブライ円ですから。」

武藤さん「だから元ネタ分かるやついんのかよ。」

オイラ「何かわかんないけど、とりあえず沢山転送してもらうとポイントが貯まってハッピー?」

博士「ハッピーです。ヒヒヒ。」

オイラ「オッケー。ヒヒヒ。」

武藤さん「とりあえずさっさと転送してくれや。」

博士「そうですね。では装置の上に乗って下さい。」


 オイラ達は円形の装置の上に乗ると、未来的な効果音と共に南の王国へと転送された。

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