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主人公物語  作者: でくすぎ こぼく
4/11

ズルい武藤さん

 次の日。

 日射しと小鳥のさえずりで目を覚ますという、絵に書いたような清々しい朝を向かえたオイラは、隣の客間で寝ていた武藤さんと合流した。


 でも、この時オイラは変な違和感を感じていた。


 王様と大臣さんにお礼を言ってお城を出ようとしたとき、オイラはその違和感の正体に気が付く。


オイラ「武藤さん。」

武藤さん「ん?」

オイラ「武藤さんって、そんな色だった?」

武藤さん「ん?」

オイラ「いや、武藤さんってヘドロのような汚い緑色だったと思うんだけど、今は潰れたトマトみたいな赤色になってるから。」

武藤さん「なに、言って、るんだお前。俺、の心、はいつも真っ赤に、燃えて」


 べちゃ!


 武藤さんが急に潰れたトマトみたいになっちゃった!



「インフルエンザです。」

 ベッドの上でうなされている武藤さんを横目に、王様が呼んでくれたお医者さんが淡々と伝えてくれた。

 武藤さんインフルエンザうつされちゃったみたい。


お医者さん「ま、この方はスライムなので、人間より状態異常の耐性が高いですから。一日も寝てればすっかり治りますよ。」


オイラ「良かったね武藤さん、一日で治るって。」

武藤さん「あぁー。昨晩の、楽しい時間が、遠い日のように…。」

オイラ「こりゃ話になんないや。」

武藤さん「うん、オイラ、歯無しだよ。」

オイラ「駄目だって武藤さん、それオイラの口調だから。お互いの個性死んじゃうよ。」

武藤さん「え、オイラ死んじゃうの?嫌だよぉ、もっと世の中の為に働きたいよぉ。」

オイラ「駄目だよ、そんな自分だけ好感度が上がるような事言っちゃ。」

武藤さん「皆の幸せが、自分の幸せ…。」

オイラ「ズルい!」

武藤さん「Zzz…。」

オイラ「こんな状態だけどホントに耐性高いの?」


お医者さん「処方したのが元々人間用の薬ですからね、多少副作用が出ているのでしょう。問題ありませんよ。ま、お大事に。」


 お医者さんは眼鏡のズレを戻すと、颯爽と帰っていった。


 少し責任を感じていたらしい王様は、治るまで客間を使って良いと言ってくれたよ。

 そしてお詫びにと、また十万円もらっちゃった。

 オイラは十万円を握りしめて街へと繰り出した。


 何買おっかなーとワクワクしていたら、オイラより少し年上くらいの若者から声を掛けられたよ。


若者「君、主人公だね。すぐに分かったよ。なんせ僕も以前主人公をしていたからね。」

オイラ「へぇー。んじゃ先輩ですね。」

若者「ゼンシュウ・ジンコウという名前さ。ジンさんとでもコウさんとでも好きに呼んでもらって構わないよ。」

オイラ「シュウジンさん。」

シュウジンさん「よりによってそんな犯罪者みたいに呼ばないでくれよ。」

オイラ「オイラに何かご用?」

シュウジンさん「ふふ、当てようか?」

オイラ「え?突然なに?オイラが質問してるんだけど。」


シュウジンさん「教育係である武藤さんと些細な事で喧嘩をしてしまった主人公は、『主人公なんてもうやめてやるー!』と叫んで街へと飛び出した。」

オイラ「いや、もらったお金を握りしめて街へと繰り出したんだよ。」

シュウジンさん「飛び出したものの、これからどうしたらいいか分からず途方に暮れていた時に、以前主人公をしていた僕と出会う。」

オイラ「もぅ。妄想したら止まらなくなるタイプの人だよ。」

シュウジンさん「そして僕から、武藤さんは自分がモンスターであるが故に、人一倍人様の役にたちたい思いが強いというエピソードを聞き」

オイラ「また武藤さんの好感度上がっちゃう。」

シュウジンさん「心を入れ換えた主人公は武藤さんにお詫びを入れ、武藤さんも言い過ぎたと謝り、二人の絆は強まる。」

オイラ「面倒臭い人につかまっちゃったなぁ。」

シュウジンさん「そして僕に恩を感じた主人公は、手に握りしめていた十万円を僕に渡して次の地へと旅立つのさ。」


オイラ「良い話だけどさー、最後の部分に一つ引っ掛かる箇所が。」

シュウジンさん「十万円のくだりかい?」

オイラ「自覚あった!」

シュウジンさん「ははははは!ちょっとした話のアクセントだよ。いくらお金に困っている僕でも、まさか主人公からお金をせびるために近づいたとかそんなことは。ははははは!」

オイラ「シュウジンさんって今何をされている方なんですか?」

シュウジンさん「ギャンブルで生計を立ててる。」

オイラ「やっぱりヤバい人だった!」

シュウジンさん「十万円とは言わない、せめて五万いや一万円でもいい!頼む!」

オイラ「いよいよな事言ってきたよ。」

シュウジンさん「は、いかん!これでも元主人公、鎮まれ!我が心の悪魔よ!!」

オイラ「もう行っていい?」

シュウジンさん「行け!僕の理性が保たれているうちに!」

オイラ「うん、そうする。じゃあねー。」


 オイラはその場を立ち去ろうとしたけど、嫌な予感がして振り向いたら、今にもオイラに襲いかかろうと剣を振りかざすシュウジンさんとバッチリ目があった。


シュウジンさん「あ、いやこれは違うよ。誤解しないでほしい。君を襲ってお金を奪おうなんてそんな事じゃなくて、君の背中があまりにもお金に見えたから」


オイラ「主人公ビーム。」


シュウジンさん「ぎゃあー! 」

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