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主人公物語  作者: でくすぎ こぼく
3/11

西の王国にて

武藤さん「主人公、これはお使い先で別のお使いをさせられるよくあるパターンだ。」

オイラ「この後王様の様子を見にダンジョン的な所に行かされる?」

武藤さん「そうだ。そしてその初となるダンジョンの難易度で今後の冒険も左右される。」

オイラ「ダンジョン攻略って段々と難しくなるもんね。最初から大変だと次はもっと大変。」

武藤さん「そういうことだ。どうなるかは主人公であるお前の素質次第だな。」

オイラ「なんだか責任重大。」

武藤さん「この大臣とのやりとりは重要だぜ。下手したら、凶悪なモンスターとやらを退治しろだの、ついでにお宝取ってこいだの余計な事を言ってくるからな。」

オイラ「げー、そうなったら難易度上がっちゃうじゃん!」

武藤さん「そうだ。だからいかに余計な事を言われないかが注目されるところだな。」

オイラ「見所の説明ありがとう武藤さん。」

武藤さん「お前も前振りご苦労だったな。」

オイラ「よーし、んじゃ早速大臣に話を聞きに行こう。」

武藤さん「簡単なRPGであることを祈るぜ。頼むぞ主人公。」


 オイラは西の王国の大臣さんに話かけた。


オイラ「主人公でーす!」

西の大臣さん「行ってくれるか?北にある湖だ。」

オイラ「オッケー。」


 話はスムーズにまとまったよ。


武藤さん「見事なまでに余計な事を言われなかったな。」

オイラ「これは簡単そうだね。」

武藤さん「いやいやいや、余計な事を言われなさ過ぎて逆に怪しいだろ。」

オイラ「そうかなー。オイラの持ってる素質だと思うけどなー。」

武藤さん「いや、これは何かあるぞ。街でちゃんと下準備してから」


「ただいまー。」


 突然入り口の方から初老男性の声が飛び込んできた。


西の大臣さん「王様!ご無事でしたか!」


 王様帰って来た!


西の大臣さん「という訳だから北の湖には行かなくて良いぞ。だがそち達の心意気に感謝して、報酬はきちんと与えようぞ。」


 そう言って、西の大臣さんはオイラ達に十万円の小切手をくれたよ。


武藤さん「お前、持ってるよ。」

オイラ「でしょでしょ。」


西の大臣さん「それにしても王様、あの湖には近頃凶悪なモンスターが出没するという噂を聞いていたので心配しておりました。」

西の王様「あぁ、巨大なクラーケンがおった。」

西の大臣さん「大丈夫だったのですか?」

西の王様「うん。のしてやった。」

西の大臣さん「そういえば王様は尋常じゃないほど強うございましたな。ははははは!」


オイラ「湖にクラーケンっているの?」

武藤さん「普通は海にいるけどな。いいんだよそんなことは、ファンタジーなんだから。」


西の大臣さん「それにしても帰りが遅うございましたな。」

西の王様「おう、それなんだが、こやつがなかなか釣り上がらなくてな。」


 そう言うと、王様は嘘みたいに大きなクーラーボックスから、嘘みたいに大きな魚を取り出した。


西の大臣さん「これは見事なマグロですな!」

西の王様「だろう?クラーケンより、こやつとの格闘の方がよほど大変だったわ。」


オイラ「湖にマグロだって。ファンタジーだね。」

武藤さん「ファンタジーだな。」


西の王様「お、君たちは誰だね?」


 王様は、巨大マグロを指し棒ようにしてオイラ達にむける。

 片手で軽々とマグロを持ち上げるその腕は、初老とは思えないほどムキムキで、只者ではない雰囲気を醸し出してた。


オイラ「オイラ達は、真ん中の王国から来た使者です。密書を持ってきましたー。」

西の王様「おぉ、そうであったか。」


 王様はオイラが渡した密書に目を通すと、麻雀が中止になった事を知って少し残念そうにしてたけど、すぐに「ご苦労であった。」と労いの言葉をくれたよ。


西の王様「そうだ、せっかくだから晩御飯をよばれていきなさい。今日は大漁だったし、魚パーティーだ!」

オイラ「やったね!」

武藤さん「お前やっぱり持ってるよ!」


 こうして、オイラ達は宴に招かれた。

 宴のメインイベントは、何といってもマグロの解体ショーだよ。

 王様が手刀でマグロを解体していく様を見て、やっぱり只者ではないと再認識させられた。

 後で聞いたんだけど、この王様ってその昔、迫りくる数万匹のモンスターの群をたった一人で蹴散らして国を守った事があるんだって。

 ホント尋常じゃないね。


 兵士達がインフルエンザでダウン中だった事もあって、オイラ達は食べきれないほど魚を御馳走になった。

 そして信じられないほどフカフカなベッドを借りて眠りについた。

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