6つ目の詩 あの場所へ向かう人と私
No.85
1
2
3 あの場所へ向かう人と私
4
5
6 四つの街灯に囲まれた、
7 この石畳の広場に、
8 私はまた、
9 戻って来る事が出来た。
10 私の目の前には、長く長い、
11 階段が在り、
12 その前に、
13 彼は居た。
14
15 人々の見た、
16 彼の姿は、
17 動物の様では無く、
18 別の姿だった。
19 それは、
20 まるでこの世の者では無い様で、
21 それは、
22 まるで生命その物の様で、
23 それは、
24 太陽の様で、
25 とても眩しく、
26 人々には、
27 あの高く、
28 天まで続いている、
29 あの階段を
30 昇って行くのに、
31 相応しい
32 姿だと、
33 認識された様だった。
34 彼は、人々に語りました。
35 私は、
36 この階段を昇って行く。
37 もう一度聞く、
38 私と一緒に、
39 この階段を、
40 最後まで、
41 昇って行く気はあるだろうか?
42 (人々は頷きました)
43 それでは、
44 私は、
45 私と、
46 この私に付いて来る者達と一緒に、
47 この
48 道を
49 最後まで、
50 昇って行く事としよう。
51
52 私の見た、
53 彼の姿は、
54 白い獣の様であり、
55 その影は黒い獣の様であった。
56 それは、
57 まるでこの世の者では無い様で、
58 それは、
59 まるで欲望その物の様で、
60 それは、
61 まるで憎悪その物の様で、
62 悪魔の王の如く感じられた。
63 彼にとって、
64 私は、
65 あの高く、
66 地獄まで続いている、
67 あの階段を
68 昇って行こうとしている、
69 人々を、
70 止めに来た者と、
71 認識された様だった。
72 彼は、私に語りました。
73 この階段は、
74 欲望を肯定し、
75 憎悪を肯定する人々の為の、
76 愚者達の為の階段である。
77 この階段を、
78 昇り切れば、
79 誰でも、
80 我が王国に至れる。
81 (私は何か言おうとしました)
82 私と、
83 この私に付いて来る者達を、
84 そして
85 この道の正義を、
86 永遠を、
87 否定してはならない。
88
89 その人は後ろを向き、
90 白い階段を、
91 一歩、
92 また一歩と
93 昇って行きました。
94 そして、
95 彼の後ろには、
96 様々な人々が、
97 まるで、
98 死んでしまった人々が、
99 天国へでも向かうかの様に、
100 彼の後を次いで、
101 あの階段を
102 昇って行くのでした。
103 人々が
104 列を成し、
105 一歩、
106 また一歩と
107 この道を歩いて行く。
108 一段、
109 また一段と昇る度に、
110 より獣に
111 近づいていく。
112
113 もう、
114 私の前に
115 道は無く。
116 全ての人が昇り切った後に、
117 あの、
118 白く長い階段は消え、
119 辺りは暗く成り、
120 また、
121 あの時の様に、
122 雲が、
123 そして、
124 風や雨が、
125 辺りを
126 覆ったのでした。
127
128 石畳の広場に、
129 二つの街灯が在って、
130 それは、
131 なめくじの様に移動して、
132 互いに寄り添い、
133 一つに成った。
『6つの133行の詩』終わり




