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悪堕ち魔法少女になってみた  作者: ナイアル


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第十話:魔法の修行

「ばれた」

 今日も今日とて愉快な作戦会議の真っ最中、ディスクート将軍は開口一番そう言った。

 昨日のヒナギクの言動を見れば、おおよそ推測はついていた事態。

「でしょうね。何か言っちゃった?」

「いや、言葉では何も。強いて言うなら太刀筋、だな」

 いくら何度も打ち合ってるとは言え、そんだけで悟っちゃうヒナギクも、それがわかる将軍も、規格外だと思うんだけど。

「まあそれはそれでいいとして」

「そんな簡単に流していいのか?」

「……責めはいかようにも」

 バカ皇子がいらんツッコミを入れるもんだから、将軍がなんかもう死を覚悟した表情になっちゃってるんだけど。

 このままだとうっかり自刎しかねない空気にうんざりする。

 ただでさえ人材少なくて苦労してるんだから、無駄に減らすつもりはないんだってば。

「前倒しって話をしたときにも言ったけど、ばれるまでは一応想定内だからね」

 そう、ばれるまで「は」。

 さすがに初日でばれるとかその根拠とか完全に想定外。

 しかも――

「で、それ以降ヒナギクから何かアプローチがあったの?」

 早々に切り上げたってことは、喧嘩か戦闘か――なにかしら行き違いの物別れに終わったと考えるのが妥当なんだけど……それだと、その後の奴の言動が説明不能だし。

「いや、直接的には何も」

「次回以降の再会は約束したわけ?」

「あ、ああ。一応な」

「……じゃ、あの子が何か言ってくるまでは現状維持で。とぼけたりごまかしたりまでする必要はない、と思う。たぶん」

「いきなり雲行きが怪しくなったぞ。『たぶん』ってなんだ、『たぶん』って」

「うっさいわよ」

 呆れた顔のバカ皇子がふたたびいらぬツッコミを入れるのを、ひとにらみで沈黙させる。

 

 この先どう転ぶかはともかく、しばらくは様子見と言う名の中立を守ってくれそうだけど。

 問題は、未だに思惑の見えない光の聖霊が、そんなヒナギクを放っておいてくれそうにない、ってこと。

 お目付け役のレオンがどうにかなっているっぽいことを考えると、あんまり猶予はなさそうだ。

「とりあえずはコスチュームの手配を前倒しでしのぐとして……問題は魔法、ね」

 こちらからは手心を加えるとしても、ショーコや「もう一人」の方は容赦なしだろうし……槍がもーちょっと形になってれば悩まなくてすむんだけどなあ。

「あの子にも魔力を分け与えるのは可能?」

「不可能ではないが……いいのか?」

 そこで何でにやりと笑う……ああ。

「あんたにあの子はもったいないわね」

 ひらひらっと手を振って却下。

 うんまあ、正室候補がどーとかいうのは虚言だとわかっちゃいるんだけどさ。

「こちらとしても、それほど魔力に余裕があるわけじゃないしな」

 あたしの発言をどうとったのか、バカ皇子のにやにや笑いが止まらない。

 ……ちくしょぉ。


 その後バカ皇子を締め上げて吐かせたところによると――

 魔法を使うには「魔力を生み出す泉」→「生み出された魔力をためる器」→「器から魔力を汲み出す回路」→「汲み出した魔力を使用する能力」の四つが必要で、一口に魔法が使えないと言っても、そのうちのどれが足りないかは様々だそうだ。

 光の聖霊がやってた「貸し与える」というのは、やつが生み出した魔力を、コスチュームやアイテムを通してあたしたちの「回路」へと送り込むこと。

 この段階であたしたちが魔法を使えるってことは、「回路」と「魔力を使用する能力」に関しては問題ない。

 一方、バカ皇子のやった「分け与える」っていうのはその一歩手前。相手に自分の「魔力をためる器」を分け与えるという荒業だそうで。

 「器」がうまく形成されれば、「泉」はなくともとりあえず魔法を使えるようになるだろうという目論見だったらしい。

 ――が、実は『泉』が存在してたから補給を自前で行えているわけだ。


 ゲームのMPに例えれば、「MP自然回復」と「魔法の呪文」はあるのに「最大MP」が0だったから魔法が使えなかったとか、そんな感じだろうか。

 で、バカ王子のおかげで「最大MP」が増えたから魔法が使えるようになった、と。

 それで言い換えるなら、光の聖霊の道具は「MP代替アイテム」ってとこ?


 で、この「分け与える」という行為、術者の「器(=最大MP)」を文字通り分け与えてしまうので、本人は弱体化してしまうという諸刃の剣。

 

「……博打だったんじゃないのよ」

「魔法を使い続ければいずれ『器』は拡張するし、元の容量になるまで待てばいいだけではあるんだが……なにせ時間がかかる」

 今すぐってのにはちょっと向かないと。

「当然、もらってすぐのあたしが分けるってのも現実的じゃない、のか」

「俺とお前のどっちの『器』がこれ以上減っても不便なだけだろう」

「そりゃそうよね……やれやれ」

「後は……真っ当に魔力開発の訓練をしてみるか、か」

「……あるんかい」

「他はともかく『器』は鍛えれば大きくなるからな。とにかく一度魔法を使う手順を学習すれば、なんとかなる……まあ、ならんでも経験にはなるだろう」

「おい!」

 目をそらしたバカ皇子はとりあえず後で泣かすとして……魔法を使うための学習書とか、アーカイブに行けばあるのかしら?

 

 


・・・



「――というわけで、修行すれば魔法が使えるようになる訳よ」

 廃棄された水天宮跡――先日ヒナギクと将軍が稽古をしていた場所で、今度はあたしがヒナギク相手に講義をしていた。


 二人はあの後、三日に一回くらいのペースで稽古をしているらしい。

 らしい、っていうのは、一応将軍からの報告書の形で内容と今後の予定は受け取っているものの、直接二人の行動を確認してるわけじゃないから。

 ほかのお稽古ごともあるはずなんで定かじゃないけど、どう考えても「三日に一回」以上につきあい悪くなってる気がするし。

 まあそこはつっこんでやらないのが女の友情よね。


 今日はたまたま用事がないと言うヒナギクを、あたしがここに無理矢理引っ張ってきたというかっこうだ。


「枯れた泉、ですか」

「ってよりは、流れ込む池がなくてせき止められてるって感じ?」

「なるほど……」

 不安そうな顔であたしを見つめるてくる。

 光の聖霊の力で魔法の存在は理解してたにしても、突然そんな話されても信じられるもんじゃない。

 バカ皇子に魔力を与えられたあたしだって、自力で魔法を使えると発見するまで時間がかかったし、借り物の力以外を知らないヒナギクが戸惑うのもしかたないわね。

「信じらんない?こないだ使って見せたでしょ?」

「……あの奇妙な風は百合子さんのせいでしたか」

 ヒナギクに照れくさい告白を受けた後、あの土手の上での風は――まああたしの照れ隠しの一環だったわけだけど――ヒナギク以外には全く影響がなかった。

 風上に立ってるあたしの服が全くはためいてないんだもの、おかしいと思わない方が嘘よね。


「それで、『泉』はどこにあるんでしょうか」

 目を閉じて何かを飲み込むようにこくんとのどを鳴らしたヒナギクが、真摯な表情であたしを見つめる。

「ええっと……体幹を挟んで心臓のちょうど反対なのが一般的、だから、この辺?」

 自分の右手を「泉」があると感じているあたりに添える。

 本当に何かの肉体的な器官がある訳じゃないんだけど、そこから緩やかな魔力の流れがあふれているのは感じる。

 ヒナギクの体のちょうど同じあたりに左手をさしのべる。

 ふにょん。

 右手には感じない、その感触に目をむいた。

「なるほど、その辺ですか……って、あのう、百合子さん?」

「……ヒナギク、あんたまた大きくなった?」

「え?あ、はい。ですからその、手を……」

 しっとりと手になじむ柔らかさの中に、それでも力を入れるとしっかりと押し返してくる適度な弾力。

 つきたてのお餅とかマシュマロだとかいろいろ形容詞はあるけど、その程度では表現しきれない極上の感触。

 あのおっさんはこれを揉んだりすったり顔を埋めたりしてるというのか……許せん。

 思わずぺったんこの我が胸元と見比べ……いやいやいや、あたしの方が中学生女子としては標準だから!ヒナギクが規格外なだけだし!

「え、ちょ、いたっ、きゃっ、ああん!?」

 悲鳴の中に嬌声が混じりだしてるようなヒナギクの様子なんかお構いなしにもみしだく。

 この感覚は病みつきになるかもしんない。

 ぬう、やはり持たざる者は富める者に勝てないということか。

 これで、挟んだりこすったり……ぐぬぬ。

「やめてくださいっ」

 ひときわ大きい悲鳴とともに、あたしの手が弾かれた――

「え、あれ?い、いまのは!?」

 ――ヒナギクの胸の「内側」から。

 自分の中から漏れてくる奇妙な感覚におろおろとあわてだしたヒナギクの様子を視界の端にとらえながら、あたしの意識は闇に落ちた。


「ぐあああ……まだ痺れてる」

 目がチカチカして鼻の奥がツーンと……電圧青天井な違法改造スタンガンの直撃食らったと思えば、死ななかっただけましっちゃあまし、だけど。

「えっと、そのごめんなさい……今のが魔法?」

「あんたがブラの中に物騒なもん仕込んでんじゃなきゃそうだと思うわよ」

「そんなもの仕込んでません!大体、百合子さんの自業自得じゃないですか!」

 ヒナギクが激高した途端、彼女の周りにバシっと放電が発生した。

 予想はしてたのでとっさに張った障壁はかろうじて間に合ったけど……帯電したヒナギクの髪の毛がゆらりと広がる様は実に鬼気迫る感がして、思わず正座でお説教を拝聴する羽目に……。


「――ですから百合子さんは常日頃から……」

「わかった、わかったからまず魔法を制御する練習をしよう!」

 延々と続くお説教の最中も、ヒナギクがちょっと感情を高ぶらせるとばっしんばっしんとそこら中に放電が飛ぶので、近くで聞いているあたしとしては気が気じゃない。

 障壁を張り続ける訓練とでも思わないとやってらんないわ。

「そ、そうですね……ええっと、どうすれば」

 あたしの必死の説得と、周囲に点在している焦げ後を見て事態を悟ったヒナギクが、ようやく我に返った。

 これ、ショーコに魔法教えるときは火事に気をつけないとヤバいわね。

「あー……まずは、魔力を体の中に循環させる感じに?」

 アーカイブで調べた教本にはそう書いてあったけど、正直あたしにはよくわかんなかった。

 あたしのイメージに一番近いのは血液……というよりは水?泉からわき出てきたのが血管という太い流れに押されつつも周囲に染み通っていくような感覚だ。

 染み通った物が戻るのも、血液の循環というよりも、波が壁に当たって反射するようなイメージなんだけど……まあ、この辺はわりと個人差があるらしいのでどうでもいいところではある。

「気のようなものでしょうか」

「……ああ。それが近いのかな」

 そこで喩えにそんなものがでてくるあんたはどーなっとるんだと言うツッコミは心の底に封じ込めつつ。

 なるほど、気功なんぞを知ってると、イメージとしてはそんな感じかもしれない。

 何度も言うけど、本人が納得するのが大事らしいので任せてみる。

「では……」

 すぅっと目を閉じ、自然体で立つ。

 それまでの姦しさが嘘のように、静謐な空気が漂う。

 一息一息丁寧に呼吸する音に合わせて、彼女の胸がゆっくりと上下する。

 木漏れ日の中、目を閉じ静かに佇む美少女――それはさながら一幅の絵画のようで――似合いすぎてて微妙に腹が立ってきた。

 そのまま凪いだようにおだやかな時間が過ぎ去り、あたしがいい加減しびれを切らしかけたとき。

 ヒナギクがそっと右手を上にかざした。

 魔力がその手に集まっていくのが見える。

 もしかしなくても、これはブルーデイジーの必殺技、「ブルーサンダー」の予備動作……って、

「おいこらヒナギクちょっ待っ」

 目の前にはあたししかいないでしょーが!

 むう、やはりさっきの胸もみをかなり根に持っているということだろーか。

 とりあえず全力で障壁を張って必死に防御!

 通信阻害の結界内だと、コスチュームの転送コールもできないのは失敗だったかも……。

 ばりばりと空気を引き裂く音を立てながら発せられた雷は、意外にも見当はずれな方向の木の枝をへし折った。

「あら?」

 どうやらヒナギクにも予想外だったらしい、けども!

「『あら?』じゃねーわよ、バカヒナギク!あたしに当たったらどーすんだ!」

「百合子さんなら、この程度の威力耐えられるでしょう?」

「そらまーコス無しだとだいぶ減衰するっぽいし、否定はせんけどさあ」

 実際、枝をへし折る程度で終わってる時点で、全力時のそれとは比べ物にならない弱さ。

 それにしても標的にされてうれしいかと言われると、全力でご勘弁願いたいわけで。

「威力もですが、精度もかなり低下してますね」

「あたしはそんなことないけど……風は現象としては『遅い』からねえ」

 風自体もせいぜい音速だし、魔力を込めるのは空気の段階でいろいろやってるから、「タメ」がある分細かく制御できる。

 その点、電気は超音速どころか光速だから、制御できるタイミングと要求される精度や速度はけた違いでしょうね。

「ま、こっから先は工夫と鍛錬あるのみかしら……あー、冷や汗かいたわ」

 あたしのまわりに風を起こして汗をとばす。

 と、ヒナギクがうらやまそうに見つめていた。

「はいはいっと」

 奴の周りにもそよ風を送ってやる。

 名付けて全自動――全部自力でやる的な意味で――扇風機。

 お風呂上がりの火照った体をさますのなんかには重宝するんだけど、いかんせん魔力を食うのでまだまだ常時発動というわけにはいかないのが玉にきず。

 あとは、温度設定できるようになるとドライヤー代わりに使えたりして便利なんだけどなあ。

「なるほど、こういう利用法もあるんですね」

「微調整や細かい操作の訓練にもなる、と」

「一石二鳥なのですね。……雷では、なかなか難しそうですが」

 感心したと思ったら落ち込んだりと、なかなか忙しい子である。

「うーん……低周波治療器とか」

「なるほど!」

 いや、できるかどーかわからんけどさ。

「せめて出力の調整を完璧にしてからね。ガチで死ぬから」

「……ですねえ」



・・・



「もうっ、二人ともどこ行ってたの!」

 水天宮に張ってある結界から出た途端ショーコの怒り狂ったような……というか怒り狂った念話で呼び出された、いつものファミレス。

 ヒナギクと二人でケーキセットをおごってようやく落ち着いたところでこの質問。

 今ショーコの頬が膨れてるのはむくれてるんじゃなくて、ケーキを思いっきり頬張ったからである、念のため。

「どこって……ねえ」

「百合子さんに胸を揉みしだかれてました」

「っておい!」

 さらりと言い放ちやがったヒナギクのセリフに、ショーコが椅子ごとずざざっと下がる。

「し、知らなかった……ゆ、ユリちゃんにそんな趣味が……」

「ちょっとおちゃめな女の子同士の軽いスキンシップじゃないの」

「百合子さんにとってあれが『軽い』とすると、本気の攻めはどうなるんでしょうか……ごくり」

「ごくりじゃないっ!あたしはノーマルだっての!」

 怯えきったショーコと、韜晦ついでに引っ掻き回して遊んでるヒナギクを見やって小さくため息。

「……ヒナギクとちょっと秘密の特訓をしてただけよ」

「特訓しててどーして胸揉むことになるの?」

「……そこに胸があったから?」

 なおも食い下がるショーコに冗談交じりに返したら、ヒナギクの後ろに隠れてしまった。

 いや、ショーコ。たぶんそいつは我々の敵だぞ。

「あんたも触ってみりゃわかるわよ」

 そそのかすように顎をしゃくると、奴の手がそろそろと……

「あ、ちょっと薔子さん!?」

「おおおお!?」

 その感触に、ショーコも何かを悟ったらしい。

 悲鳴を上げるヒナギクにも構わずもにゅもにゅと揉み始めた。

 ……ファミレス中の視線が集中しちゃってるから、いい加減やめてやれ。



「……で、なにがあったのよ」

 一通りカオスが過ぎ去って、ようやく周囲の視線も遠巻きから無関心(みなかったことに)へと移行し始めて。

 あたしはドリンクバーのジンジャーエールをストローでずるずるとすすりながらショーコに目を向ける。

「ヒナちゃんとユリちゃんが、けーぶるてれび襲ってた」

「何か有名人来てましたっけ?」

「……だからあたしらじゃねえっての」

 こないだの続きとばかりアホなボケをかましたヒナギクはとりあえずスルーで。

「ま、ゆーめーじんではあるんでない?」

「私たちが?」

「『じえーたいを襲撃した悪の魔法少女』が、よ。どーせまた黒かったんでしょ?」

「うん、顔も隠してた」

 あたしにとっては確かめるまでもないことだけど。

「偽物、ですか……」

「完璧にあたしらの行動割れてるね。連絡取れない状態で単独行動してるとこに、偽物様登場ってわけだ」

「……そう、ですね」

「むむう」

 唸るショーコと対照的に、ヒナギクは複雑そうな顔。

 そりゃそうだろう。彼女には、どちらも「あたしが強引に引き離したとき」ってのはバレバレだし。

 これであたしの仕込みじゃないって考えるほどお花畑でもないわよね。

「で、戦ったの?」

「それがさー、武器も持たずに出てきて、鼻で笑われた」

 思い出しても腹が立つらしく、コップのふちをがりがりかじっている。

 デイジーのほうが武器を持ってないのは、実はまだ修理が済んでないだけなんだけど。

 というか、ヒナギクの武器が思いのほか早く必要になりそうだったから、後回しにしたのよね。

 リリーのほうは……本体が調整不足だからなあ。

「んで、こっちが仕掛けようとしたらそのまま逃げた」

 いらだちがピークになったらしく、うがああっと叫んで紙ナプキンを引きちぎりだした。

 ああ、もう。出入り禁止になったらどーすんのよ。


「結局連中が何しに来たのかはわからずじまい?」

「……うん」

 あれ?ケーブルテレビの人たちはショーコに何も言わなかったのかしら。

 特に隠すほどの話でもなかったと思うんだけど……ショーコが尋ねてないというオチが見えるわ。

「さてはあんた、聞いてないな」

「答えてくれなかったもん」

「敵が?それともケーブルテレビの人たちが?」

「……あっ」

 ほらやっぱり。

 てへっと舌を出すショーコに大きくため息。

「……ま、遠からずわかるでしょ」

 わからなかったとすれば、それはそれでいろいろわかるというものだ。

 探るようなまなざしのヒナギクからは目をそらしつつ。

 あと、ショーコ。いつまでヒナギクの胸揉んでるんだ。


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