古代惑星
惑星ザーを出発した私は、長距離ワープを使い、地球へ向けて旅だった。
惑星ザーと地球の科学の結晶とも言うべき宇宙船は、コンパクト化されている。
コンパクトゆえに、余裕を持って補給を行う、つまり補給出来る時は必ず補給する。
補給のついでに、調査も行うので出来るだけ多くの星で補給を行う事が求められてもいる。
第1目標にしていた恒星系に近づいようだ。
地球に似た水の惑星へとスイングバイ航法を加速と減速に利用して衛星軌道に乗り観測を開始した。
大地は深い緑に覆われ、海にはサンゴ礁らしき物があり陸の周辺が覆われている。
そして、巨大な生物。
そう恐竜に似た生き物が空に海に陸と存在しているのだ、まるで古代の地球である。
補給の為に着陸する場所をザーに探して貰い着陸した。
古代惑星のサイズはほぼ地球と同じではあるが、酸素濃度は地球よりずっと濃い。
この高濃度の酸素が生物の巨大化を促したのかも知れない。
地球の恐竜は何故絶滅したのかハッキリした理由は分かっていない。
隕石の衝突とは言われていたが、それでは説明出来ない点が有るからだ。
例えば、環境の変化に極めて弱いはずのサンゴ礁にダメージが確認出来ていない点などだ。
そして、水中以外の場所での巨大生物がその後の地球に出現していないのも謎である。
複合的な原因の1つで有るとは考えられているのだが………
古代惑星と比べると一番の違いはこの大気中の酸素が38%も有る事だろう。
現代地球は21%、古代地球最大時35%、古代地球30%以上(巨大生物時代の地球の酸素予想)、いかにこの星の酸素が濃いかが分かる。
因みに惑星ザーは20%だ、宇宙船内は、酸素が18%以下に成ると危険水域に達したと見なされ、対策をすることに成る。
古代惑星の巨大生物の中でひときわ目を引くのは首長竜の用な生き物だ。
首が長いと言う事は、肺まで酸素を運ぶのが大変なのだ、この星でなけれれば生きて行けないと思われる。
そして、首が長いと言う事は血圧がとんでも無く高いと言う事だろう。
首を下げた時と上げた時の血圧差はとんでも無いはずだ。
遺伝子サンプルの採取と共に、スキャンして見ると、巨大な心臓の周りには、タップリと脂肪が蓄えられていた。
更に首の血管には弁が有り、血液の逆流を防いでいる。
脳の一部は血圧を一定に保つ為に毛細血管の塊で勢いを殺して安定した血圧にしている用だ。
そして、昼も夜も休まず歩き続けている、恐らく足の巨大な筋肉が第2の心臓の役目を果たして常に歩き食べ続けているのだ。
マグロが酸素を得るために泳ぎ続けるのに似ている。
更に面白い特長は、体表面に近い部分の毛細血管が驚くほど細いと言うことだろう。
例えば、他の巨大生物と争ったり、何だかの方法で怪我をした時にこの特長は活かされる。
体表面の毛細血管が細いことで血が出にくいのだ。
もし、人間並みの毛細血管の太さなら、高い血圧を誇る首長竜ならば、僅かな怪我でも大量出血して死んでしまうだろう。
驚くべき生き物である。
名残惜しいが、補給が完了した用なので次の星へと向かうことにする。