現在地不明
夏休みに入ってダラダラとした生活が染み付いていたのだが、今日は朝食前に起きる事ができた。
前々から楽しみにしていた父の職場である土星ステーションの見学に行けるのだ。
俺に取っては初めての宇宙旅行が土星ステーションと言うのは想像していなかった、良くて月旅行といった感じだ。
これもナノマシーン適性一級だった恩恵かも知れない。
地球の静止軌道にある太陽系最大のターミナルでそのニュースは飛び込んできた。
全世界を巻き込んだ戦争
軌道ステーションからでも確認出来るほど炎が地上のあらゆる場所で起こり始めた。
幸運にも土星ステーションに向かう宇宙船へ乗りこむ事が出来たがこの宇宙船も攻撃されるかも知れないと言う恐怖で周りはパニックに成っている。
軌道ステーションの一部が爆破された!!
ほぼ同時に土星ステーションに向けて発進したおかげで難を逃れたかに思われたが………そうはいかなかった。
宇宙船が反動エンジンを停止させ、ワープに入るその直前に攻撃を受けたのだ。
複数のマイクロブラックホールを振動させてブラックホール膜を構築するその時である、物理的な攻撃ならばブラックホール膜に吸収されただろう、然し攻撃に使われたのは通信である。
ブラックホール膜の完成する前にウイルスを送りこまれたのだ。
結果、光の速度を超えるワープは停止する事が出来なくなった。
現代科学では、ワープ限界は三時間、それまでにコンピューターウイルスを排除出来なければどうなるか想像も出来ない。
本来で有れば、マイクロブラックホール膜に包まれ、三次元世界から四次元世界へと潜航し空間ごと移動するのだが。
この時、時間と共に無限に加速する。
相対性理論の示す用に、光の速さを基準として、光より遅い物質は光の速さを超える事は出来ない、しかし光より速い物質は、光より遅くなる事が出来ないのだ。
すなわち、マイクロブラックホール膜に守られ四次元世界へと潜航したならば光速から更に無限に加速されてゆくのだ。
三時間を超えるワープは光速を余りにも超え何処へワープ出来るのか現在不明で有る。
残念な事にウイルスを排除出来たのは18時間が経ってからだった。
現在地不明