第九話 他作品を参考にするな。
テンプレ、というか、パクリは絶対にするな。
特に書きはじめの初心者がこれをやって常習になってしまうと、ほぼ間違いなく潰れる。
三話で書いた理由と重なる部分もあるけどね。
パクリというと、某盗作検証スレなどでは厳密に『法的解釈の』盗作にあたるかどうか、という点で判断をしてくれて、だいたいは完全アウトの作品のみが盗作という扱いを受けることになる。
けれど、わたしがやるなという盗作の規定はもっと広範囲だ。
第五回で連想ゲーム方式の改造術は教えたけれど、あれは訓練の仕方だ。自分でイベントを生み出すための方法で、改造の目的が先にくるものじゃない。そこを勘違いしないでほしい。
わたしの規定でいえば、展開を似たようなものにすれば、それでもうアウトだ。
特に注意してほしいのは、最近読んだモノや観たモノは、絶対に参考にしてはいけないってこと。
無意識にも多大な影響を受けているし、類似品になる確率が高過ぎる。危険だからだ。
なろう作品を読んで、「わたしならこうする、」という動機で小説を書き始めたって人は多いだろうが、それをいつまでもやったら駄目なんだ。他の作品を見て、そういう思いを抱いたなら、メモだけ取って寝かせておくのが無難だ。
なんでしつこく言うかといえば、パクリは想像力を壊死させてしまうからだ。
脳みその仕組みってのは、『楽に流れていく、』という特性がある。展開に詰まったからといって、他作品を「参考にする為に覗きに行く」という行為をすれば、展開を回していくという能力が鍛えられない。
問題集を解いていて、解からなくなったからといって安易に答えのページを見ていたんじゃ、いくらやっても身に付かないだろう?
苦しんで、自分で捻り出すという行為を経なければ身に付かない。
最近の作者はプライドが無いのか知らんが、あまりに簡単に他者の作品を参考にしてしまう。詰まった、浮かんでこない、そんなのは当たり前だ。そこですぐに他作品を読むからパクリしか出来なくなるんだ。
パクリを誤魔化す小手先の技ばかりが巧くなる。借り物でしか物語が回せなくなるんだ。
他作品を参考にするってことを、わたしは軽く考えていた。
まさか、参考にして捻るという、そんな簡単なことが出来ない作者など居るわけがないとタカを括っていたんだ。実情で見れば、参考とパクリの区別も付かない作者だらけで愕然とした。
問題集がある。
公式と言うものがあり、例題が幾つも載っている。
参考とパクリの関係というのは、この例題集だ。例題が作品だ、参考にするべきはそこに使われている公式で、同じ公式を使って別の例題を作れと言っているわけだ。
それを、何をどう勘違いするのか、アホウなのか、ほぼ同じ例題の文章で末尾やら人称やら数字だけ変えて、はい、違う例題です、とやるわけだ。
お前はアホか。
公式を理解するために、その公式を使った別の例題を作れと言ってるのに、なんで同じ例題を小手先技で誤魔化す方法に走るんだ?
累計に載ってるランカーにさえ、解かってないパクリヤロウが混じって、それを賛美するアホウが大量に読者やってて、アホってのは本当に救いようがねぇな、と呆れている。
それを解からないフリで絶賛していれば、やがて本当に解からなくなる。グレーの区別が付けられなくなるから、近寄るな、という意味でプロを目指すならなろうは読まないほうがいい、とも言っておく。
曖昧な脳みそになるからだ。
(後に書くけど、曖昧な脳みそになることを防ぐために、矛盾や必然性には拘って書く方がいいんだ)
読者は残酷だ。
ただ面白いものを読みたいだけ、それがパクリだろうが、それやってる作者の未来が先細りしてようが、知ったことじゃなくって大絶賛を贈ってくれる。
だから、読者を信用するな、とも言っておく。
連想ゲームのやり方をマスターしていれば、展開に詰まるなんて現象は起きえない。
展開に詰まるのは、単に、自身がパクリに慣れていて、参考作品がないと先が自力で作れないからだ。
テンプレというものも、もちろん、参考に入っている。
プロを目指すなら、まず、他作品を参考にしないことから始めなければならない。
それは本来当たり前の創作姿勢だということも書いておく。
始めたばかりの新人は、他作品を参考にしないことには作品など作れたもんじゃない。
だけど、二次創作の矛盾した理屈と同じものだから、他作品を参考にするというその方法は早く卒業しないとダメだよ。