まとめ本題第五弾2「王道的ハーレム形態」
かの北方健三氏のエッセイを読む機会に恵まれた。
氏は、自分は女性を書くのが苦手である、どうにも似通ったタイプばかりになるらしい、と書かれていた。
著名なプロ作家ですらそうなのだから、シロウト作者が、特に異性を書くというのはなかなか難しい。
男性キャラと女性キャラ、どっちがリアルに書けるかを見れば作者の性別も解かろうというものだ。
(不幸にも生まれ損なってしまった方は除外)
では、本題。
女性というものを端的に表すならば、「感情の生き物」であろう。
フェミの方々が目くじら立てそうな事を言うが、女性をリアルに書きたきゃ、感情的に書けば良い。
行動理念は感情である。
感情が最優先。(笑
男性は不条理を前に立ち止まるものだが、女性はわりとあっさりと無視する。(笑
理屈を通そうとするのが男性。理屈をすっ飛ばすのが女性。
ハーレム作品を見て、女がこんな和気あいあい出来るわけない!と言っておきながら、逆ハー男が優柔不断女に愛想を尽かす、という理屈には目を背ける。
男の場合は両手に花でさえ許せないくせに、両天秤かける女に同情するのが、彼女等が感情の生き物であることを示している。
そして、若い、中高生男子も実に、女性同様に感情が優先である。
だから中坊男子は、ハーレムという構造に『ファンタジー(笑)』という自虐的見方をしない。
男性はある程度歳食ってくると、理屈で物を見るようになるから、モテも変容していく。
すなわち、ハーレムから寅さんへと。
次々と、美女と浮名を流し、シリーズ化していくのだ。後腐れない関係へと。(笑
中高生はハーレムも許容するが、そのうち「ふぁんたじー(笑)」となり、寅さん型ロマネスクへと変化する。
女性はこれがない。
まず、別れを次々繰り返す、という事そのものがレディスではタブーである。
それはプラスの要素ではなく、マイナスの要素なのだ。
男は、次から次へと渡り歩くことを浪漫と取るが、女はそうは取らないのだ。ここ、注意。
女の書く寅さん型は、別れた男が未練たらたらで付きまとってくる。ここが最大の違いだ。(笑
男は種もみで女は畑、という関係からそうなるんだろうと思うが。
女は、相手が単体だろうが複数だろうが必ず、「いつまでも変わらない心」が基本なのだ。
男性の書く女性像が薄っぺらい場合は、大抵の場合で、こういうロマンティスト成分が足りない。
なんだかんだ言っても、女性というものは永遠の愛を心のどこかで信じたいと思っており、男に肯定してほしいと思っている受動態な生き物なのだ。
女性読者に反感を買われる男主人公は、つまり、どこかで女の愛を裏切っているということだ。
この女の愛が、対象が広くモブの発したたった一言にまで及ぶから、注意が必要ということだ。
「誠実な男性が一番」という意見は、建前だけじゃないんだよ、と。(笑
「うる星やつら」がメガヒットの理由。
主人公諸星あたるは、浮気者で色んな女性キャラにちょっかいをかけることで、ハーレム漫画の形態を保っている。たくさんの魅力ある女性キャラが登場し、お色気シーンもふんだんに描かれる。そして、ラッキースケベを自然に叶える。あたる自身もまるで悪びれない。(笑
だが、あたるに本気で入れあげているのはヒロインのラム一人なのだ。
他の女性キャラはサブヒロインのしのぶでさえ、優柔不断であたるは本命ではない。(笑
別れが面倒になりそうな「重たい女」は一人も出てこない。(笑
ここに寅さん型ハーレムのパターンが混ざっている。
そして、ベースがギャグ漫画ということで、背徳感を払拭してしまっている。
主人公は男の欲望丸出しでも「一向に構わない」、気付かぬフリで誤魔化す必要もないのだ。
さらに、これも重要な点だが、本命ではないということで彼女たちは「何度でも」再登場する。
しかもヒロインは「何があっても主人公を見捨てない女神のような女」である。
主人公あたるの人間関係は、「男の願望を充足する理想的なユルさ」を満たしているのだ。
あれはまさしく理想的ハーレムの一形態だとわたしは思っている。(笑
主人公の男を本命に据えている女が複数いる、という形態で和気あいあいを成立させるなら、「女がいわゆるヤンデレ」というパターンしかないんじゃないか?とさえ思う。(笑
病んでいるから、周囲のライバルなど目に入らないという状況ならば、女同士が和気あいあいでもウソ臭くはならないかな。(目に入った瞬間に殺し合いだろうが)
うる星が秀逸なのは、他の女がすべて主人公を本命としていない、という点だ。
オイシイ関係を期待させる、アダルトな作品には付き物の展開だ。
男の願望としては、『本命扱いの女一名、重くないセフレ女多数』というのが理想じゃないかい?(笑
巧くやってる主人公は「まだ見ぬ本命女と本命候補のセフレ多数」という関係だろ。
都合よくヤらせてくれて、都合よく恋愛ごっこに付き合ってくれ、都合が悪くなればあっさり別れてくれるのが、理想の女たちだ。(笑
男性向けでの王道女性は、リアル女性が作者を嫌うような可哀そうな女、である。(笑
フィクションなのだから、「女性は読まないで。」とでも開き直って、欲望に忠実に書けばいいんであるよ。(笑
これを下手に女性読者の目を意識して、主人公をイイヤツにしようとすると、駄目ンズになる。
すなわち、ウソ臭いハーレムの出来上がりだ。
それを防ぐ為に、女たちもまた主人公に対してはキープ君程度の認識になっている、という事なのだ。
この構図を破って、本気女たちが和気あいあいなんてのを書くから「ウソ臭い女集団」になる。
ヒロインが他の男に色目使ってんのに、主人公がヘラヘラしてたらおかしいだろう。
主人公が他の女に色目使ってんのに、ヘラヘラしてるヒロインだって同じくらいおかしいって事だ。
キャラ設定に無視出来ない矛盾があるから、作り物の女になってしまう。




