第四十三話 評価用のテンプレ
まず、「面白かった」という評価の言葉は、相手をやる気にするので使っていいが、逆の「面白くない」という評価の言葉は無能すぎるので、批評を求められた際にエッヘンと使ってはならない。
「面白くない」と言われて、じゃあ面白くしようと考えたとして、どこをどう直せばいいのかがまるっきり見えてこない言葉だからだ。
相手を迷わせるだけなので、感想を求められた時には絶対に使ってはいけない。
(と言いつつ、その理屈に気付かんかった過去には、かなり使ってしまっていたよーな。(汗)
では具体的な批評はどのような点を見るべきか?
○タイトルが印象に残るものであるか、興味を惹かれるか?
(興味を引くタイトル。意識に残るだとか、耳に心地いい響きがあれば、まず成功。)
○タイトルは序盤にその意味を匂わせる描写が含まれているか?
(イメージが主人公にぱっと結びつく、など。ただし、終盤になって初めて関連するとか、タイトル自体が隠されたギミックになっていて気付けないとかもある。明確なイメージが涌く、など。)
○序盤の展開で作品の主要テーマや方向性が示されているか?
(「作者が」どんなストーリーを書こうとしているかが解かる。しょっぱなから作者の意図がブレていたり、意図が見えないという事がない。序盤で、この先の展開がある程度予想がつく。)
とりあえず、上の三点が揃えば序盤はクリア。
○作品の全体イメージが「別の誰かの作品」を彷彿とさせないか?
(これがあると、どんな賞に送ってもまず評価はされない。)
○代わりの作品として読める、似たような既存作品がすぐに思いつかないか?
(これがあると、以下同文。)
○文章自体が、言い回しなどで引っ掛かりなくスルスルと読み込めるか?
(情景が浮かんでくるか。朗読して、詰まることなくすらすらと読めるかどうか。)
○人称による視点の違いは統一されているか? 視点人物以外の視点による文章が紛れていないか?
(視点人物が変更されたことがすんなりと理解出来た上で、引っ掛かりなく朗読できるかどうか。)
○作品のメインテーマと、語り、文体がマッチしているか?
(作者の書きたいものが「カノジョが出来ました。」程度なのに、やたらと気取って仰々しい文体だったり、大掛かりなギミックで表現した結果がしょぼかったり、というミスマッチはないか。ミスマッチによる効果で笑いを狙うなどは、そっちが本当のメインテーマであるよ。)
○矛盾した事柄や設定があるなら、その矛盾を納得させる理屈は描かれているか?
○引っ掛かった言葉、疑問に思った設定や描写が、後に解決されているか?
(魔法の論理など、ジャンル全体で無視される傾向のあるものではなく、「その作品のオリジナル設定」に関わる理屈に破綻がないか、が重要。魔法などに、わざわざ理屈をつけているなら、その理屈は吟味しなければいけない。)
○戦闘シーンやラブシーンなど、目を引く場面には、ちゃんと必要性が設定されているか?
(ストーリーに関係しないシーンが入っていたら、そのシーンの存在そのものが疑問となる。)
○無敵や天才など、人物に付加される能力はちゃんと物語に関与しているか?
(スキル表示など、普通に考えて「あるという事に対して説明が欲しい」と思う事柄の設定理由は語られているか。また、その設定は「重要な」ギミックとして作品に関与するか。ただの思い付きでないか。)
○作品のメインテーマが途中で変更されて、作品のカラーが大きく変わっていないか?
○文体は最初から最後まで同じテンポと同じ描写率を保っているか?
(シーンによってマチマチになっていたら、描写が少ないシーンは描写不足と映る。地の文で描かれる背景などが常に一定である方がいい。意味もなく、書きやすさで変更したと思える箇所はないか。)
○ストーリーに関与しないくせに、思わせぶりなシーンや、期待させるような設定はないか?
(完結後に、「結局、あのシーン(設定)はどこに繋がったの?」の疑問が浮かばないかどうか。)
ここまで書いて、自分自身も非常にイタイ思いをしてるけど、だいたいはこんな感じ。
まぁ、知人同士で評価し合う場合の参考にでもしてやってちょうだい。(笑
自分でチェックするより、ヒトにチェックしてもらう方が客観性が上がるから。て、ゆーより、『誰でもある程度の評価が下せる』ようにする目的のテンプレだからね。
評価が欲しいと悶々するより、評価のテンプレを使って知り合い同士でチェックしあってみて。(笑
で、誰か、もっと精度の高い評価シートテンプレをお願いしやす。(私も利用したいし。)
本当に基礎的なチェック項目だけなんで、これで大丈夫!とかは思わんでくれ。
これをクリアした上で、個性というかオリジナリティとか作品の魅力が語られるって事だから。
追加捕捉:
「情景描写の有無」とか「始まりが世界観説明文章」とかは、テンプレ項目には入れていない。
狙って情景を入れずに効果を演出するという事もあるし、世界観説明がダメってのは、よくあるテンプレ異世界作品の場合は「似たよーなセカイなのにわざわざ説明する必要なんかないだろ、」という事で、よくある世界観でなければ、これまた充分に効果として狙える手法だからだ。




