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第四十話 複雑な読者心理Ⅱ

なろうに限らず、他の投稿サイトや商業ラノベには一人称が目立つ。

これにも理由があるだろう。


ラノベ読者層は「自信が無い」、そしてそれは言い換えれば「疲れている」。

だから、世界的な問題や社会問題などで思い煩いたくないと無意識には感じている。いや、プライバシーの感覚が強くなり、無遠慮に入り込まれる事を嫌う。断りなくそういう問題提起を聞きたくないのだ。


彼らはそういったモノを感じさせない「狭い範囲に収まる話」についつい食指が動いてしまう。疲れたくないのだ。だから、ゲームもMMOは廃れ、ソーシャルゲーに移行した。

MMOは人間付き合いやレベル上げ作業など、「疲れる」のだ。明確に、自身が欲する要素以外の付属を嫌うようになった、とも言える。


小説に話を戻す。


暇潰しにちょっと読める話を求めているかというとそうではなく、本心は従来通りの凄い話を欲している。ただ、その凄い話には、出来れば「降って湧いてきてほしい」と思っている。だが、その反面で、「突然お説教されるとムカつく」のである。


軽い気持ちで読み始めた話が、わくわくする、素晴らしい話に変化する事を期待している。それも、説教臭い寓話やら、問題提起にかかる主義主張などが入っていない物語だ。

そういうモノはそういうモノを読む気分の時以外には読みたくない。土足で入られたと感じる。


かるい気持ちで読み始められるモノが良いのだ。

だから、テンプレの似たような始まりは、彼らの望むところだ。そこから素晴らしい展開になればいい。


普通の読み方をする読者にはだから理解出来ない。似たようなスタート、似たような展開、ダラダラと続くだけで何が面白いのか。

実は、彼等も気付いていないが、本当には面白いなどと思ってはいない。(笑


負け惜しみで面白いと言ってるだけで、面白いという言葉の内容、実態はない。

株式の投資家と同じ、損切り出来ずにウダウダと読み続けているだけだ。面白いからじゃない。株価のチェックと同じことだ。読み続ける言い訳に「キャラがいい」とか言ってるだけだ。

無理やり、その作品の長所を見つけてそれで溜飲を下げているだけだ。一つ二つの長所なら、どんな作品にだってあるだろうに。(笑


彼らがなぜそうするかといえば、もし投資した作品が面白くなれば、彼等は自分の「見る目」という価値評価を自分に与えることが出来るからだ。

そういうゲーム要素を見出している。スコップで掘り出すことも同じ感覚だろう。

だから、点数のないマイナーと実は同じ程度の面白さしかない、と認められない。

ところで、面白いという評価はどう付けるかといえば、それはポイントだ。株式投資と同じだから、本人は「面白いから選んだ」わけではない。勘で、「面白くなりそう」なモノに狙いを付けただけだ。

「面白くなりそう」と「面白い」はイコールではない。


彼らは最初、気軽に読めることを基準に読み始めている。その部分だけを見て、「面白くなりそう」を判断している。

だが、そこは「テンプレ」なのだ。下駄履いた部分だ。(笑

見本を見ながら書いた部分で判断しているのだから、どちらかと言えば駄作になる確率の方が高い。

だが、ポイントは上がる。ゲーム感覚で株投資する人の数に左右され、実勢とは乖離する。株の世界じゃよく聞く話だ。彼らはそのポイントを自信の源泉としている。(笑


彼らは自身の評価を、作品の今後に賭けている。

だから、駄作、凡作であっても「面白い」と言うのだ。小説の評価は総合であるというのに。

起承転結全部揃ってのものだ。けれど彼らは、序盤だけで判断したとしても、その作品を「買った」から、「面白い」と評価しているのだ。


彼等はそこに自身の価値を置いているから、「面白い」と言い張る。

しかし、その固執は「自身が見つけた」というコダワリだから、他人には共有されない。同じなろうというサイトで、ポイントに釣られて「自分で見つけた」と思っている人々には共有される。仲間意識だ。

アマゾンなどのレビューでは、共有がないために扱き下ろされる。


だから、テンプレでなくては彼らが評価しない、という意識は間違いである。(笑

テンプレが気軽に読むには適しているから、多くの読者を引き寄せるということだ。テンプレを使わずとも、気軽に読める工夫があれば読者は付く。(すぐにパクられてテンプレ化するが)




なろう主流に読んでもらいたいと思うならば、「気軽に読み始められる」序盤を作り上げねばならない。

ちょっとだけ興味を引き、それでいて不安を与えてはいけない。

だから、多くのウケる作品の主人公は能天気な自信家だ。(笑


説教くさい寓話と政治的主義主張も社会問題も扱ってはならない。・・・最初は。(笑

これはなろうだけに限らず、ラノベを目指す方はみんなそうだ。


彼らは単に「土足で入ってくるな」と言っているのだ。

そういう込み入った事情を、知り合って間もなしに相談する奴はDQNだろう?(笑


だから彼らは、ゲーム方式にしたのだ。自身も土足で踏み込まないために。ルールを設けた。

ゲームだから、自主的に評価を付けたのではない、という言い訳が立つ。何度もいうが、彼等は「自信がない」から、評価を付けることそのものがおこがましいと考えている。

作品を、途中で切ることも出来ればしたくない。だから、グダグダでも我慢する。展開がスゴイモノになれば、素直に喜ぶ。自身の評価もあるが、それ以上に「応援スタイル」だということだ。

だから、「初めて書きました」てな作品がランキングに躍り出る。むちゃくちゃ多い。(笑


そして、普通の読者が凄いと思う作品ほど敬遠する。(笑


応援の要ら無さそうな、本当に巧い人ほど、人気がイマイチになってしまう。(苦笑

内輪ウケのグループに入れない作者や作品は、軒並み相手にもされず、評価も付かない。


応援したいと思う作品を作る、ということが肝心なことだ。

なぜ一人称か、が抜けてしまったよ・・。(苦笑


一人称は主人公の見ている範囲しか見えない、という制約があるという事は書いた。

つまり、主人公の周辺以外は観たくない、という事の現れなのだ。

土足で入り込まれるという読者の感覚は、心の準備である。

最初はごく狭い主人公周りの事情から始めて、慣れたら、世界規模でも宇宙規模でも付き合ってやるよ、という意味なのだ。

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