表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/66

第三十七話 小説のプロット(前半読まなくて大丈夫)

プロットは造り慣れていないと始まらない。

無くても書けるだろうが、あえて短編のように短いストーリーでも作ることを心掛けた方がいい。


多重構造なら必須となる。

まず、主人公に何をさせるか、いやもう最初はテキトーでいいよ。どうせ跡形なく消える。

ハーレムを作る、にしよう。ただし、これはただの起点だ、こだわりは捨ててほしい。


主人公の性格だの名前だの、この時点では必要ない。決めてはいけない。


ざっと大まかに、主人公が辿る物語のアウトラインを設定する。

ハーレムをキーワードにすれば考えやすい、ただし、ハーレムという設定はただの足がかりだ。

ランキングに超メジャーなのがあるね、あれを思考のベースに使わせてもらおう。どうせ跡形もなくなる。(笑

異世界で奴隷でハーレム作る? やっぱ金が必要だな、ダンジョンに潜ろう。


ダンジョンか、どんなダンジョンにしようかな。(←ここから脱線)

主人公に何をさせるか、という目的探索は頭の片隅に置いてあるかい?

どんなダンジョンにしようかと考えつつ、ここに主人公の目的をリンクさせられないかと探る。

ハーレムは綺麗さっぱり消し去って、「ダンジョン探検ものとかいいんじゃね?」とワクワクするといいよ。(笑


大事なのは、自分だったらどういう冒険をダンジョン舞台で繰り広げたいか、だ。

あるいは、どんな冒険をしてる理想の男(理想の女)を見たいか? だ。

主人公は理想像を置くのが一番楽なんだよ、1から作る場合にはね。(笑


女にモテモテで強くてクールな男主人公がいい! となったら、さあ、ダンジョンで何をさせる?

ナンパか?(笑


謎解きをさせた方がクールだろうが。(笑

ミステリーを解決させるんだ、そのダンジョンでは何が問題になっている?

モテモテ強くてクールな主人公が解決するに相応しい事件を考えるんだ。世界の破滅を救ってみようか。

何も浮かばないなら、誰か登場させてみよう。ヒロインがセオリーだろう。何処に居る?


ダンジョンの中だったら、なぜそこに彼女は居たんだろう?

ダンジョンの外だったら、彼女が居る場所はなんなんだろう?


なぜそこにと考えるのが難しそうなら、外という事にしておこう。ダンジョンで冒険というコンセプトをひとまず棚の上に放り投げておけ。(笑


彼女が居たのは、村の広場ということにでもしとこうか。

村とダンジョンは近い場所かも知れない。ダンジョンはどんな影響をこの村に与えている?

やっぱり困ってる設定でないとこっちが困るね。(笑


こんな具合に、先に「起きるイベント」を考えていくんだ。

あるいは前の回、ゲーム制作の方法と同じでいい。


一本の道筋が出来たら、ここからは小説の特殊な事情を組み込んでいく。

小説はゲームと違って分岐は出来ないからね。(笑


レイヤーを重ねることは同じだが、性質が違ってくる。

一本道の上には、テーマだとかコンセプトのレイヤーを重ねていくことになる。


具体的にいこう。


女性向けのストーリーなら、逆ハーレムが王道だ。

相手は魔王様とか。


一番下にくるレイヤーを完成させる。ストーリーの大筋だ。

んー、テキトーにストックした中から(惜しくないのを)引っ張ってくるぜ。(笑

よくあるありきたりなストーリーだ。


ヒロインは召喚されて勇者と呼ばれ、王都へ引っ立てられる。

王様に謁見、仲間と引き会わされて、魔法使いの女の子一人と、選りすぐりの騎士たちを与えられる。

お仕事は「魔王退治」。

訴えによれば、小さな山村がいくつも魔王の配下によって全滅させられている。

魔族が来て疫病を流行らせ、領地が全滅してしまったと地方領主も訴えている。


「人はか弱く、痩せた土地に住まう。魔族が遊び半分で人を殺しに来るだけでもいずれは国が滅びよう。

どうか根源である魔王を倒して人々の不安を除いてほしい。人も、魔族に勝てるのだという希望を与えてほしい。蹂躙されるばかりではないと知らしめてほしい。」


魔族は天空に住まう。天に浮かぶ巨大な大陸。

塔を登り、魔族の住む国へ。

門番が二人、天を突く一つ目の巨人。総力賭けてこれをようやく倒し、門の中へ。

魔将軍イケメンが出迎えて、あっという間に叩きのめされ全員が捕らわれる。

魔王に謁見。ゴツイ、コワイ、デカイ、の怪物大王。

勇者であるヒロイン以外は全員先に解放されて国へ戻ったと聞かされる。

ヒロインは、門番二人に暴行した罪を問われることに。あの門番死んでねーのかい、とガックリ。

さいわい死んでなかったからねー、と意外と呑気な魔将軍イケメン


誤解を解かれる。タネ明かし。

滅ぼされたという山村は、付近に山賊がいてソイツ等が魔族に罪を着せてるだけ。

疫病は旅人が運んだが、もともと領主の酷い搾取で民衆は弱り切ってたからトドメ。

責任逃れで領主が嘘をついただけ。

王様も国民にせっつかれたからヒロインを召喚しただけで、今頃は吊し上げ食らってる。

魔法使いの女の子も騎士たちも国民の前で吊し上げられるだろう。

帰してほしいと願うが、裁判あるのにそれは無理、と拒否られる。

ヒロイン、地下牢から脱出。岩の隙間を見つけて洞窟へ。たった一人で塔を抜けて、王都へ。

危険の度になんか運よく助かる。(実はこっそり助けられてる)


王都へ帰ると、さっそく捕まってしまう。なぜか国民に裏切り者呼ばわり。

地下牢へまた繋がれて、そこへ魔法使いの女の子が登場。逃がしにきた。

「ごめんなさい、帰ってくるとは思わなかったの。貴女は一人、わたし達には家族がある。家族や一族郎党にまで類が及んでしまう。まるで歯が立たなかったと知った国民は怒り狂い、その原因を要求したの。王様は苦し紛れに、勇者が裏切って魔王の配下になったと嘘をついた。まさか帰ってくるなんて、生きているなんて思わなかったの。赦して。」

逃がすために、地下牢の隠し通路を使って、外へ。

魔法で一気に人里離れた場所へ。路銀を大量に渡して。「これで、どこか遠い国へ逃げて。」


なんか長くなったな。まぁ、こんな感じでストーリーだけ。

これがベースの一番下になるレイヤーね。まだありきたりなストーリーでしかない。何もない。(笑


ここへ、第二のレイヤーを重ねる。

「テーマ」だね。

魔族に悪役は出さない。じゃ、王様を悪くしちゃおう、となるとありきたりな王道だ。(笑

ここは人間側にも悪役は居ないことにしちゃおう。

けど、なにかの「悪」がないと、悪い結果は生まれないわけで、ここではそれを「民衆の愚昧」に据える。熱狂する民衆は、時に愚かだから、いくら国の偉いさんが踏みとどまろうとしても無理ってのが歴史上ではよくある。下地のレイヤーにも少し組み込んであるね。


魔王と謁見の時に台詞をいれよう。これがテーマになる。


「天空の島は豊かだ。人は痩せた土地に住まう。だが、人が豊かでないのは人に原因がある。足るを知らず、誰もがどんどん子を産み育てる。痩せた土地に住むと知っていて産む。減ればそれだけ土地にも余力が生まれよう。それでも産み続ける。隣人が産めば自身も産みたい。不公平だと産み続け、そうして痩せた土地に住まう。土地が足りぬと産んだ子を殺し合う。産む者産まぬ者に分けて管理すれば良いのに、それは不公平だと殺し合いを選んだのは人間だ。」


更にレイヤーを重ねてみよう。隠しテーマになる。

魔族は魔族で、これは完全な管理社会だ。子を産み育てるには資格が必要で、産める身体があるのに社会体制のせいで子を持てない者たちが存在するという不条理をあぶりだす。

人の世は自由平等だから痩せていて殺し合う結果に、魔の世は豊かで平和だけど見せかけに過ぎない。

それは隠しテーマだから、注意してれば気付くような形でレイヤーにしてストーリーに被せるんだ。

読者全員に気付いてもらえなくてもいい、というくらいのギミックだ。

これを、バックボーン、空気感で表現してみよう。文章で工夫することを考える。

三人称、人間世界の人々の描写と魔族世界の人々の描写に明暗を付ける。そこにある文明を対比に使えば、地の文の背景描写でもテーマを匂わせられるはずだ。


この、第三のレイヤー、隠しテーマよりもそのギミックを構成する為の文章技法が、作品を「よくある王道作品」から抜け出させるための味付けになるわけだ。


小説のプロットは、絵画の重ね塗りのような感じだ。お絵かきソフトでいうなら、最後にレイヤーは結合されて一枚にならなければいけない。

ゲームのプロットは、力量との相談になるから容量に気を付けるのが第一になる。削るための造り方と言ってしまってもいい。分岐を管理することが主目的の設計図だ。

小説ってのは、特にアマチュアならば文字数はあまり気にかけなくていいから、エピソードやイベントの数を気にする前にテーマとなる重ねレイヤーを組み込んで、余分を切り落とすという方向になるわけだね。物語だけ作ってしまい、先の展開に煩わされないで文章に集中するための設計図、という事だ。


複雑なストーリーを組むなら、かように立体的になってしまうのでプロットは必須であるよ、という話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ