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第三十二話 人物で魅せるまでの下準備

人物造形、ああ人物造形、されど人物造形。

キャラクターの造り方なんて話題で話を引っ張れとか言うのが土台無理ですだよ。(笑


人物が魅力的になるってのは、最初の登場シーンなんかじゃねーですからな。積み重ねだ。

言葉と動作の一致具合だとか、喋る理屈の難易度だとか、そういった事で人物像は決定される。


キャラに付属の能力設定なんてのはオマケに過ぎない。掴みということだから、もちろん重要ではあるが、設定の内容よりむしろ魅せ方が大事だ。

人気を、人物や作品の出来のバロメーターにするのは難しい。

人気は序盤の書き方に左右されてしまう要素であり、人物の魅力とかストーリーの魅力とかは、残念ながらここ「なろう」では特に、あまり評価されない。

序盤でトップに躍り出た作品以外は読まれない、という事を念頭に置かねばならない。


序盤が10点で、物語が進むにつれて竜頭蛇尾に尻窄んでいって終盤が2点の作品があるとする。

序盤が2点で、物語が進むにつれて八面六臂の大活劇になって終盤が10点の作品があるとする。

序盤が良い作品は1万人の読者が付くが、終盤の良い作品はせいぜい1000人だ。

それがなろうという場所だ。

それがなろうという場所だと、絶対に忘れるな。


読者が付いた時、その読者が「更新時に切らずに読み続けてくれているか?」が、作者の測るべき真のバロメーターとなる。覚えておいてほしいのは、「人物なり物語なりに魅力がある作品は、更新頻度が低くても読者は切らない」という事だ。

だから、作品に魅力を感じてもらうまでは、なんとかページを繰ってもらわないといけない。


手っ取り早いのは、物語に「ミステリー」を織り込むことだ。

「誰が?」と「なぜ?」だけで、人物に魅力が足りない分の補強をしてくれる。読者が疑問に引き付けられて読み進めている間に、人物の魅力描写を完成させるわけだ。読者が、ミステリー自体とキャラの行く末でハラハラさせられ、のめり込むことになれば作品としては上出来だ。

一般文芸では常套的に使われる手法だ。


逆に言うと、一般文芸を読む読者は普通はそういう読み方をする。

序盤のうちにテーマの片鱗なりと見て取れないような作品なら、私だったら読み進めないね。(笑


テンプレ作品というものを、私がほとんどお気に入り欄に入れていない理由でもあるが、序盤の流れがほぼ一緒であるということは、逆を言えばテーマや作者のカラーとして見た時に、独自の色を見出しにくい、ということであるわけだ。

似たような出だしで、似たようなイベントが続けば、模倣作品と見なして、独自のテーマなどないのだ、と断じてしまうという事だね。同じような作品なら別に読みたくはない。

テンプレ利用にはそういうリスクがある。

(だから新人賞などでは投げ捨てられる第一の基準になりやすい)


先入観が植え付けられてしまうので、多少、テーマらしきものがあっても「こんなものか、」という評価を下してしまう。気軽に読めるという言葉の意味が、読者にとっては『頭を使わずに済みそうだ、』という事であるなら、その作者の弱点は「斬新な視点に立てない」という事になってしまう。

間違わないでほしい。商業で「斬新だ」と言う時は、読者視点の意表を突く事であって、設定などアイデアの奇抜さではない。(それも含むが、アイデアなどほとんど役に立たないと言ったはずだ)


テンプレ否定をしている私だが、読書の際に何を求めるか、という事の違いに過ぎない。

「頭を使わずサクッと読める暇潰し」が目的だからという意見を聞くが、私はただ単にそういう暇潰しは読書以外で事足りる、というだけのことだ。そういう暇潰しの為に読む小説なら最初から読みたくない。頭を使わない暇潰しなら、それこそテレビやネットの方が安易だから、そっちに行く。


何かを得たいと思うから読む、というスタンスでしか読書をしないだけだ。

読後に何も残らないのであれば、読んだ時間が勿体なかったと思うタイプの読者なのだ。 




私は自身のVRMMO作品でテンプレと銘打って詐欺を働いている。(笑

テンプレの「スキルや威力のパラメータ数値」を無視して「ゲームシステムの在り方や未来社会の構造」やらを重視し、テンプレ要素を蹴り出してやったからだ。あの作品は完全にSFだと胸を張る。(笑

VRMMOモノをSFのジャンルに入れるなと吼えるSFファンにもご満足頂ける仕上がりに・・・と、自負できない残念な出来栄えに終わったんで憤懣やるかたないのが実際だが。orz


残念ながらVRMMO系の作品は多くがSFファンの求める要素を持っていない。

未来社会の細々した設定よりも、スキルやパラメータの細々した設定に汲々とし、現存するMMOと何ら変わり映えしない、未来感も何もないゲーム仕様に、何の説明もないメカニックだからだ。

バーチャルリアリティという「名詞」以外には何らSFと冠すべき未来色もサイエンス設定も見当たらない。カテゴリエラーだろ、と思うものばかりだ。

(それが悪いというわけじゃない、なろう読者はSFを求めているわけじゃないんだろうから。ただ、SFを探している者にとっては目障りなだけだ。)


けれどまぁ、読み手に回った時の感覚を思い出したら、そういう読者のニーズも仕方ないと思えるんだ。

未来社会がどんなでぇー、なんて個人の妄想は別に時間割いてまで聞きたかねぇ。(笑

「わたしが考えた未来社会」と題したコンクール用作文みたいなもんだったら、わざわざ読みたくはないと思う。親兄弟、親しい友達ででもなければ。


興味を引く要素とは、『ミステリー』であり、『人物』なのだ。どんなジャンルに措いても。

そして、個人的趣向でSF世界が心地良かったり、ゲーム世界がしっくり来たり、ファンタジーが心安らかだったりで、それらは「登場人物たちの会話を聞くための椅子」のようなものなのだ。


ここまでで今回の課題は解かってもらえたろうか?


確実に読者を掴む為の注意点。


1、『ニーズを考えテーマを嵌め込む』

読者層を絞り、どういうニーズに応えたいかを絞る。読者層は年齢層ではない、読者が求めるテーマである。なろう人気ならさしずめ『さっくりと読めて重くない、多くの人と共有できる作品』だ。

注意すべきは、テーマの数が増えるごとに読者数は減るという点だ。テーマが増えればマッチングの読者も増えると考えがちだが、実際は減ってしまう。作品と読者のニーズがブレてしまうからだ。テーマの複数化、マッチングは難しい話だからまたいずれ。


2、『言葉と行動をもって人物像は評価される』

人物を魅力的に書くには、縦軸に思想を横軸に活動を置き、言葉と行動がその範疇からブレないように注意しなければならない。悪人は魅力的ではないが、破滅思考は魅力的に映る。偽善者は魅力的ではないが、頑固な堅物は魅力的に映る。描写を一つ間違うと正反対になる。


3、『初登場で立ち過ぎたキャラは既存の誰かを彷彿させる』

序盤で人物の魅力を十二分に引き出すなどプロの大家ですら難しい。いきなりキャラ立ちし過ぎた登場を果たせば、既存の誰かを彷彿とさせてしまう。まるで通行人Aのようにひっそりと現れ、徐々にその人物として存在感をアピールする事が望ましい。この技を使えるようになれば、「特徴を付けずともキャラを立たせられる」ようにもなる。(一般文芸のキャラはアレコレと特別設定など付いていない)


4、『序盤の興味はミステリー要素で引っ張れ』

初登場で人物が目立てないと、序盤のインパクトが弱くなる。主人公も登場時はさりげなく場に存在すべきだからだ。人物で読者の目を引く事が出来ないから、別の要素を使って読者の興味を引かねばならない。その役割にうってつけなのが、「ミステリー要素」である。


まぁ、こんな感じだね。(笑

序盤と人物のキャラ立ちの関係については、4つの注意点に留意して欲しい。

なお、1~4の項目は主に一般文芸に見られるもので、ラノベだとまた違っていたりもするだろう。

《言葉と行動》

行動の反対語は思索だそうなので、本来は「思索と行動」となるのだろう。意味的には『言ってる事とやってる事が一致するか?』程度のものと理解してもらいたい。

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