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第二十話 視点変更は新人賞じゃタブー

今、じっくりと取り組んでいる作品のほうで、面白い事が起きたんでそれを題材にするよ。


えー、作品は『情景描写好きに捧げるファンタジー』、これ、出入りしてる2chの企画競作用で情景描写に特化した作品ね。

三人称神視点の逆版、「誰にも寄らない視点」で書いている。つまり、そうとう古い時代のハードボイルド風の書き方。客観視点、とでもいうかね。見えていること、行動のみの描写を主軸に、内面描写は極力抑えるって方向を取っている。

一話毎に視点が寄りかかる人物を決めて、その人物以外の内面は描写しない、という制約も付けている。

第二話なら、視点は「客観視点」と「アレン視点」しかないはずだ。(微妙かも知れんが)

(この客観視点ってのにまごついてしまって、誰かに寄らない中立の描写ってのが、自身でまだ扱い切れていない。)


さて、面白いことが起きたのは、詰まってしまって執筆が止まっている第五話だ。


そこまでに、ストーリーでヒロイン、アリーシャ視点寄りになって回想シーンに突入した。(三人称ハードボイルド視点ってのは、ダブルキャストとか多人数主軸がやりやすくていいんだが。)

視点であるアリーシャ以外の人物は、行動や表情、台詞のみでその内面を書かなくてはいけない。

んで・・・公爵が登場したんだけども・・・。

うっかりと、視点が彼に移ってしまったんだ。orz


読み返して発覚する急激な視点変更。違和感。(笑


例えば、それまでの自作品、ゼウス・エクス・マキナなんかはそんなのあまり気にもせずに三人称だからと視点をガンガン変えておったのよ。(笑

ところが、今回のは最初から視点変更を押さえて書いているから、違和感がハンパないことに。

困った、かと言って、なにが悪いのか解からない、という事で2~3日は原因が解からなくて悩んでいた。

で、エッセイの方をちょこちょこっと更新して、人称についてのおさらいをして、ようやく気付いた次第だったりするよ。(笑


違和感の原因。

アリーシャの回想中だというのに、「他者に視点変更されて書かれた、他人の内面描写がある」という事だよ。


で、ようやくアリーシャ視点を外し、三人称客観描写で公爵の内面描写に変更した。(まだ微妙なトコだが)

こう説明してもよく解からんだろうから、改定前と改定後の問題の部分を抜き書きしておくよ。(笑



《改定前》

 公爵は驚いていた。

 こんな年端もゆかぬ小娘が、自身の術中に落ちてもなお抗ってみせた事に、感動すら覚えている。嫌な場面に出くわした娘だ、すぐにこの場を離れたいと思っていた矢先に偶然出会ってしまっただけの。面倒にならぬうちにと、強引に押し切ろうと"気"を充てた。


 目の前の少女は、その表情はこちらを知っているようだった。だから、術を掛けた。

 視線に、表情に、仕草に、僅かばかりのキーワードを織り交ぜる。あとは少女が勝手に意識を高ぶらせ、勝手に恐怖を増幅し、勝手にくずおれるのだ。ほんの少し、暗示を与えてやっただけだった。


《改定後》

 公爵は驚いた様子で目を僅かに見開き、次いで細めた。

 こんな年端もゆかぬ小娘が、自身の術中に落ちてもなお抗ってみせた事に、感動すら覚えている。微かに、彼の口元には歪んだ微笑が浮かぶ。嗜虐的な唇から、白い歯が見えた。

 剥き出しの殺意に当てられ、娘は怯む。


(中略)


 少女の浮かべた怯えの色は、その表情は公爵の正体を正しく理解している。アサシンの首領、恐ろしい人物という評価を。だから、いとも容易く術に落ちた。

 視線に、表情に、仕草に、僅かばかりのキーワードが織り交ぜられている。少女は勝手に意識を高ぶらせ、勝手に恐怖を増幅し、勝手にくずおれたのだ。ほんの少し、暗示を与えてやっただけだった。

 恐怖に震えるか細い肩を公爵の冷酷な瞳が見下ろしている。逸らさない視線に賞賛を贈るように。



もっと中立した状態で書かないといけないんだろうけど、難しかった。

内面描写でやれば簡単な部分を、内面描写を使わずに書ききるという事は本当に難しい。けれど、視点変更が使えない以上、その書き方はなにがなんでもマスターしておかねばならない事だ。

客観的な描写のみで、その対象人物の内面まで書ききるということだ。一人称作品でも三人称作品でも、重要なのはむしろ視点人物の内面描写よりも、それ以外の人物の描写、ということになる。


それが出来なければ、賞においてはタブーとされる「頻繁な視点変更」という悪手を使わざるを得なくなる。今回、感想欄で情報を頂いたが、やっぱり新人賞などでは視点というものは変えないことが基本とされているらしい。


つまり、例題で挙げたような、客観的な描写で人物の内面を表現するというテクが必要となるわけだ。

しかもなろうに投稿する場合、例えば、曇り空でその人物の不安な心理を現すだのといった、「お約束」は通じない。

悲しい、と思っている人物を表現するに、内面描写で直接的に「悲しい、と思った。」以外の手法が必要になる。曇り空を見上げている、では、読者の多くにはその人物が悲しいと思っているとは受け取られないと、わたしは思う。

表情や、行動の描写で表すしかない、んだろうなぁ、と。orz(苦手なんだよ)


表情から推測される事柄を客観で書くのはOKなはず、なんだけど・・・。

思っている、と断定を書けるのはこのシーンではアリーシャだけなんだよね。客観で公爵の内面を予測することは出来る。その為に、表情や動作で予測の裏付けを表現しないといけない。


うーん、三人称における客観描写と対象以外の内面、まだ理解が足りていませんな。スマンです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 視点変更は全然大丈夫でしたよー 視点がばらけても面白ければいいそうです
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