表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十二章—偽りの人
97/194

96 偽りの人

ライヤ大天使長が翼を打ち鳴らし、七色の光粉を降らせる。白い長杖を高く掲げた。


空に百を超える白い光球が現れ、宙に漂う光粉を吸収していく。


アンドリアは全身傷だらけのまま、最後の下級騎乗――黒と黄色の騎行鳥にまたがった。

「銀龍の刻印のために……っ。」


銀龍の刻印の十数名が、静かにアンドリアを見つめる。満身創痍の姿を。血に染まりながらもなお戦おうとする姿を。その瞳は、まだ何一つ諦めていなかった。


「アンドリアのために!!!」

武器を掲げ、会長の名を叫ぶ。


「突撃!!!!!!!!!」

アンドリアが銀の軍勢を率いて駆け出した。


空の白光球が時計回りに回転し、同時に七色の螺旋光線を放つ。照射されたH十字軍は息が詰まり、身動きが取れなくなる。


「ボス!どうするんだ?!」アビルが叫ぶ。


「実に……美しい。」

荒道一狼は逆十字を下ろし、心静かにアンドリアとその背後の戦士たちを眺めていた。


数秒後、七色の螺旋光線が地上に巨大な魔法陣を描く。


カン!!!!!!!!


プラムスの高塔よりも太い七色の光砲が、地の魔法陣から天へと撃ち上がった。


「うわああああああ!!!!!」

H十字軍のHPが激減し、身体が硬直する。


アンドリアはすでに彼らの懐へ突入していた。反撃できぬ敵を容赦なく斬り伏せる。

「一人も逃がすな!!!」


十字軍は総崩れとなり、次々と倒れ、風に散る塵のように消えていく。


「かみこ!勝ったよ!!!」

まつみは反撃の光景を見て興奮し、かみこを抱きしめた。


「うん……よかった。」

かみこは柔らかく笑う。


「かみこ……まだ過負荷が終わってないの?」

衣がなお揺れているのに気づく。


「もうすぐ終わる。」


「手、すごく冷たいよ。大丈夫?」

氷のような体温に気づき、顔色が変わる。


「まつみ……」

かみこは優しく見つめた。


「ん?」

違和感を覚える。


「……すごく、幸せ」

瞬きとともに銀の涙をこぼし、まこの仕草を真似て、小さく舌を出す。満ち足りた笑顔だった。


まつみは一瞬固まり、強く抱き寄せて口づけする。


周囲ではまだ戦闘音がかすかに響き、地面が微かに震えている。それでも二人は気にしない。視界にあるのは、腕の中の彼女だけだった。


かみこの頬は朱に染まり、夢見るような目でまつみを見つめる。


「気絶が終わったら一緒にハググに帰ろう。来週は映画ね。断ったら許さないから。」まつみが笑う。


「うん。」

かみこは嬉しそうにうなずいた。


その瞬間、まつみの足に鋭い痛みが走る。


かみこの両足に、複数の黒い小さな立方体が貼りついていた。


「なんなの、これ……?」

しゃがんで触れた瞬間、指先が黒い立方体に呑み込まれ、血が噴き出す。

「きゃあっ!かみこ!!!どうしたの?!」


かみこの意識が薄れていく。瞳は次第に虚ろになる。

「これが……幸せ。」


黒い立方体は増殖し、ゆっくりとかみこの太腿へ絡みついていく。


「かみこ!!!目を覚まして!!!」

自分の傷も構わず揺さぶるが、反応はない。


かみこはうっとりとした笑みを浮かべたまま。


まつみは短剣で黒い立方体を切り裂こうとする。だが刃を差し込んだ瞬間、刃先までもが消えた。

「なに……これ……。」


黒い立方体はすでにかみこの半身を呑み込んでいた。まつみは覚悟を決め、強く抱きしめる。そのまま一緒に呑み込まれようとした瞬間、背後から凄まじい力で引き剥がされた――社畜が立っていた。


「あなたの娘が死にかけてる!護心石があっても無駄にできないでしょ!!!」

まつみは叫ぶ。


社畜は無表情で見下ろした。


【特別プロジェクト13:コードネーム――偽りの人 完了】

社畜は心の中で呟く。


ムー大陸の空が夜の群青から純白へと塗り替わる。すべての戦闘が瞬時に停止した。


まつみの身体もシステムにロックされ、指一本動かせない。ただ、かみこを見つめることしかできない。


「まつみ……わたし……好き。」

かみこは目を開き、しっかりと見つめる。記憶に刻むように。小さく首を傾げ、愛らしく微笑んだ。


その瞬間、巨大な黒い立方体が頭部から突き出す。


ぽふっ――

かみこは黒い粉となって崩れ落ちた。


世界は再び色を取り戻し、時間が流れ出す。


まつみは膝をつき、地面に残った黒い粉を見つめた。


社畜は白い布袋を取り出し、その粉を丁寧にすくい上げる。


【システムメッセージ: 重大アップデート———AI過負荷システムおよび人形システム 開発完了。五分後に緊急メンテナンスを実施します。各プレイヤーはログアウトしてください】


「かみこ……?」

まつみは空虚な地面を見つめる。


「すまない、まつみ。俺はGM02だ。開発チームは長らくAIの過負荷再現に失敗していた。人形システムも未完成だった。だから俺は、模擬プレイヤー『かみこ』の行動監視を任されていた。ご協力、感謝する」

社畜――GM02は淡々と告げる。


「ママが……お見舞いに来る……部屋って……」

まつみは口を震わせる。


「あれは定期メンテナンスだ。彼女はアーカイブに格納されていただけだ。“ママ”とは、メインプログラムの主任開発者のことだ」

GM02が説明する。


まつみは黙ってうつむいた。


「……AI、いや、かみこは君に音楽を残した。専用データから再生する。」

GM02がインターフェースを操作する。


次の瞬間、まつみの耳元に穏やかで美しい旋律が流れ出した。ワスティン大聖堂の湖畔で初めて聴いたあの音色と同じように澄んでいる。だが何より――その旋律の奥に、かみこの幸福が確かに宿っていると感じ取れた。


まつみの涙が一気にあふれ出す。


「かみこぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」

今回はここで終わります。


少し余韻を残したくて、今日は一話だけにしました。


この結末について、皆さんはどう感じましたか?

正直な感想を、ぜひ聞かせてください。m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ