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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十二章—偽りの人
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94 過負荷!

ドンッ!


満身創痍のアンドリアが空から落ち、目前に叩きつけられた。


頬は裂け、右脚は深く抉られ、黒焔剣が転がる。過負荷は解除され、意識を失っている。


「アンドリア様!!!」戻ってきた女騎兵が狐から飛び降り、バッグからスタミナポーションを取り出して口に流し込む。


足音。


荒道一狼が黒い影をまとい、金色の双眸だけを光らせて歩み寄る。


「お前か! アンドリア様を……許さない!!!」女騎兵は叫び、無謀にも突撃する。


「おいで、子供。悟らせてあげよう。」荒道一狼は両腕を広げる。


「三倍速!」騎槍を構え、一直線に突進。


槍は荒道一狼の身体を貫いた。


女騎兵は一瞬安堵する。


だが荒道一狼は前へ踏み出し、さらに深く刺させると、そのまま狐の背から引きずり下ろし、優しく抱き寄せた。


「子供よ、成仏しなさい。殉教。」


「——」


ドォォン!!!!


女騎兵は爆散し、光の塵となって消えた。


荒道一狼は人の姿へ戻り、口元を拭う。HPが大きく回復する。


「狂信者には殉教がある。即殺できれば体力を吸収できる。……なんで説明してるんだろうね?」自嘲気味に笑う。


視線は残る二人——かみことまつみへ。


「君たちは忠実だ。今の時代じゃ愚か者と呼ばれる。でも俺様は美徳だと思うよ。その性格、大事にしな。」


ゆっくり近づく。


「かみこ、早く行って。ハググで落ち合おう。」まつみは全力で上体を起こす。


「……うん。」かみこは息を呑み、走り去る。


「合理的判断だ。殉教後は少し動けない。君はまつみだったね? 英雄になりたい物語、叶えてあげるよ。」荒道一狼は新たな逆十字を掲げる。


「ふん……次は必ず、あんたを殺す。」まつみは片手で身体を支える。


「うん、約束だ。」甘く笑い、十字架を振り下ろす。


「位相シフト!」


荒道一狼の足元に鏡の盾が現れ、数十メートル先へ転送される。


「ば、ばか! 何してるの!?」まつみが怒鳴る——戻ってきたのは、かみこだった。


「私は……何をしているの?!」かみこは愕然とし、自分の制御できない身体を見下ろす。


「いい子だ。戻って助けに来たのかい?」荒道一狼がにやりと笑いながら歩み寄る。


「早く逃げて、ばか! 今すぐ逃げて!」まつみが怒鳴る。


「うん、逃げる。いや、逃げたくない。逃げるべき。でも残りたい。なぜ? これは何? 計算できない。逃げなきゃ護心石を無駄にするのに、どうして逃げたくない? 違う、身体が動かないから? 私は逃げたいの? 違う、考えるべきは“逃げるべきか”であって“逃げたいか”じゃない。逃げたい? 私は何を望んでる? 何を考えてる? 非合理な行動が私に? これは何?」かみこはその場で呟き続け、頭の中で葛藤が渦巻く。


荒道一狼とまつみは呆然と見つめた。


「この子、いつもこうなの?」荒道一狼が興味深そうに指す。


「……普段はもう少しマシ。」まつみは肩を落とす。


「俺様より狂ってるな。まあいい。さよなら、いい子。」荒道一狼は笑い、十字架を振り上げる。


「位相シフト!」かみこが再び荒道一狼を転送する。


「いい加減にしろ!」荒道一狼は怒号を上げ、跳躍してまつみに叩きつけようとする。


「逃げたくない。残りたい。まつみを守るメリットは? ない。でも頭の中は一つだけ——守りたい。正しい? 違う、“正しい”なんて定義はない。でもこれは私が望むこと、好きなこと……好き……私は好き……私は————まつみが好き。」


かみこの視線が澄む。


「結論——」


だが荒道一狼はすでにまつみの頭上へ跳び上がっていた。もう転送の余地はない。


「まつみは……死なせない、絶対に!!!!」かみこは魂を裂くように叫ぶ。


左腕に魔符が浮かび上がり、高速で回転して黒い塊となり、手袋のように両手を覆う。瞳は純白に染まる。


両足を地面に叩き込み、周囲の土が浮き上がる。光の盾が幾重にも展開する。


「白の矢!」


ブゥゥゥン……


低く重い共鳴音が空気を震わせ、全員の筋肉を強張らせる。


無数の白い光線が異なる軌道で荒道一狼へ直撃する。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!


荒道一狼は数百メートル先まで吹き飛ばされた。


「まつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみ」かみこは異様な速さでその名を連呼し続ける。


「かみこ……あなた……過負荷に入ってる。」まつみは息を呑んで言う。


「過負荷——精神波動。私の精神波動は、あなたのせい。あなたはまつみ……まつみ、まつみ。まつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみまつみ。まつみぃ!!!!森羅万象!!!!!!」かみこは拳を握り締め、天へ向かって絶叫する。



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