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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
一緒に魔王を討伐しよう!
9/30

8 翠の血

*R18*に関わる内容は、別の場所で公開します。

地図の指示に従い、長い階段を上った先には、正方形の広いプラットフォームが広がっていた。

その中央には、大勢のプレイヤーが密集している。


ある者は虚空に向かって武器を振り回し、

ある者は息を潜めて待機し、

またある者は隅で寝転がっていた。


「ここ、普段のレベリング場所と全然違うだろ?」

まつみは周囲を観察しながら言った。


「攻城戦のための訓練じゃないか?」

パシュスはそう推測する。


「まこの地図だと、目的地は人だかりの真ん中だよ」

まこはマップ上のクエスト表示を見つめた。


「まさか……」

パシュスが察した瞬間だった。


パン! ドン! ババババババ!


銃声のような轟音と、剣戟の閃光が一斉に炸裂する。


「聖域浄化!」

「雷導術!」

「アリスの祝福!」

「氷牢!」

「風の刃!」


人混みの中心で、色とりどりのスキルと魔法が同時に爆発し、強烈な光が視界を覆った。


ドン!

何かが爆散する音が響く。


「よっしゃ! 光芒草ゲット!」

「俺も出た! 帰ろう!」


五人組が歓声を上げた。


「ちっ……また取れなかったか」

他のプレイヤーたちは五人の背中を睨みつけ、殺気を滲ませる。


「まさか……」

まつみは人混みを指さして呟く。


「うん。ボスの奪い合いだな」

パシュスは唾を飲み込んだ。


三人は人の波の中に立ち尽くし、どうしようもない無力感に呑み込まれた。

……


気づけば夜も更けていた。


「パシュス! サボってないだろうな!? 一時間やってまだ取れてないぞ!」

まつみが指さして怒鳴る。


「うるさい! お前こそ手伝えよ! 俺なんて一時間ずっと空気斬ってるんだぞ!」

パシュスも逆上する。


「俺様の矢は消耗品なんだよ~」

まつみは露骨にやる気のない顔で鼻をほじった。


「まこの雷系魔法は、ちゃんとした対象がいないと撃てないの~」

まこは無実を訴えるように言う。


「はぁ……近接職はつらいな」

パシュスはため息をつき、再び人混みで剣を振り回した。


そのとき、床に無数の魔法陣が浮かび上がる。


ドンドンドンドン!

再び花火のような爆発。


「よっしゃー! 取ったぞ!」

別の五人パーティーが笑い合う。


「くそぉぉぉ!!!」

パシュスは疲れ切って地面に倒れ込んだ。


「まこ、ずっとスキル押してたのに……やっぱり間に合わない」

まこは落ち込んだ様子で言う。


「分かった……」

まつみは口元を押さえ、真剣な顔になる。


「何がだ?」

パシュスとまこが同時に聞き返す。


「まこ、範囲で持続ダメージ出せるスキルってあるか? 火壁みたいなやつ」


「うーん……ないね。ああいうのは火属性だけだよ」


「謎は解けた」

まつみは地面に大量の数式を書き、指を頬に当てた。


「どういうことだ?」

パシュスが首をかしげる。


「足りないのは――神職者だ!」

まつみが断言する。


「はぁ……?」


「最初に魔物へダメージを与えたプレイヤーのパーティーが、クエストの所有権を取る。

つまり、ドロップはそのパーティー専用になる。

魔法陣はリポップの瞬間に必ず発動する。

固定範囲に継続ダメージを与えられるのは、神職者の聖域だ!」


「おお~~! しょうた、すごい!」

まこは尊敬の眼差しを向けた。


「じゃあ、どうやって神職者を探すんだ?」

パシュスが尋ねる。


「ここじゃ無理だな……」

まつみは周囲を見回す。近くのプレイヤーは全員パーティーを組んでいる。


「神職者はソロがきついから、だいたい固定パーティー持ちだ。

単独行動の神職者なんて、ほとんど見かけない」

パシュスは腕を組んで考え込む。


「初心者の村に戻って募集する?」


「遠すぎる。」


「もし……」

まつみが悩ましげに言いかけた、そのとき。


「システムメッセージ: ニフェト パーティーに参加」


「なに?!」

パシュスとまつみは同時にパーティー情報を開いた。


レベル五十一の神職者。

自分たちと同じだ。


「みんな~、この子がニフェトだよ~」

まこが手を振ると、その背後から短い青髪の少年がついてきた。


「ど、どうも……」

ニフェトは俯きがちに、恥ずかしそうに挨拶する。


「まこ、どこで見つけたんだ? すごいじゃないか!」

パシュスは素直に驚いた。


「やった! ついに神職者だ! さあ、始めよう!」

まつみは前に出て、勢いよく手を差し出す。


期待の視線を一身に浴び、ニフェトは幸せそうに笑った。

「うん! がんばるよ!」

鈴の音のように澄んだ声だった。


「……あれ? ニフェトって、もしかして女の子?」

パシュスは男性キャラの外見を見て首をかしげる。


「う、うん……女の子」

ニフェトは顔を赤くして、さらに俯いた。


「なにっ?! お前、何か企んでる変態なのか?!」

まつみが仰天する。


「まつみ! 失礼だぞ! お前だって異性キャラ使ってるだろ!」

パシュスが即座に突っ込む。


「パシュス! それも失礼! ニフェトが聞いてるでしょ!」

まこが怒鳴った。


「うっ……気づかなかった。ごめん」


「がんばります! 絶対、足は引っ張りません!」

ニフェトは思い切ったように言った。


「なんと気高く愛らしい乙女……この広い人海で出会えた奇跡に――」

まつみが膝をつく。


「うるさい!」

パシュスの拳が飛び、まつみは吹き飛ばされた。


「それで~、ニフェトは範囲で持続ダメージ出せるスキルある?」

まこが尋ねる。


「うん。ソロで上げてたから、『聖域浄化』はレベル最大だよ」

ニフェトは頷いた。


「それだ!」

三人が同時に叫んだ。

……


パシュスは武器を握り締め、乾いた喉に唾を流し込む。


まこの目に汗がしみたが、痛みをこらえて瞬きもしなかった。


「今だ!!!」

まつみが叫ぶ。


「聖域浄化!」

ニフェトが即座にスキルを展開する。


次の瞬間、姿すらはっきり見えない魔物の首領へ、周囲のプレイヤーたちが一斉に火力を叩き込んだ。


メッセージが表示される。


「システムメッセージ: 光芒草を入手(1/1)」


「やった!」

パシュスは白く輝く薬草を掲げて叫んだ。


「すげえぞ、ニフェト!」

まつみが勢いよく抱きつく。


「役に立ててよかった」

ニフェトは嬉しそうに微笑んだ。


四人は満足感に包まれたまま、主城へ戻る。


「ニフェト、どうして一人でレベル上げしてたの?」

まこが聞く。


ニフェトは俯き、言葉に詰まった。


「ソロなら、アーチャーや魔法使いのほうが楽だろ?」

パシュスも不思議そうに言う。


「操作が下手だって、すごく怒られて……。だから、誰にも迷惑かけないように一人で……」

ニフェトは言い淀みながら答えた。


「安心しろ! 前に組んだ神職者より、ずっと上手いぞ!」

まつみは感動で今にも泣きそうだった。


「一緒に上げよう。俺たちにも神職者が必要だ」

パシュスは親指を立てる。


「……みんながいいなら」

ニフェトは嬉しそうに頷いた。

……


#

更新は基本【毎日1話】。


キャラクターや展開についてのご感想・ご意見があれば、気軽にコメントしてもらえると嬉しいです。

すべて目を通して、必ずお返事します。


一緒にテンポよく、魔王討伐まで突っ走りましょう :)

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