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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十一章―南方の角笛
83/197

82 【見た?……話がある。──5分前】

バチィッ――背後から電極パルスの耳障りな衝撃音が響く。


太い桃色の幻光砲が進路上のすべてを溶かし、金色の溶融メタル。


「位相シフト!」

かみこが鏡の盾を展開する。


だが幻光砲は盾を貫通し、破滅の勢いで赤牙へ突き進む。


ズドォォォン!!!!!!!!!!!!!!


【システムメッセージ: 獣人の族長 赤牙アカキバ が討伐されました】


【システムメッセージ: ハググ首都戦争が終了しました。全首都戦争完了までPVP機能を一時停止します】


静寂。


瓦礫の落ちる乾いた音だけが残る。全員が息を止め、魔法陣の光の塵が晴れるのを待つ。


赤牙は――消えていた。


Kanatheonの面々は呆然と立ち尽くす。重力を失ったように、次々と崩れ落ちる。


かなは何も言わずログアウトした。


「ハハハハハ! 俺たちが城主だ!」

深淵の手の歓声が爆発する。


「もう深夜だ。いったん解散しよう。メンテ明けにまたここに集合な。おやすみ」

ニフェトは静かに言い、ログアウトする。


誰も言葉を発せない。目の前の獲物を横取りされたような虚無感。努力はすべて、水の泡と化した。


……


二日後の黄昏。

三日間に及ぶ首都戦争は、残り十分。


黒髪のGM01が再び空へ浮かぶ。

【ハググの初戦は実に見事でした! 一秒ごとに情勢が変わり、最後は大逆転!】


「いつ終わるんだ? 城主の鍵を触りたいんだよ!」

深淵の手が叫ぶ。


【まもなくです。プラムスが終われば全戦終了です。しばらくお待ちください】

GM01が微笑む。


Kanatheonは隅に縮こまる。


武器は地面に投げ出され、敗残兵のようだった。


むぐち やよいは膝を抱えて座り、虚ろな目で地面を見つめる。


誰も口を開かない。


【第二回王都戦争、まもなく終了します。以後24時間PVP禁止。5~4~3~2~1~】


【システムメッセージ: 第二回王都戦争 終了】


「きたあああああ!!!!!!」

深淵の手の歓声が円環都市に響き渡る。


それはKanatheonの胸を抉る音だった。


【ハググ戦戦況報告を報告します。

攻城側ギルド4、総参加109名、戦死68名。

全力でしたね。


ムー大陸各首都戦報――

プラムス中央要塞、防衛成功。銀龍の刻印が支配。

ハググ、防衛失敗。02日15時間前よりKanatheonが支配】


「はぁあああ!?」

ハググに怒号が響き渡った。


深淵の手は雷に打たれたかのように、その場に釘付けになった。


Kanatheonも空を見上げ、何度も瞬きをする。


錯覚か?


彼らはGMの足元へ駆け寄る。


「今なんて言った!? 俺たちがハググを落とした!?」

GM01が慌てて高度を下げる。


「はい。現在ハググはKanatheonが支配しています」


「ふざけるな! 最後に倒したのは俺たちだ!」

怒号が交錯する。


「落ち着いてください。赤牙を撃破したのはKanatheonの鏡像師です」

GM01が冷や汗を浮かべる。


「鏡は貫通しただろ!? バグじゃないのか!」

深淵の手の怒りは、今にも噴火しそうだった。


「位相シフトの出入口を重ねました。あなたたちの視界では鏡の盾を貫通したように見えますが、技能が盾に触れた瞬間、システムは鏡像師の攻撃として判定します。ですから、赤牙を倒したのは私です」かみこは氷のような声で言う。


深淵の手は言葉を失い、かみこを見つめた。


「そういうことです」GM01は苦笑する。


深淵の手の面々がその場に崩れ落ちた。


「うおおおおおお!!!」Kanatheonの感情が一気に爆発する。全員が飛び跳ね、抱き合い、泣き笑う。


むぐち やよいは少女のように叫び、まこに抱きついた。


ニフェトは涙を浮かべ、何度も手を叩く。


「すごいよ、かみこ! あなたのおかげで城主だ!」まつみはかみこの肩を激しく揺さぶる。


「チーム………の成果です。これ以上揺……らすと……首が折れます………」かみこは肘でまつみを押し返す。


「あなたは最高だよ!」まつみは頬を緩め、再びかみこを強く抱きしめる。


「……ただの、技能です」かみこは抱きしめられたまま言う。体温が伝わり、熱くなった血が全身を駆け巡る。奇妙な心地よさに意識が揺らぐ。「理解不能です」


社畜は鉄皮屋の陰からその光景を見つめ、黙って服の裾を噛んだ。


【システムメッセージ(ハググ):皆さん、落ち着いてください。戦報を最後まで読み上げます。城主アイテム配布後に祝ってください】GM01は制御不能になりかけた場を、全体告知で鎮める。


Kanatheonはどうにか喜びを抑え、静まり返る。


【ご協力ありがとうございます。


プラムス中央要塞――防衛成功。銀龍の刻印が支配。

ハググ――防衛失敗。02日13時間前よりKanatheonが支配。

ヴィニフ宮殿――防衛成功。精霊評議会が支配。

グズ湿台――防衛失敗。01日09時間前より精霊評議会が支配。


今後24時間、PVPを停止します。以上】


「待って!」むぐち やよいはまこを押しのけ、GM01を睨む。「グズ城が陥落……精霊評議会に落とされたの?」


全員が息を呑む。NPCがプレイヤー領地を奪ったのだ。


ざわめきが広がり、不安が濃く漂う。


【はい。戦報に誤りはありません。それでは、失礼します】GM01は微笑み、空へ溶けた。


「何が起きてるの」むぐち やよいは他ギルド幹部を見回す。


王都制圧の歓喜は一瞬で消えた。


むぐち やよいの肩に小さな白い鳥が止まる。


【密信 アンドリア:グズ城、見た?……話がある。──5分前】


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