81 「煉獄光線!」
「隙が出た!!! 集中攻撃!!!」
かなが叫ぶ。
「黒雷!」
「火球!」
「雷導の槍!」
「二重射撃!」
「鷹の目!」
「圧刃!」
「重怒撃!」
轟音。
赤牙が数歩後退し、肩に矢が突き刺さる。黒血が滴る。
ついに通った。
「うおおお!」
士気が爆発する。
近接と遠距離が一斉に畳みかける。
左から三振り、右から魔法の雨、正面から銀矢。
赤牙は巨大な的となった。
パシュスが吠え、首元の隙間へ突き刺す。
その瞬間、魔法陣の光が消える。
キン。
【システムメッセージ: アイテム 狐霊の魔剣 耐久度0%になりました。修理してください】
刃が砕け散る。
「……っ!」
罵声は検閲で消された。
赤牙は再び沈黙し、鈍く歩き出す。
かなは即座に魔法陣を睨む。
「今度は円と正方形! パシュスと私で分かれる!」
二手に分かれて高台へ駆け上がる。
「待って!」
蟹座が叫ぶ。
赤牙の周囲に緑光が立ち上る。HPが回復し始める。
魔法陣の光が消えた。
「戻れ! 誰かが陣に立っていないと回復する!」
全員が魔法陣へ飛び込む。回復が止まる。
「三角と正方形……遠距離、急いで……」
かなは息を切らしながら指示を出す。
陣内には重装だけが残り、赤牙を引きつける。
遠距離職は呪符の点灯に合わせ、それぞれ対応する幾何図形の高台へ立つ。
カン。
「グゥオオ……!」
赤牙が呻く。軍旗は燃えない。HPが一気に五分の一削れ、全身が軋む。
片膝をつく、状態が衰弱へ変化。ギミックを逆用したのだ。
「叩き潰せ!」
パシュスは我を忘れて斬りかかる。
黒鎧は砕け、上半身は血に染まる。狂暴化をやり過ごし、高台と陣を往復する。
数度の循環でHPは残りわずか。勝利が目前に迫る。
呪符の回転は遅くなり、狂暴時間も短縮する。
「次は三つ全部だ! 急げ!」
かなが即座に叫ぶ。
カン。
赤牙が再び膝をつく。
「終わらせろ!!!」
遠距離は高台から一斉掃射――轟音。
三基の高台が同時に崩れ落ちた。
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
高台にいた遠距離の一部が地面へ叩きつけられ、骨が折れる音が響く。
三条の雷導が収束し、魔法陣中央へ集まる。
白い極太の雷霆が、赤牙の頭上へ直撃した。
轟ッ――!
暴風が巻き起こり、周囲の鉄皮の兵舎根が吹き飛ぶ。赤牙はさらに巨大化し、魔法陣の中央に立つ。
血釘の巨斧も紅く発光し、刃先から血が滴る。
「アアアアアア!!!」
地鳴りのような咆哮。
呼吸が止まりかけた瞬間――
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー 黒髪ロング HPが0%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー こゆき HPが0%になりました】
密集していたKanatheonの陣形は、赤牙のデタラメな一振りで、まるで紙細工のように真っ二つに裂け飛んだ。
「下がれ! この距離は危険だ!」
パシュスが叫ぶ。
「ダメ! 陣から離れたら回復する!」
かなは杖を握るが、反撃の余裕はない。
「ヒール!」
神職者は反射的に詠唱する。
後退する者が増え、魔法陣内に残るのはわずかな重装のみ。
赤牙の巨斧が再び振り下ろされる。
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】
【システムメッセージ: ギルドメンバー 金ピカ HPが0%になりました】
重装隊は壊滅。
傷だらけの身体で這いずり、陣外へ逃れる。
魔法陣の縁に立つのは、パシュスと二人の騎士のみ。
「かな! どうする!?」
次の一撃で終わる。
「そ、その……」
かなも判断を失う。
赤牙は待たない。
巨斧が振り下ろされる。
「魂護の衝撃!」
轟音。
魔法陣の石畳が陥没し、粉砕される。
パシュスが地に伏す。
その前に立っていたのは――アンドリュー。
黒竜の盾が巨斧を受け止め、拮抗する。
「炎牙!」
後方からケルベロスが飛びかかるが、赤牙の一振りで瞬殺。
ワスティン大聖堂から、まことむぐち やよいが全力で駆け戻る。
「わたし……もう……無理……」
息も絶え絶えに倒れ込む。
「はぁ……結局、俺様の出番か」
アンドリューが嘲る。
その背中は絶対的だった。
「終わらせる! 残り2%切ってる!」
かなが叫ぶ。
Kanatheonが最後の一撃へ踏み込もうとした、その瞬間――
「煉獄光線!」
魔法陣外の鉄皮の兵舎から、桃色の極太光線が発射される。赤牙へ直撃。
「なっ……!?」
自分たちの攻撃ではない。
深淵の手の残存メンバーが、屋内に潜伏していたのだ。
赤牙のHPが尽きる寸前を狙い、最大火力の連携を叩き込んだ。
極太レーザーは、暴走する猛牛。
このまま赤牙へ直撃する。
城主の座が、Kanatheonの目前から深淵の手へ奪われる。
パシュスは決断する。身を投げ出し、砲線を遮る。
「パシュス!!!!!」
まこが叫ぶ。
跳躍。だが、わずかに遅い。
幻光砲は彼の髪をかすめ、そのまま赤牙へ――
「位相シフト」
轟ッ――――――――――!!!!!!!!!!
【システムメッセージ: 獣人の族長 赤牙 が討伐されました】




