71 招かれざる客
【 双方準備完了。
注意──先に三本先取した側が勝利となります。
カウントダウン30秒──
第四ラウンド──開始。】
霧が晴れ、両陣営が再び向かい合う。
突如、強風がKanatheonへ吹き付けた。
見上げると──アンドリアがグリフォンに跨り、空中から彼らを見下ろしていた。
「アンドリア!どういうつもり?!」
むぐち やよいが怒りを露わにして叫ぶ。
「そのミラーメイジはチートよ!じゃなきゃ、あんな精度あり得ない!」
アンドリアは声を荒らげる。
「私は不正行為を行っていません。すべて計算の結果です」
かみこは無表情のまま続ける。
「あなたの行動は“敗北を受け入れられず、言い訳を探している”と解釈できます。直情的で負けず嫌いな性格の方は、往々にして衝動的です。仮に私が四次職であれば、その性格的弱点を突いて、あなたを打ち負かせたでしょう」
「ちょっと!これ、どうやって試合続けるの?!審判員、早く判断して!」
かなが怒鳴る。
【 試合規定により、両陣営の参加人数上限は25名です。
規則に違反しない限り、参戦は可能とします。】
「……それで面白いと思ってるの?アンドリア!」
むぐちは歯を食いしばり、睨みつけた。
「教えてあげる。勝者は、この私よ!」
アンドリアの紅晶の槍が、白い烈火をまとって燃え上がる。
「本気だ……!」
まつみは短剣を握り締め、身構える。
「はぁ……ほんと、つまんない女」
かなは呆れたように呟いた。
「天虹衝撃!」
アンドリアはグリフォンと共に急降下し、Kanatheonへ突撃する。
「むぐち!どうする?!」
悲鳴が上がる。
「……もう、仕方ない。今回は譲る……」
ゴォォォン!
Kanatheon全員が戦闘不能──
ただ一人、03、まこだけが闘技場の中央に立っていた。
場内に、重厚な船笛の音が鳴り響く。
ブオオオオ────────
「……え?」
まこの全身が、淡い青光を帯び始める。
「やっぱりチートじゃない!騙したわね!」
アンドリアがまこを指差して叫ぶ。
「ち、違う!私も分からない……」
まこは光る自分の手を見つめ、怯える。
ドンッ!
紫紅色の重装甲を纏った騎士が、まこの前に出現した。
狂風が巻き起こり、黄砂が舞い上がる。
装甲には血管のように脈打つ光紋。
片手二刃の虹光剣、黒竜頭の盾。
背には血紅の竜翼を象ったマント。
「……太古装備……」
アンドリアは一瞬で青ざめる。
恐怖を露わにした彼女を、誰もが初めて見た。
「この瞬間火力……やっぱり、お前か」
黒騎士はアンドリアを見据え、低く言った。
「まさか……あなた……アンドリュー……」
アンドリアは震え声で、その名を口にする。
「久しぶりだな。
語り合おうじゃないか──俺の、副長殿」
アンドリューは笑った。
まこは呆然と、目の前の黒騎士を見上げる。
「……え?」
誰?!




