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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第十八章―ギルド  vs  ギルド
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70 ギルド  vs  ギルド

【密信 アンドリア: もうすぐ3:0ね──5分前】


「……ごめんなさい。私のミスです」

むぐちは重い表情で、皆に頭を下げた。


パチ、パチ、パチ、パチ。

かなが拍手で励ます。

「いい指揮官に恵まれてるわね。あなたたち」


指揮台の下では、ざわめきが広がる。


「私の過失は認めます。ですが……その言い方は何ですか?」

むぐち やよいは、侮辱されたように感じた。


「戦闘の流れは全部記録してあるわ。跳躍を決断する直前まで、あなたは何も間違ってない。

銀龍の刻印は後方に一隊を残して集団隠身させ、前線の仲間を“捨て駒”として使った。あなたたちが手を出した瞬間に、背後から反撃するためよ。

両陣営の指揮官が“仲間”をどう扱ったか、よく考えてみなさい。もし本物の戦場だったら、むぐち やよいは命を預けてついて行く価値のある指揮官だわ。はは。彼女は勝利よりも、仲間を選ぶ人間よ」

かなは笑って言った。


「非合理的行動」

かみこが淡々と評する。


「戦場の情報は刻一刻と変わる。指揮官が母親みたいに手を引いて、スキルの使い方まで教えてくれると思わないこと。

自分で状況が危険かどうかを判断し、スキルを切るかどうか決めなさい。それって、あなたたちにとって要求が高すぎる?」

かなは、わざと挑発するように言葉を投げた。


「違う!むぐち、俺は支持する!」

「みんな、頑張ろう!」

「さっき俺、スキル遅れた……ごめん!」

彼らは逆に、むぐち やよいを慰め始めた。


「いいわ、ザコども。敵はバカじゃない。城戦経験ゼロのザコ集団を、むぐち一人で攻撃も防衛も指揮させるなんて酷すぎる。

私が回復組の指揮に入る。二人抜けて、私とまつみに枠を空けなさい」

かなが言うと、即座に再編成が行われた。


……


【双方準備完了。

注意──先に三勝した側の勝利。

カウントダウン30秒———

第三ラウンド──開始】


銀龍の刻印は、またもや動かず待ちの姿勢を取る。


「策はあるの?」

むぐち やよいがかなに問う。


「ある!」


全員が、期待に満ちた目でかなを見る。


「殺れーーーっ!!!」

かなは鉄杖を掲げ、前方を指さして叫んだ。


一同は一瞬呆然とし、すぐに彼女の黒い冗談を理解して大笑いした。


「…………」

銀龍の刻印は、相手の異様な余裕に、逆に圧を感じ始める。


「敵は、私たちが先に出るのを待ってる。

私たちにできるのは、むぐち やよいの判断を信じて、ついて行くことだけよ!」

かなが大声で言う。


「おおおっ!」

歓声が上がる。


「ふん……何を企んでるんだか」

アンドリアが鼻で笑った。


むぐち やよいは、再びKanatheonを率いて前進する。


「来るわよ」

むぐちはかなを見て言う。


「今よ〜」

かなが不敵に笑った。


「影粉!」

「砕岩!」


ぷすっ。


黒い粉が広がり、Kanatheon全員がその場で姿を消した。


銀龍の刻印は一斉に緊張し、盾を強く握りしめる。


周囲は水面のように静まり返り、足音ひとつ聞こえない。


「気をつけろ!隠身は30秒だ、もうすぐ接近してくる!」

銀龍の刻印が互いに警告を飛ばす。


最初に見つかったのは、パシュスの白い鎧と青いマントだった。


「そこだ!」

銀龍の刻印が指さして叫ぶ。


だが、Kanatheonは誰一人動かず、声を上げて笑っていた。


「ザコ〜。ムー大陸最強ギルド名乗っておいて、攻める度胸もないの?恥ずかしくない?」

かなは小柄な体で前に出て、堂々と挑発する。


「無視しろ!」

アンドリアが叫ぶ。


一分が過ぎる。

Kanatheonは悠々と歩き回り、銀龍の刻印は一瞬も気を抜けず、彼らを凝視し続けた。


気づけば、戦場の主導権はKanatheonの側に移っていた。


「Go!」

かなが叫ぶ。


Kanatheonは再び、完全に姿を消す。


「今だ!」

銀龍の刻印の奇襲部隊も同時に隠身を発動し、重装だけを囮として残した。


「………………」


競技場は、息を呑むほどの沈黙に包まれる。


次の瞬間――

眩い閃光が走り、轟音が響き渡った。


【銀龍の刻印10 戦闘不能】

【銀龍の刻印12 戦闘不能】


Kanatheonは一切の出し惜しみなく全力を叩き込み、重装隊を一気に爆散させ、瞬時に瀕死へ追い込んだ。


直後、銀龍の刻印の奇襲部隊が姿を現し、背後からKanatheonの陣形へ突入する。


【Kanatheon19 戦闘不能】


「回復連携〜!」

かなが腕を掲げて叫ぶ。


緑金色の旋風が即座に発生し、銀龍の刻印の部隊を押し返した。


「まずい!押し切れ!」

弾き出された奇襲部隊は魔法で足止めを試みるが、鏡の盾と神官の対応により、いとも簡単に無効化される。


「殺れ!!!」

むぐちが敵の重装隊を指差して叫ぶと、全員の士気が一気に跳ね上がり、猛攻が始まった。


【銀龍の刻印16 戦闘不能】

【銀龍の刻印18 戦闘不能】

【銀龍の刻印13 戦闘不能】

【銀龍の刻印19 戦闘不能】


破竹の勢い。Kanatheonが完全に主導権を握る。


「散開!」

残存する銀龍の刻印は即座に散り、遊撃戦に切り替えて消耗を狙う。


Kanatheonは左右に飛び回るが、なかなか敵を捕らえられない。


銀龍の刻印は流水のように滑らかに動き、追われれば分かれ、通り過ぎた瞬間に再集合する。


泥濘、水溜り、吹雪、突風。

四方八方から飛び交う妨害系スキルにより、Kanatheonの動きは次第に鈍っていく。


【Kanatheon09 戦闘不能】

【Kanatheon11 戦闘不能】

【Kanatheon24 戦闘不能】


全員のHPは半分を切り、前線に明確な犠牲が出始めた。


「かみこ!鏡の盾で範囲を囲って、敵を集めて!」

かなが咄嗟に指示を飛ばす。

「ニフェト!栄光の準備!」


「了解」

かみこは即座に、前方に散らばる銀龍の刻印七名の位置を解析する。


右腕の魔符が高速回転し、鏡の盾が七人の動きを追尾しながら包囲、微調整を開始した。


カチッ。

「完了」


「ラロの栄光!」

ニフェトが一枚の鏡の盾へ金光を放つ。


ドンッ!


七人同時に金光を浴び、強制的に同一点へと弾き飛ばされる。


「あり得ない!この角度、この精度……計算能力が異常よ!不正に違いない!」

アンドリアが愕然と叫ぶ。


「岩牢!」

かなの号令とともに、岩の檻が彼らを完全に閉じ込めた。


「集火!!!」

全員が一斉に襲いかかり、七人を瞬時に粉砕する。


【銀龍の刻印06 戦闘不能 】

【銀龍の刻印09 戦闘不能 】

【銀龍の刻印15 戦闘不能 】

【銀龍の刻印21 戦闘不能 】

【銀龍の刻印23 戦闘不能 】

【銀龍の刻印24 戦闘不能 】

【銀龍の刻印25 戦闘不能】


残った敗残兵は四散し、Kanatheonは分散して追撃するも、決定打を与えきれない。


その隙を突き、罠師が複数の致死トラップを設置し、追ってきたKanatheon三名を葬った。


次の罠へ退こうとした瞬間、見えない壁に激突する。


「そんな……偵察灯に反応がない?!」

罠師が叫ぶ。


「影鬼は、あんたの影の中だよ〜」

まつみが笑い、一閃。刃が喉元を貫いた。


【銀龍の刻印04 戦闘不能】


【銀龍の刻印 2:1 Kanatheon】

……


「よっしゃあああ!!!」

Kanatheonから爆発的な歓声が上がり、勢いは止まらない。


【密信 アンドリア: あのミラーメイジ、絶対チートよ!あんな精度あり得ない!──05分前】


むぐち やよいは、ただ微笑むだけで返事をしなかった。


「……ちっ!」

アンドリアは歯を食いしばる。


「申し訳ありません、アンドリア様」

敗れた銀龍の刻印の面々が膝をついて頭を下げる。


「いいえ。悪いのはあなたたちじゃない……後悔するのは、あちらよ」


「アンドリアは城主として大規模戦に長けてるけど、こういう精密なギルド戦は苦手みたいね。

賢さが裏目に出たってやつ。臨機応変な現場指揮がない弱点よ、ははは!」

かなは上機嫌に笑った。


「次を取れば、振り出しだ!」

むぐちが皆を鼓舞する。


「はい!!!むぐち副長!!!」

Kanatheonは咆哮のような声を上げ、闘志は最高潮に達していた。

...


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