66 特訓
「一週間も生き残れないと思ってたけどね。」
かなはからかうように言った。
ニフェトは、むぐち やよいと他の面々が、再会する彼らを気まずそうに見ていることに気づく。
「皆に紹介するよ。こちらはかな、俺たちの師匠だ。前回の城戦で俺たちを守るために戦死した。ギルド名も、かなを記念して改めた。……そして今、帰ってきた。」
ニフェトは熱心に、かなを皆に紹介した。
「うわ、会長の師匠か。」
「なるほど……あの人が……」
場内に拍手が沸き起こる。
「よろしくね、ザコども。」
かなは得意げに笑った。
「かな、こちらはむぐち やよい。君がいなくなったあと、彼女が俺たちの百科事典みたいな存在になって、今は副長だ。」
ニフェトはむぐち やよいを軽く前へ押し出した。
かなは顔を上げ、むぐち やよいをじっと見つめる。
むぐちは突然、恥ずかしさと同時に、強い圧迫感を覚えた。
「いい判断。」
「……何が?」
むぐちは聞き返す。
「ずっと連携の練習を覗いてた。気に入ったよ。はは!」
「光栄です。……って、今レベル168?!」
むぐち やよいは驚いた。
「それが?」
「さっきの魔導士は197だったけど……」
「PvPの経験差は、数十レベルじゃ埋まらない。まして、あいつは連携をまったく理解してなかった。そこが魔導士の本質だよ。」
かなは得意げに、鉄杖をくるりと回した。
「じゃあ、連携は分かるの?」
むぐち やよいは追及する。
「魔導士系は熟知してる。他の職は詳しくないけどね。」
「それで十分。ぜひ指導して。」
むぐち やよいは素直に頭を下げた。
「ふーん。私はレベル168の魔導士だけど、他のみんなはいいの?」
「問題ない!教えてください!」
皆が即座に答える。
「私はむぐち やよいより冷酷だよ。さっきのクズみたいに気に入らなかったら……自分の手で殺すから。」
かなは薄暗い笑みを浮かべた。
一同は一斉に鳥肌を立てたが、同時に胸の奥に闘志が灯る。
「よっしゃ!今夜は飲み明かすぞ!」
まつみは嬉しそうに、かなの腕を掴んで踊り出す。
「触るなって!」
…
GvGまで残り二日─────
【密信 アンドリア:3349──たった今。】
…
「天洪!」
「聖域浄化!」
「砕岩!」
人だかりの中で、緑と金の旋風が巻き起こり、地面から青い光球が無数に浮かび上がる。
パン、パン、パン、パン、パン。
かなは大岩の上に立ち、拍手した。
「成功!!!」
回復組が腕を突き上げて歓声を上げる。
「ほら。コツを掴めば難しくない。ただし―――」
かなは黒い外套を羽織りながら、魔導士たちを指さした。
「天洪は、神官の視界より前に置くこと。詠唱しやすくするため。」
「うぅ……分かった……来い、かな……」
回復組の面々は歯を食いしばり、互いの肩を支え合う。
「雷導術!」
かなは容赦なく、回復組に稲妻を落とした。
「よし!雷を浴びる感覚に早く慣れな。あれは最速の魔法だ。混戦の戦場じゃ避けられない。だから頑張れよ、ザコども。はははは!」
…
一方その頃、むぐちは二十名以上の火力組を率いて移動していた。
進路は極めて不規則で、左右に揺れながら、地面の罠を回避する動きを再現する。
「止まれ!」
二十人は一斉に急停止し、微動だにしなかった。
むぐちは再び動き、黒衣の人物へゆっくり接近する。
火力組は子ガモのように、ぴったりと追従した。
「バースト!」
号令と同時に、全員が木製武器を取り出し、黒衣の人物へ攻撃スキルを叩き込む!
ドォォォン!
【システムメッセージ: フレンド パシュス HPが20%になりました】
「もっと集中して。かみこが計算したところ、こっちの火力ならパシュスのHPをだいたい一七%まで削れる。もう一回!」
むぐち やよいはまだ物足りなさそうだった。
「はいっ!」
火力組の面々は息を切らしながら返事をし、目には闘志が宿っている。
「むぐち、このクソ……」
パシュスは黒いフードの下で怨念をぶつぶつ漏らした。
「もう少しだけ我慢して。」
ニフェトは苦笑しながら、パシュスを治療する。
…




