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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第十八章―ギルド  vs  ギルド
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64 実戦意識

「皆さん、こんばんは。Kanatheonのギルドマスター――ニフェトです。すでに私を知っている方もいますね。本題に入る前に、まずはギルド幹部を紹介します。」


ニフェトが両手を広げると、五人が立ち上がった。


「むぐち やよい――副長。

まつみ――幹部。

パシュス――幹部。

まこ――幹部。

トリ――ギルド雑用係。


この五人は、私と共にギルドを立ち上げた仲間です。何か重要なことがあれば、彼らに相談してください。Kanatheonに加入した時点で、皆さんは対等な仲間です。今後、戦術やギルドに関わるすべての決定について、ぜひ積極的に意見を出してください。」


「副長、雰囲気かっこいい~。好きかも。」

「私はまこのほうが可愛いと思う。」

「影鬼が女の人だったなんて。」

「いや、男プレイヤーだろ。声で分かる。」

「なんか声、聞き覚えあるんだけど?」


会場はざわめき、拍手が起こった。


「二週間後の攻城戦――――」


ニフェトが攻城戦という言葉を口にした瞬間、ホールは静まり返った。


「私たちの目標は、ハググを落とすことです。」


「無理じゃない? 人数は三十人前後だぞ。」

「仮に落としても、維持できない。」

「獣人のNPC、もう二百五十レベルだろ。きついって。」


メンバーたちが口々に不安を漏らす。


「ご覧の通り、我々のギルドは二十七名、そのうち三次職はごく少数です。銀龍の刻印は前回の城戦で、すでに九人の騎兵を揃えていました。他の三次転職を含めれば、さらに上です。グズ湿台を支配するプラハの恋人は、百人以上の規模。正面から比べれば、私たちは弱小です。――ですが、勝ち目はあります。」


ニフェトが自信満々に微笑み、むぐち やよいが立ち上がった。


「手短に説明します。


私たちは人手が足りません。その代わり、金と時間を使って徹底的に情報を集めました。歴史学者系NPCの情報によれば、ギルドメンバーが五十人を超えるギルドは、全体でも二十八しかありません。その多くは銀龍の刻印、もしくはプラハの恋人の同盟ギルドです。つまり、ハググを選んで攻めてくるギルドは多くない。


ハググはNPCの獣人酋長が支配しています。本当の勝負は、どのギルドが最も早く酋長を討伐できるか。相手が単独ギルドなら、私たちの勝率は高い。」


むぐち やよいの冷静な説明に、メンバーたちの表情が明るくなった。


一人が手を挙げる。


「でも、そのデータなら、ハググを狙うギルドは相当強いはずですよね。戦闘は避けられないのでは?」


それをきっかけに、ホール中から質問が噴き出す。


「王都の中、獣人だらけですよ? どうやって侵入するんですか?」

「獣人酋長の詳しい情報は?」


「皆さんを短期間で戦力化する計画は、すでに用意しています。」

むぐち やよいは落ち着いて続ける。

「明日の夜から、幹部が交代でレベリングに同行します。攻城戦で即死しないよう、スタミナは多めに振ってください。来週から――実戦訓練です。」


意味深な笑みが浮かび、メンバーたちの士気は一気に高まった。


「残り時間は、ゲームで遊ぼう!」

まこが勢いよく叫ぶ。

「男性幹部チームと女性幹部チームに分かれて、自由に選んでね!」


「いいね!!!」

「ニフェト会長のチーム行く!!」

「むぐち様、一緒に組んでください!!」


一瞬で会場はお祭り騒ぎとなり、メンバーたちはまこ、ニフェト、むぐち やよいのもとへ殺到した。


一方、パシュス、トリ、まつみの三人は、ぽつんと端に立ち尽くす。


「ギルド雑用係って……。いっそ一般メンバーのほうがマシだよ。」

トリは隅でしゃがみ込み、地面に丸を描き始めた。


「男女平等って、どこ行ったんだ……。」

パシュスは、人だかりができている女性幹部チームを見つめ、肩を落とした。


「くそっ!俺は女キャラだぞ~!しかもデザインだってあいつらより可愛いのに!なんで誰も俺と組まないんだよ?!」

まつみは、自分の人気のなさを受け入れられずに叫んだ。


「お前みたいな変態は論外だろ~。俺と組むのと同じだよ」

トリは落ち込んだ様子で言った。


パシュスはまつみの肩に手を置き、獰猛な笑みを浮かべる。

「へ~ん~た~い~」


堪忍袋の緒が切れたまつみは、怒りで拳を握りしめる。

「俺と組んだやつには、竜貨百枚やる!!!」


場内が凍りつき、全員が一斉にまつみを振り返った。


「卑怯だぞ!お前、金ないだろ?!」

パシュスが怒鳴る。


「貧乏でも夢はあるんだ!来い!!」

まつみは天を仰いで高笑いし、両腕を広げた。


「会長~、何のゲームするんですか~?」

「むぐち副長って、なんかお姉さんって感じ~」

「まこ~、一緒に写真撮っていい?」

誰も見向きもせず、女幹部たちの周りに集まり続ける。


まつみはその場で石化し、魂は枯葉のように風に砕け散った。


かみこがゆっくりと、まつみの前に立つ。


「ありがとう、かみこ……。せめて、君だけは俺の味方だ……」

まつみはかみこに抱きつき、号泣した。


かみこは軽く押し返し、手のひらを差し出す。

「竜貨百枚。」


「……………」

...


三日が過ぎ、幹部たちは不眠不休でメンバーを古代戦場遺跡へ連れて行き、平均レベルを二百十三まで引き上げた。


「おやすみ、会長。」

「先に落ちます、ニフェト会長。」

「うん。おやすみ~」

ニフェトはログアウトしていくメンバーを見送った。


プラムスの庭園には、少数のメンバーだけが残って雑談している。


「かみこ。鏡像師の立ち位置は?」

むぐち やよいが尋ねた。


「私は鏡像師を、特化型の支援火力職と位置付けています。鏡像師は賢者ほどの火力はありませんし、詠唱にも時間がかかりますが、鏡の盾と森羅万象によって防御性能が高めです。鏡の盾の使い方次第で攻守を切り替えられます。防御の主軸は反射と位相シフトで、司教のような回復やバフ支援とは異なります。また、鏡の盾は他職の放射系スキルとも連携可能です。たとえば司教のラロの栄光などです。」


「なるほど。次の二日間は、連携と実戦意識の訓練を始めます。」

むぐちはそう言った。


「むぐち副長、実戦意識って何ですか?」

かに座が遠慮なく尋ねる。


「私たちは三十人しかいません。正面衝突はできない。常に移動を維持する必要があります。いいですか、移動こそが生命線です。戦場では弾幕が飛び交います。同じ場所に十秒以上留まれば、敵の遠距離火力で即座に潰される。だから三十人が一塊になり、集団で突撃するんです。」


「固まる?!それじゃ格好の的じゃないですか?」

メンバーたちが驚きの声を上げる。


「忘れないでください。ハググ外縁は平原部族地帯で、最終的に湖中央のハググ城へ上陸する必要があります。魔導士や神官、弓職は平坦地ではまともに火力を出せません。特に獣人は多数のサンドバイソン騎兵を持っています。散開すれば、遠距離職から順に潰されるだけです。さらに、前線で大きなダメージを受け止められるのは八人しかいない。複数戦線には対応できません。だったら一塊になり、敵をこちらの重装甲に引き寄せた方がいい。」

むぐち やよいは木の枝で砂地にハググの地形図を描きながら説明した。


誰も反論できず、その戦略眼に感嘆する。

ニフェトは、なぜアンドリアが彼女を気にかけていたのか、ようやく理解した。


「攻城戦って、大規模なPVPってだけじゃないの?戦場意識とか、さすがに大げさじゃない?」

まつみは困ったように尋ねた。


「違うよ。それが大半のプレイヤーが城戦を誤解して、命を落とす理由。


実戦意識の基本は、大隊に付いて動くことと、連携だ。


絶対にチームと一緒に移動すること。孤立したら確実に死ぬ。戦場では左で爆風、右で雷撃が飛び交う。一瞬の進路変更で、簡単に隊列から外れる。だから覚えておいて。スキルは使わなくてもいい。でも足並みだけは絶対に揃えなさい。


次は連携スキル。

職業ごとに回復組と火力組に分ける。小隊編成は後で発表する。」

むぐち やよいは何度も念を押すように、重い口調で言った。


「連携は隠れた場所で練習できますけど、モンスターじゃ戦場みたいな環境で集団移動の訓練はできませんよね?」

かに座が驚いたように言う。


「心配しないで。もう特訓は用意してあるわ。」

むぐち やよいは意味深に笑った。

...


プラムス地下闘技場――


「騎士は中央を維持!浪人は左から突撃!遠距離は一斉火力で突破口を開け!」

指示が飛ぶ。


闘技場中央の三十人が瞬時に反応し、三十体のレベル二百の海濤石蟹かいとういしがにを壁際へ追い詰めた。


逃げ場を失った海濤石蟹は総崩れとなり、次々と討ち取られる。


戦士たちは腕を突き上げ、士気は最高潮に達した。


観覧席には二人の指揮官が立っている。


「どうやら準備は整ったな。レベル二百の海濤石蟹も楽に処理できている。」

ノクスが言った。


「さあ、来なさい……むぐち やよい。」

アンドリアは、楽しげでどこか歪んだ笑みを浮かべた。


【システムメッセージ: プライベート闘技場の名称が変更されました――銀龍の刻印 vs Kanatheon】

...


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