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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第十七章─鏡花水月の少女
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62 鏡花水月の少女

四人は森の中で合流した。


「おい、まつみ! 木剣って約束しただろ! 本武器出して俺を殺す気か?!」

パシュスはまつみの胸ぐらをつかんで、怒鳴った。


「禁衛軍様がちょっと刺されるくらい、問題ないでしょ?!」


「だ……誰か……助けて……」

トリが横で瀕死の声を上げる。


「ニフェトは新人の対応で忙しいの。スタミナポーション飲んで耐えなさい」

まつみは不機嫌そうに言った。


「ギルドのために死にかけたのに、応急治療すらないなんて……」

トリは地面に伏して、情けなく泣き声を上げる。


「まこ、次から気をつけるね~」

まこは気まずそうに笑った。


……


【システムメッセージ: ミルク狂熱 ギルドに参加】

【システムメッセージ: 波多野 ギルドに参加】

【システムメッセージ: 名前が長すぎてかくれんぼしたらすぐ見つかりそうだよ ギルドに参加】

【システムメッセージ: ……………… ギルドに参加】

【システムメッセージ: ……………… ギルドに参加】

【システムメッセージ: ……………… ギルドに参加】


……


「19人か……俺たち6人を足して、ちょうど25人。三日でこれは上出来だな」

パシュスはギルド情報を見て言った。


「まこ、サクラみたいな真似はあまり良くないと思うな…」


「仕方ないでしょ。時間がない。城戦に参加するって説明して、全員納得した上で入ってきてる」

まつみが肩をすくめた。


「戻ろう。ニフェトがプラムスで、歓迎会用に宴会場を押さえてる」

パシュスは剣を収め、笑った。


四人が立ち去ろうとしたその時、道の先で激しい爆発音が響き、無数の木の葉が降り注いだ。


彼らは道脇に身を隠し、狭い森道がいくつも抉られ、倒木で塞がれているのを確認する。


その道の中央に、小柄な金髪の少女が立っていた。


銀のリングで束ねたサイドポニー。

黒い魔符が右腕に絡みつき漂い、肩の横には白い光輪が浮かぶ。

黒いショートトップスで細い腰を露わにし、下はきらめく白琉璃のミニスカート。

片脚だけの黒いオーバーニーソックスに、白いショートブーツ。

左手には細身の銀杖を携え、その表面には精緻な幾何学の浮彫が刻まれていた。


彼女のそばには青いローブの神官が立ち、顔を上げて五体の敵――ハイエルフの天使守衛を見据えていた。


「早く離れろ、勝てない!」

青衣の神官が緊張した表情で言う。


「確かに。でも、あの速度じゃ遠くまで逃げられない」

金髪の少女は無表情のまま天使守衛を見つめつつ、頭の中で数千通りの撤退ルートを解析していた。


天使守衛たちは彼女を囲むように飛び回る。

少女は動かず、ただ目だけでその動きを追った。


突然、一体の天使守衛が翼槍を掲げ、背後から少女に突きかかる。


少女は動かない。

翼槍が背に突き刺さる寸前、天使守衛の正面に銀色の楕円鏡が出現し、回避もできず正面衝突した。


奇妙なことに、天使守衛は傷つかず、そのまま銀鏡をすり抜ける。


「白の矢……」

少女は銀杖を高空へ掲げ、淡々と呟いた。


天使守衛が振り返った瞬間、自分が金髪の少女の正面へと転移させられていることに気づく。


白光が閃き、天使守衛は撃ち落とされ地面に墜落したが、受けたのは軽傷だけだった。


「解析が遅れた」

脇腹を翼槍に貫かれ、少女は片目をつぶる。神官が即座に回復術を施す。


天使守衛は接近戦を避け、距離を取り、上空から羽の棘を連射し始めた。


少女の眼球が高速で震え、極限の動体視力で羽棘の軌道と数を捉える。


周囲に複数の円鏡が浮かび、飛来物を反射するが、数が多すぎる。

少女と神官の双方が被弾した。


「ごめん。私には勝てない。分かれて逃げて」

少女は感情のない声で告げ、神官は無言で頷いた。


鏡の盾で自分を覆い、少女は走り出すが、天使守衛はなおも追撃してくる。


「天護の衝撃!」

パシュスが列車のような勢いで両脇の樹木をへし折り、少女の横へ突入した。


少女は即座に横へ転がり、浮遊する鏡盾が異なる角度からパシュスを映す。


「待ってくれ、俺たちは助けに来た!」

パシュスが慌てて叫ぶ。


少女は眉を吊り上げ、完全には信じないものの、鏡盾の向きがわずかに変わる。


「奔雷の力!」

ケルベロスが高く跳び、天使守衛の翼に噛みついて地面へ引きずり落とすと、まつみが弱点を叩き、一撃で仕留めた。


残る天使守衛たちは、彼らの周囲を高速で旋回する。


「速すぎて当たらない!」

パシュスは必死に軌道を追うが、すぐに目眩を覚えた。


八枚の浮遊鏡が絶えず角度を調整し、レーダーのように天使守衛を捕捉する。


かみこの瞳孔が異様に開き、右腕を掲げる。

黒い魔符が高速で旋回した。


指を鳴らすと、八枚の鏡盾が一瞬で十六枚の小鏡盾へと分裂する。


「黒雷……」


太い黒雷の射線は、多重反射によって十六本の光砲へと分かれ、網状に散射した。


轟隆!!!


天使守衛は全て同時に一撃で消し飛び、光塵の雨となって舞い落ちる。


「計算完了」

少女は再び指を鳴らし、鏡盾は瞬時に消失した。


「どうしてハイエルフがプレイヤーを襲うんだ? あまりにも異常だ」

パシュスは首を傾げる。


「ハイエルフは魔王陣営に入ったんでしょ。プレイヤーを襲っても不思議じゃない」

まつみが補足する。


「一度、むぐちと相談したほうがいいな……」


金髪の少女と神官は、黙って彼らを見つめていた。


「こんにちは~、通りがかっただけなんだ」

パシュスは少女の存在を思い出したように言う。


「……ごきげんよう。」


「彼女、鏡像師だろ? 三次転職だ。ギルドに誘ってみない?」

トリが提案した。


「強そうだな……。こんな小さなギルドに入ってくれるとは思えない」

パシュスは困った顔で言った。


「ねえ~お姉さん! うちのギルドに入って、一緒に冒険しない?」

まつみが図々しく声をかける。


少女は感情を表に出さず、ただ静かに彼らを見つめていた。


「やめとけ、まつみ。恥をかくだけだ」

パシュスはまつみを引っ張って止める。


だが、まつみは諦めずに続ける。

「入ってくれたら仲間も増えるし、情報もたくさん手に入って―――」


「いい」

言い終わる前に、金髪の少女はあっさり答えた。


「はぁ?!」

一同が同時に声を上げる。


「なんで私たちみたいな小さなギルドに入るの?」

まつみが逆に聞き返す。


「バカ!」

パシュスが慌てて彼女の口を押さえる。


「私にとってギルドとは、大規模なパーティーのようなもの。

このゲームでは、単独行動より他プレイヤーとの協力の方が効率が高い。

現在、二人パーティーは明らかに不便。

加入によって時間や精神を浪費する潜在的リスクを差し引いても、

ギルドに所属する方が無所属より有利である、という結論に至った。

よって、あなた方のギルドへの加入を希望する」

金髪の少女は淡々と長く語った。


四人は言葉を失った。


「あなた方の表情は驚きを示していると解釈できる。

環境要因を総合した結果、一つの可能性のみが導かれる──

私は、あなた方を驚かせてしまった?」


「この人、頭おかしいんじゃ……」

トリが不安そうに呟く。


「もういい~強いし! とりあえず入れちゃお!」

まつみが強引に決める。

「名前、教えて?」


「かみこ」


「私は社畜」

青衣の神官が名乗る。


「よし~、ギルド招待送るよ!」

まつみがインターフェースを開く。


【システムメッセージ: かみこ ギルドに加入しました。】


【システムメッセージ: 社畜 ギルドに加入しました。】


「ようこそ、かみこ!」

まつみは笑顔で手を差し出す。


かみこはその手を冷ややかに見つめ、握ろうとはしなかった。

「……うん。」



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