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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第十六章―同盟
59/196

58 変態になったのか?!

プラムス城内――――


「勇者様、本当に再構築粘土を購入なさいますか?」

色とりどりのポイント商人が尋ねた。


「うん。」


「まこ様、お久しぶりでございます。高魔法商会にお戻りになるのは随分とお目にかかっておりませんでしたね。何かご用件でしょうか。」

協会長はにこやかに声をかけた。


「まこは三次転職したいんです。ここで任務を受けられますか?」

まこは目を輝かせて尋ねる。


「まこ様の現在の職業は召喚師、レベルは258です。選択可能な三次転職は、霊媒師とテイマーとなっております。どちらを選ばれますか?」

協会長が事務的に問い返した。


「テイマーって、どんな職業ですか? まこ、あまり分からなくて……」

まこは遠慮がちに聞き返した。


【システムメッセージ: 高魔法商会会長の好感度 -1】


「本来は多忙なのですが……勇者様の要望には可能な限り応じましょう。

テイマーは魔霊石を一つ所持し、アンデッド以外の魔物を討伐するたび、その霊力を吸収できます。一定量の霊力を蓄積すると、その魔物を召喚する、あるいは既存の召喚獣に能力として付与することが可能です。

例えば、まこ様のケルベロスに雷属性の霊力を付与すれば、火雷属性の連携技を使用できるようになります。水属性の霊力を付与した場合、水属性耐性を得る代わりに、火属性攻撃力は低下します。

詳細はプラムス地下図書館をご参照ください。」

協会長はやや不機嫌そうに説明した。


「だ、大丈夫です! まこ、テイマーになります!」

まこはこれ以上NPCを煩わせまいと即答した。


「では、こちらへ。」

協会長はまこを連れ、以前召喚霊を選んだ場所を通り抜け、さらに奥の地下牢へと進んだ。


扉を押し開くと、細長い奥行きのあるの部屋に出る。左右の壁には整然と松明が並び、奥には一人の男性NPCが立っていた。


「まこ様。名の通り、テイマーとは魔物を支配する者。ここで実力を示し、その資格があることを証明してください。」

協会長が告げる。


「光霊鳥!」

男性NPCが叫び、巨大な金光の羽を持つオウムを召喚した。


「完全に道場バトルじゃん! 行くよ~! ポポ!」

まこは興奮したままケルベロスを呼び出す。


「最強の魔物トレーナーになるんだから!」


まつみが「狩人の里」に足を踏み入れた瞬間、全身に緊張が走った。

前回の転職任務の記憶が、はっきりと蘇る。


「おい、また来たのか?」

狩人が不機嫌そうに声をかける。


「転職。」

まつみは反射的に短剣を握り、周囲を警戒した。


次の瞬間、身体がふわりと軽くなり、教会へと転送される。


気づけば、天井近くの横梁に身を潜めていた。

下では数十人が祈りを捧げ、祭壇では豪奢な神服をまとった牧師が説教をしている。


【システムメッセージ: 牧師を暗殺せよ(0/1)――残り09分59秒】


まつみは想定通りだと判断し、即座に周囲を観察した。


ここは長方形の教会で、上方のまつみに気づいている者はいない。

祭壇の前には巨大な十字架を手にした処刑人が三人立ち、牧師はその背後で守られている。


祭壇の上には巨大な水晶のシャンデリアが吊るされ、奥にはパイプオルガンが鎮座していた。


正面突破は不可能。

まつみは背後に回り込み、牧師を仕留める潜行ルートを選ぶ。


【システムメッセージ: スキル 暗影粉 は使用禁止】


左右に四本の大石柱がある。

それを使えば、処刑人を避けて祭壇の裏へ回り込めるはずだった。


まつみは慎重に石柱を滑り降り、前進しようとした瞬間、窓の外で松明を持った巡回者がいることに気づいた。

ステンドグラスの影が教会内に投影され、今出れば確実に発見される。


巡回隊が去り、教会が闇に戻った一瞬を狙い、まつみは一気に牧師の背後へ回り込んだ。


「急所スキャン!」――心臓を正確に突き刺す。


【システムメッセージ: 牧師の暗殺に成功(1/1)】

【システムメッセージ: 影鬼に転職しました】


まつみは再び狩人の里へ戻り、ハンターNPCから影鬼装備一式を受け取る。


「毒剤師になるには、どうすればいいの?」

影鬼装備を受け取りながら、まつみは何気なく尋ねた。


「50竜貨。」

NPCは無表情で手のひらを差し出す。


「……」

まつみは諦めて支払った。


「水晶のシャンデリアを撃ち落として牧師を圧殺すればいい。知力が高い暗殺者がよく選ぶ方法だ。」

NPCは淡々と答えた。


「この野郎……」

まつみのこめかみに青筋が浮かぶ。


… …


【システムメッセージ: 穢れた場所で ならず者 戴恩 を探せ】


むぐち やよいの転職任務は「人物探し」だった。

彼女はすぐに目的地を定める――プラムス貧民街の娼館だ。


遠くからすでに歓声が聞こえ、扉をくぐった瞬間、白い強光が目を刺した。


裸体――ありとあらゆる裸体のプレイヤーがダンスホールを埋め尽くしている。


重要な部位は聖光に覆われ、ホール全体が星空のようにきらめいていた。


初心者から三次転職者まで、赤ネームも青ネームも分け隔てなく共存している――なぜなら、全員が素っ裸で装備を一切身につけていないからだ。


NPCの給仕たちは兎耳をつけ、ぴったりした水着を着ており、丸みのある尻から可愛らしい兎の尻尾が生えている。


むぐち やよいは思わず考える――あの尻尾、どうやって固定しているのだろう。


彼女はホールの隅にいる男へ向かった。

そこだけ異様だった。全身を黒布で覆い、フードを深く被り、顔が見えない。ここで唯一、まともな服装をしている人物だ。


「あなたがならず者戴恩ね。」


「この下劣な場所まで来て私を探すとは。勇者殿、用件があると見た。」

戴恩は黒いスライム酒を一口啜る。


「転職しに来た。」


「浪人――栄誉を求めぬ職だ。我らはすべてを凌駕する力のため、時に不浄の力、あるいは蛮力を用いる。

お前には、不浄の力と蛮力、どちらが相応しい?」


「違いは?」


「不浄の力は複雑な技で敵を縛り、衰弱させる。蛮力は純粋な力で全てを粉砕し、広範囲技を多く持つ。

ちなみに、不浄の力の技は知力の一部をダメージ計算に用いる。」


「メインステータスは敏捷、次が力と体質。知力と精神は並程度ね。」

むぐち やよいはステータスを見て考え込む。

「不浄の力で。力は高くないし。」


「受け取れ。お前は敵の悪夢となる。」

戴恩は流血のカタールを差し出した。


【システムメッセージ: 血魔に転職しました】


「ネーミングセンス、最悪。」

むぐち やよいは眉をひそめた。


「パシュス様、栄誉を求める道の途中で、なぜ原点へ戻られたのですか?」

貴族騎士長が問いかける。


「近衛兵になります。」

パシュスは跪いて答えた。


「近衛兵は攻撃力の大半を犠牲にし、強大な守護力を得る。多くの場合、仲間との連携が必須となる。

騎士殿、その覚悟はありますか?」


「はい。決めました。」


「聖白花教会で基礎応急治療魔法を修了し、神像に護誓を立ててください。」


「ちょっと待って! また勉強?!」パシュスは即座に胃が痛くなった。


「はい。基礎応急治療魔法の課程を修了しない限り、近衛兵への転職はできません。」

貴族騎士長は厳しく言い放つ。


「じゃあ、騎兵でいい。」パシュスはきっぱり諦めた。


「騎士殿。あなたは自ら近衛兵になると確認しました。任務を完遂し、栄誉の旅を続けなさい。さもなくば、貴族騎士長の名において、あなたの騎士称号を剥奪します。」

貴族騎士長は厳粛に告げた。


「天よ……。」


肩を落として聖白花教会の門前へ向かう途中、うっかり銀衣の少女にぶつかってしまう。


銀色の短いワンピースドレスに、金の十字が刺繍された青いストール。銀の十字架のネックレスを下げ、頭には小さなチュールの髪飾り――花嫁のように美しい。


「……あ、すみません~」

パシュスは凛とした佇まいに見とれて、息をするのも忘れた。


「美少女だ。……いや、かなりの可愛い子だな。惜しいのは、胸が控えめなところか。」

頭の先からつま先まで視線でなぞり、顔に下世話な笑みが浮かぶ。


淡い水色の神杖を手に、神官の道服。どう見ても主教だ。


「……見終わった?」

短い青髪の少女が眉をひそめる。


「あっ、失礼しました!」

パシュスは我に返り、気まずそうにその場を離れた。


銀衣の少女はその場に立ち、去っていく背中を見送る。


パシュスは急に立ち止まり、勢いよく振り返った。

「もう一回、喋って……」


銀衣の少女は思わず口元を押さえて笑う。


「いや、今すぐ喋って。」


「どうしたの?」

唇を舐め、髪を耳に掛けて微笑む。緊張と高揚が隠しきれず、頬が赤い。


「ニフェト! お前、まつみと同じで変態になったのか?!」

声で正体に気づいたパシュスが叫ぶ。


ニフェトは一瞬で顔色を失い、背を向けて歩き出す。


パシュスはすぐ追いかけ、腕をつかんだ。

「なんで女キャラになってるんだ?」


「そこが一番気になる?」

ニフェトは歯を食いしばりつつ、声を荒らげない。


「すごく綺麗だよ。」

パシュスは率直に褒めた。


「……そ、そう? 一時間かけて作り直したの。」

心の奥で小さくガッツポーズ。


「なんで女の子になったんだ?」

つい、また聞いてしまう。


「女になったんじゃない。元に戻したの。」

五百竜貨で再構築粘土を買って、外見を変えただけ。


「五百!? 高っ。元は取れるの?」


「可愛くない?」

自分の頬に触れ、今にも泣きそうになる。


「可愛いけど……そこまでしなくても。」


「ギルド長は目を引かないと。」

アンドリアみたいに綺麗なキャラの方が印象がいいでしょ。

平凡な男キャラじゃ、人は集まらない。


「確かに~。女キャラの見た目や装備は男より出来がいいし。」

看板一つで、同じ男キャラ十人分は勝てるな。


「聖白花教会に行くの?」

ニフェトが尋ねる。


「ああ。言うなよ、また授業だ。」


「近衛兵の任務でしょ。終わるまで待つ。」


「商店街で勧誘しなくていいの? 一人で行けるけど。」


「誰かと一緒がいいの…… 会長としての、って意味!」 と慌てて声を張る。


「了解。」

パシュスは笑った。


( ´_ゝ`)

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