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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第十四章―Kanatheon (カナテオン)
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54 Kanatheon (カナテオン)

「勇者様、ギルドを創設なさいますかな?」

ローレンベルトが笑顔で尋ねる。


「う……ん?」

ニフェトはうたた寝から目を覚まし、目の前に浮かぶシステム表示を見る。


【システムメッセージ: ギルドを創設しますか(Y/N) *選択後、即時反映*。】


「なに、これ……」

ニフェトは目をこすりながら確認する。


パシュスはニフェトの手を掴み、そのままYを押した。


「結構。勇者様、それは容易ではない決断ですな。手数料は竜貨500。ギルドとは運命共同体。どうか仲間を導き、驚天動地の偉業を成し遂げてください。では手続きを進めましょう。ギルド名は――?」

ローレンベルトが問う。


【システムメッセージ: ギルド名を入力してください________(Y/N) *選択後、即時反映*。】


「なにぃ?!」

ニフェトは完全に目が覚めた。


「会長、よろしくお願いします!」

五人が横一列に並び、深々と頭を下げる。


「パシュス……!」

ニフェトは怒りで、杖をへし折りそうになる。


「誰かがやらないとさ~」

パシュスは気まずそうに笑った。


「会長職自体は嫌じゃないけど、あとで覚悟して。名前はKaNa’Sanctumでいいの?」

ニフェトが確認する。


五人は一斉に頷いた。


【システムメッセージ: 名前に使用できない記号があります ’ * @ # ~ ~

ギルド名を入力してください________(Y/N) *選択後、即時反映*。】


「’が使えないみたい」

ニフェトは苛立った声で言う。


「じゃあ、Kanatheonは? Pantheonから取って、かなを起点にした名前。かなの聖殿って意味だよ。まこ、神話とか星座の本よく読んでるし~」

まこは自信満々に言った。


「いいね。それで行こう」

ニフェトは即断した。


「Kanatheon……良い名ですな、勇者様。では、こちらにギルドの紋章を描いてください」

ローレンベルトは机から紙を一枚差し出した。


「魔導書に翼、どう?」

まこが聞く。


「適当でいいよ」

皆あまり気にせず、ニフェトが紋章を描いた。


「ふむ、良い意匠です。ではギルド紹介文は? 一人旅の勇者が加入先を探して訪れることも多い。良い紹介文は入会希望者を引き寄せますぞ」

ローレンベルトが言った。


「目標は魔王討伐。楽しく遊べるカジュアルギルド、でどうでしょう?」

ニフェトが尋ねた。


「行け行け、ギルドマスター様!」

パシュスがからかうと、ニフェトに睨まれる。


「よろしい。それでは君たちのためにギルド銘板を刻もう」

ローレンベルトは机の上に置かれた金塊に彫刻を始めた。


「ギルド銘板?」

ニフェトが首をかしげる。


「ほら、あの角から始まる金のプレートだ。すべてにギルド名が刻まれている。一番右上がムー大陸最初のギルドで、そこから下へ、次に左へと、創設順に並んでいる」

ローレンベルトは彫りながら、壁一面の金板を指さした。


まつみは長い梯子をよじ登って確認する。

一番右上は――「開拓者」。だが、名前は刃物で削り潰されていた。

二番目の「幻影O団」も削られている。

三番目の「烏合の衆」も同様だ……。

六番目の「深淵の手」だけが無傷で残り、七番目が「銀龍の刻印」だった。


「おっちゃん、名前が削られてるのってどういう意味?」

まつみが尋ねる。


「ギルド解散だ。ギルドマスターが死亡し、二十四時間以内に後任が決まらなければ自動的に解散となる。新たにマスターを立てる場合は、ここへ来て私に登録する必要がある」

そう説明し、ローレンベルトは言った。

「では、ギルドマスター殿、こちらへ」


ニフェトはローレンベルトに続き、名板の一番最後――空白の位置へ向かう。


「私は――ムー大陸唯一、真神に認められた歴史学者ローレンベルトとして宣言する。

ギルドKanatheonは、ローマ暦二〇三三年八月二十七日に設立された。

ギルドマスターは、プレイヤー・ニフェト。

ニフェト殿、これより汝はギルドの長として責務を背負い、仲間と苦楽を共にせよ。

右手親指から血を一滴取り、Kanatheon名板の裏に塗りなさい。

それはKanatheonの全構成員と血の誓約を結ぶ証となる」


ニフェトは指先を切り、血を名板の裏に塗った。


ローレンベルトはKanatheonの名板を手に取り、梯子を上って最後の空き枠へ向かう。


六人は息を殺し、彼が自分たちの場所へ近づいていくのを見守った。

理由もなく、胸の奥が熱くなっていく。


「ここに宣言する。ギルドKanatheon、正式に成立!」

ローレンベルトは名板を最後の枠へ力強く打ち付け、ムー大陸の歴史書にKanatheonの名を刻んだ。


【システムメッセージ: あなたは Kanatheon(カナテオン) ギルドを創設しました】


まつみとパシュスは肩を組んで笑い合い、まこ、むぐち やよい、ニフェトも満足そうに微笑む。


トリは輪に入りきれず、一人離れた場所で力なく愛想笑いを浮かべていた。


「まあまあ、来いよ」

パシュスが腕を引っ張る。


「えっと……あ、あった。ギルド招待コマンド」

ニフェトは混乱したインターフェースを開き、手当たり次第に操作する。


【システムメッセージ: Kanatheon ギルド招待 参加しますか?(N/Y)】


Y!


【システムメッセージ: Kanatheon ギルドに参加しました】


「ははは!」

まつみは嬉しそうに叫んだ。


「設定でギルド名表示をオンにできるよ」

むぐち やよいが助言する。


彼らの頭上に、灰色の文字でKanatheonが表示された。


「王都では表示してもいいけど、移動中やレベリング中は消した方がいいわ。念のためね」

ニフェトが言う。


「ギルドマスター~! 最初の目的地はどこ?!」

パシュスが手を挙げて聞いた。


「ニフェトって呼んで。行き先は……私もまだ分からないわ。ところで、今ギルドはいくつあるの?」

ニフェトがローレンベルトに尋ねる。


「現在、二百四のギルドが存在している」

ローレンベルトは答えた。


「そんなに?!」

一同が驚く。


「大半は十人未満の小規模ギルドだ。ギルドマスター殿、君たちは最初からなかなかの戦力だよ」

ローレンベルトは笑った。


「銀龍の刻印には及ばないわ。今の平均レベルは分かる?」

むぐち やよいが問いかけた。


「すでにギルドへ加入しているプレイヤーの平均レベルは、155です」

ローレンベルトが答えた。


「じゃあ、まずはレベリング。その後すぐに人を集める。次の攻城戦までに、獣人の城かエルフの城を取りに行こう」

むぐち やよいは大胆に言い切った。


「本気?! 王都だよ?」

まこが慌てて尋ねる。


「NPC相手なら難しくない。ハググの衛兵はだいたいレベル250前後、ヴィニフ宮殿は300前後。ほかのギルドに邪魔されなければ、獣人の城はいける」

むぐち やよいは真剣な表情で答えた。


「どのみち、まずは三次転職ね」

ニフェトが言う。


「ギルドマスター殿、こちらがギルドの礎石だ」

ローレンベルトは手のひらサイズの純黒の石を取り出した。

「ギルドの礎石を設置すれば、それと接続された建築物はすべて君の領土となる。ただし主要道路や、すでに他者が所有している区域には設置できない。その場合は、区域所有者のギルドの礎石を破壊する必要がある」


「ギルドの礎石は一つだけ?」

むぐち やよいが尋ねる。


「ギルドの最大人数上限が500に達した場合、追加で一つ支給され、上限が150人増える。あるいは25000竜貨で購入することも可能だ」

ローレンベルトはいやらしく笑った。


「もう十分、ありがとう」

むぐち やよいは即座に切り上げた。


「それで、次は?」

ニフェトが尋ねる。


「三次転職~! それから勧誘だ!!!」

まつみが興奮して叫ぶ。


彼らはワスティン大聖堂を後にした。

広がる村落、連なる山々を見渡しながら、全員が同じ予感を抱いていた――

ここから、私たちの時代が始まる。


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