表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第十四章―Kanatheon (カナテオン)
54/194

53 歴史学者ローレンベルト

「神曲ってどう?」

トリが提案する。


「いいじゃん! カッコいい!」

まつみが頷く。


「悪くはないけど、もう少し意味が欲しいかな」

むぐち やよいは名前に妥協しない。


「じゃあ、KaNa’Sanctumカナ・サンクタムは? かなに会いたいな……」

まこは唇を尖らせる。


「かな? 少し長いけど……反対はしない」

むぐち やよいは渋々同意した。


「英語っぽいと強そうだしね」

パシュスも頷く。


「かなって誰?」

トリが首を傾げる。


「そのうち話すよ」

まつみは疲れた声で答えた。


...


螺旋階段は終わりのない悪夢のようだった。一段踏み出すたび、前にもう一段増える気がする。

その時、前方から金色の陽光が差し込んだ――ついに出口だ。


彼らが足を踏み入れたのは、黄金に輝く円形の大広間だった。壁一面に金の板が貼られている。


床は黒と白のモザイクによる幾何学模様で、その中央に賢者の衣をまとった老人が立っている。


背後の机には羊皮紙と羽根ペンが並んでいた。


ニフェトは死体のように床に倒れ込む。


「勇者様~。五百段の階段を登って来るとは、きっと用があるのでしょうな」

老人は笑みを浮かべて尋ねた。


半月形の眼鏡をかけ、銀髪に白い髭。年は百を超えていそうだ。


「あなたが歴史学者ローレンベルト?」

まつみはスタミナポーションを飲みながら聞き、薬を床に飛び散らせた。


「いかにも。ムー大陸の歴史はすべて把握しております。そして、私が編んだ歴史のみが正式なムー大陸史なのです」

ローレンベルトは答える。


「ギルドを設立したい」

むぐち やよいは端的に言った。


「ギルド――ムー大陸における最大の旅人組織です。上限は五百名。世界が認めるギルドマスターは一人のみで、他の役職は自由に設定できます。マスターは体制を逸脱しない範囲で、都市拡張、税制設定、NPCの差配、自作クエストなどを行えます。ただし悪意ある設計が確認された場合、GMが強制的に修正・削除します(初心者エリアに城壁を築いて低レベル狩りを行う等)。すべてGMの裁定が最優先で、異議申し立てはできません。ご理解いただけましたか?」

ローレンベルトは丁寧に説明した。


全員が頷く。


「では、ギルドを創設する旅人がギルドマスターとなります。どなたが務めますかな?」

ローレンベルトが問いかける。


「そっか……」

パシュスは、会長が一人しかいないことに気づいた。


全員の視線が、むぐち やよいに集中する。


「絶対イヤ! 会長なんて面倒すぎる!」

むぐち やよいは即座に拒否した。


「百レベルにも満たない頃から、アンドリアに副長として指名されてたじゃないか。能力は十分だろ」

パシュスが言い、トリは内心で驚く。


「無理。会長の責任の重さ、分かってる? 勧誘と指揮だけで大変なのに、ギルド活動、規律、育成、攻城戦の戦略、外交、資源管理……考えただけで頭が痛い」

むぐち やよいは全身で拒否を示し、まるで地獄の釜に突き落とされるかのような表情を浮かべた。


「ほら、もうギルドマスターの責任は分かってるでしょ。だったら――」

まつみが言いかける。


「それ以上言ったら、抜けるから」

むぐち やよいは苛立った声で遮った。


「ややこしいなあ~。じゃあ、俺がギルドマスターやるよ!」

トリが自ら名乗り出る。


「……………」

全員が冷たい視線をトリに向ける。


「ごめんなさい」

トリは深く頭を下げた。


「むぐちお姉ちゃんが嫌なら、無理に押し付けない方がいいよ」

まこは場を和ませようと、愛想笑いで言う。


「しょうたも悪くないと思うな! 頭は細かくないけど、性格的に人を引っ張れるし、ついて行きたくなるよ」

まこが提案した。


「はぁ?! こいつはミミズより単細胞だぞ! 攻城戦で突っ込んだら全滅だろ!」

パシュスは全力で反対する。


「おい~、少しは顔を立てろよ! そもそも俺、会長やるなんて言ってないし!」

まつみが言い返す。


「会長なんて誰でもいいでしょ~。どうせ最後は、仕事ぜんぶむぐちに回すんだから」

トリは耳くそをほじりながら、他人事のように言った。


むぐち やよいはその場で石像のように固まった。


「決めた!」

パシュスが急に立ち上がり、ひらめいた顔をした。

...



みんな、良い週末を!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ