4 かなの贈り物
*R18*に関わる内容は、別の場所で公開します。
「えっ!!! ちょっと、ここで待ってて!!!」
まつみ何か宝物を見つけたかのように叫んだ。
三人は石に腰を下ろして休憩している。
「遠くまで行くなよ~。」
パシュスがそう言った時には、まつみの姿はすでに跡形もなく消えていた。
「かなって、ほんとすごいね~。レベルの上がり方が早すぎる。」
パシュスは気まずそうに言う。
まこは隅っこに縮こまり、かなと目を合わせられずにいた。
「クローズドβに参加してたから。効率のいい上げ方を知ってる人は多いよ。」
かなは退屈そうに答える。
「かなって、もうカンストしてるから……別の職業のスキルを上げてるの?」
まこはおずおずと尋ねた。
「まさか~。判明してるだけでも職業は五次転職まであるし、たぶん七百から八百レベルくらいかな。」
かなは人差し指で唇をつつきながら言った。
まことパシュスは、再びその場に倒れ込んだ。
「もう七百レベルのプレイヤーがいるの?!」
パシュスは跳ね起きて問い詰める。
「ううん、まだ最上位に到達した人はいないと思う。でも極北のマップで、四次転職の人は見たよ。すごかったな。」
かなは意地の悪い笑みを浮かべる。
「まこ、ちょっと参加が遅すぎたみたいだね……。」
まこは引きつった笑顔で呟いた。
「最終目標とかあるの? 大魔王を倒すとか、姫を助けるとか。」
パシュスが尋ねる。
「メインストーリーは見てない。会話、全部スキップしてた。」
かなは思い出すように言った。
「その点、まつみのほうがまだ頼りになるな……。」
パシュスは頭を押さえる。
「でもね、レベル五十を超えると、ゲームの性質が一変するよ。」
かなの目が、急に鋭く輝いた。
「どう変わるんだ?」
パシュスが身を乗り出す。
「PvP解放~。」
かなは不気味な笑みを浮かべる。
「PvP解放?! ってことは、フィールドで他のプレイヤーを自由に攻撃できるってこと?」
まこは驚いて声を上げた。
「うん。だから二百レベルを超える頃には、ほとんどのプレイヤーがレベリングよりも、他のプレイヤー狩りに集中するようになる。
一つは、倒せば装備やお金を奪えるから。
もう一つは、狩り中に襲撃されるから。
結果、誰もレベルを上げずに殺し合いを始めるんだよ。」
かなは両手を握りしめ、興奮と恐怖が入り混じった声で語った。
「それじゃ、誰もゲームをクリアできないじゃないか!」
パシュスが食い下がる。
「違うよ。大魔王を倒すには、四人の城主が持つ金の鍵を集めて、魔王城の門を開けないといけない。」
かなは空中に図を描くように説明する。
「その四つの城って?」
パシュスが尋ねる。
「人類、精霊、獣人、虫族。それぞれの首都。」
かなは指を折って答えた。
「領主を倒せば鍵が手に入るんでしょ? それならPvPとは関係ないよね?」
まこが首を傾げる。
「ふふっ。領主って、プレイヤーだから。」
かなは片方の口角をつり上げた。
「えっ?!」
パシュスとまこが同時に叫ぶ。
「ゲーム開始時はNPCだけど、最初に倒したプレイヤーがその都市の城主になる。
都市内の取引価格、転送ポイント、素材の値段――全部、城主が決められる。
それに、都市全体の取引額から十五パーセントの税を取れる。
要するに、王様だね。」
かなは小指を折りながら説明した。
「首都の取引全部から十五パーセント……どれだけ儲かるんだ……!」
パシュスは頭を抱えて叫ぶ。
「まこ、まだPvPと最終目標の関係がよく分からない……。」
まこは困ったように言った。
「攻城戦だよ。
城主の座を狙う人は多くて、毎月一回、攻城が解禁される。
その時は、各首都に強者が集まって、大規模な血戦になる。
目的は、城主の金の鍵。
しかも城主は、他のギルドを高額で雇って防衛する。
一回の城戦で、参加者はだいたい四百人くらいかな。
つまり――PvPこそが、このゲームの本番ってわけ。」
かなは生き生きと語り、パシュスとまこは手のひらにじっとりと汗を滲ませていた。
「四人の城主……か。」
パシュスは、震える両手をぎゅっと握りしめた。
「まこ、PvPがよく分からなくて……。」
まこは不安そうに身を縮める。
「まあ~、まだまだ先の話だし、頑張ろうよ~。それより……赤髪の子、どこ行ったの?」
かなはきょろきょろと周囲を見回し、まつみの姿を探した。
その時、左手の林の奥からドシン、ドシンと重い振動が伝わり、木々の間から葉が雨のように降り注ぐ。
「また首領か? もう怖くないぞ。」
パシュスは片手剣を構え、揺れの方向を睨んだ。
かなは険しい表情で鈍器を握り、大岩の上に立って警戒する。
「かな? また『黒雷』を使えばいいんじゃない?」
まこはかなの異変に気づき、声をかけた。
「スキル、クールタイム中なの!」
かなは歯を食いしばって答える。
パシュスは雷に打たれたように硬直し、背中を射抜かれた気分になった。
「みんな~! 鉄甲の妖魔、五十体引き連れてきたよ~!」
まつみは手を振りながら走ってきて、背後には土煙が立ち上っている。
妖魔の大群が、轟音とともにまつみを追い、三人のほうへなだれ込んでくる。
「かな! 他にもスキルあるだろ?! 一つだけなわけないだろ!」
パシュスはかなの小さな体を激しく揺さぶり、詰め寄った。
「い、今は一次転職の神職者なの! 他職のスキルは一つしか持てないの!」
かなの声に、恐怖が混じる。
「みんな~、経験値とお金の列車が来たよ~!」
まつみは跳ねながら、のんきに叫んだ。
「ば、馬鹿! こっちに来るな!」
パシュスは必死に怒鳴る。
「え?」
「くそっ、逃げるぞ! かな、大丈夫か?!」
パシュスはまこを抱え上げ、全力で走り出した。
かなも後を追って逃げる。
「修道服が壊れたら、また最初から鍛え直しなんだから! 時間の無駄よ、あの馬鹿!」
「え?! なんでみんな逃げてるの?!」
まつみは叫び、脚をモーターのように回して必死に走る。
「いいから走れ!!!!!」
パシュスは命からがら、村へ向かって駆け戻った。
……
更新は基本【毎日1話】。
さらに、
ブックマーク10増加ごとに1話追加、
感想10件ごとに1話追加します。
書き溜めは十分あります。
一緒にテンポよく、魔王討伐まで突っ走りましょう :)




