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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
第十二章-典獄長
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44 「M属性だよ!」

「うあぁっ……!」

典獄長は激痛に耐えきれず膝をつき、血まみれの傷口を押さえた。その大きな動きで他の鉄鎖も引きずられ、一瞬、全身の弱点が露わになる。


むぐち やよいは即座に好機を掴み、典獄長のお尻へ跳び乗り、腰の後ろに露出した弱点へ容赦なく突き立てた。


だが次の瞬間、典獄長が急に立ち上がり、彼女を宙へ放り投げ、片手で掴み取る。


「神よ! 彼女を守る最後の盾を!」

ニフェトは反射的に復活加護を発動した。


典獄長は玩具を投げるようにむぐちを空中へ放ち――解放された左脚で、全力の蹴りを叩き込む。


【システムメッセージ: フレンド 六口弥生 HPが20%になりました】


ドゴォン!

むぐち やよいは壁に深くめり込み、そのまま意識を失った。


「なんていやらしいギミックだ! 鎖を攻撃するのが正解だったのか!」

パシュスが焦りながら叫ぶ。


「任せて!」

まつみは一本の鉄鎖を引き、露出した下の弱点へ一気に突き立てる。鮮血が噴き散った。


ガンッ!


【注意: 典獄長の鎖を破壊しました 2/7】


「うあああああああっ!!!」

典獄長は激痛で体勢を崩し、地面へ倒れ込む。装甲の弱点が再び引きずり出された。


その瞬間、太腿の弱点がちょうどパシュスの正面に現れる。長剣を構えて突進しようとした刹那、典獄長のスカートの奥で一瞬、聖なる光が閃いた。


「違う、俺様はまつみじゃない!」

パシュスは必死に正気を保ち、背後へ回ろうとした瞬間、村長の言葉が脳裏に蘇る。

「偽りの光こそが弱点だ」


「やっぱりそこかぁぁぁぁぁ!!!!!!」

パシュスは目を燃やし、長剣を構えたまま典獄長のスカートの中へ踏み込んだ。


「いい加減にしろ!!!」

典獄長は怒号を上げ、黒羽の大剣を振り下ろす。パシュスは驚異的な意志力で、その一撃を受け止めた。


同時に、まつみが別の弱点を破壊し、典獄長は一瞬のスタン状態に陥る。


「今だ、畳みかけろ!」

彼らは散開し、それぞれ別の弱点を攻撃する。ニフェトさえも杖を手に前線へ出た。


【注意: 典獄長の鎖を破壊しました 3/7】

【注意: 典獄長の鎖を破壊しました 4/7】

【注意: 典獄長の鎖を破壊しました 5/7】


「許さない……!!!」

典獄長が咆哮すると同時に、強烈な黒影の衝撃波が放たれ、全員が弾き飛ばされた。


残る鎖は左お尻と後頸部の二本のみ。身体の大半は自由に動かせる状態だ。


彼女は牢の扉をいくつも破壊し、中に閉じ込められていた悪魔犬を解き放つ。


「騎士の栄光!」

パシュスが叫び、悪魔犬の注意を一身に引き受けた。


その直後、巨大な黒い影が彼を覆う。黒羽の大剣が振り上げられ――


「死ね、虫けら!」

典獄長の一撃が振り下ろされた。


【システムメッセージ: 装備 虫殻盾 耐久度0%。修理してください】


バキン!

パシュスの大盾は真っ二つに砕け散る。


「くそっ……」

壊れた盾を捨て、震える手で片手剣を握り直し、典獄長を睨み返した。


鎖が断たれるほど、典獄長の動きは鋭くなり、近接はますます危険になる。


「準備はいいか……」

むぐち やよいは第二層の円壁を駆け抜け、拾った瓦礫を無造作に典獄長の顔へ投げつけた。


「この私を……弄ぶとは……忌々しい人間……」

典獄長の身体はむぐちの動きに引きずられ、無意識に鎖が引かれ、弱点が露出する。


「いただきまーす!!!」

反応したのはまつみだった。一気に鎖へ跳び乗り、そのまま典獄長の左お尻へ突進する。


【注意: 典獄長の鎖を破壊しました 6/7】


「ああっ!!!!!」

典獄長の後腰に錐で抉られるような激痛が走り、脚から力が抜けて崩れ落ちた。巨体は最後に残った後頸の鉄鎖に吊り上げられる。


むぐち やよいは角度を見極めて跳躍し、刀を急所へ突き立てた。


【システムメッセージ: 典獄長の鎖を破壊しました】


典獄長は激痛に身を痙攣させ、床一面にエルフの黒血が広がる。


「倒すには……戦闘力を解放させなきゃならない、か。皮肉だね」

ニフェトは汗を拭いながら言った。


「油断するな……第二段階だ」

パシュスが低く告げる。


「ひひ……ひひひ……」

典獄長はゆっくりと立ち上がり、兜の奥から歪んだ笑い声を漏らした。


彼女は黒翼の大剣を横に掲げ、刃を翼のように展開させると、そのまま柄を背中へ深く突き刺した。

「う……ううううう~~~~」


「自傷……?」

パシュスは言葉を失う。


「M属性だよ!」

まつみは拳を握り、興奮した声を上げた。


ゴォ――

大剣は片翼の羽へと変じ、激しく羽ばたいて強風を巻き起こす。ただし一振りごとに苦しそうで、地面から離れることはできない。


「人間……まさか……お前たち、とは……」

彼女は未使用だった黒い棍を抜く。先端に三叉の光刃が生まれた。


「ちょ、ちょっと……攻撃力、上がってないか? どう戦うんだ?!」

盾を失ったパシュスは、裸同然の感覚に恐怖を覚えた。


そのとき、球形の天井が破壊され、純白の翼を持つハイエルフの天使が三体、白い鎧に身を包み、長槍を手に典獄長を囲む。


「…………」

ニフェトはそれを見て、何かを悟ったように黙り込む。

……



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