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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第十一章-ダークエルフ
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42 ダークエルフ

ドンッ!

脇の木の扉が叩き破られ、さまざまな武器を手にしたハイエルフの衛兵が十人、なだれ込んできた。


彼女たちの緑色の弾幕が、瞬く間に空を覆って降り注いだ。


「聖庇所!」

ニフェトが強化した魔力の盾を展開すると、緑光は触れた瞬間に光の粉となって消える。


敵が多すぎて、パシュスは狙いを定めきれない。


「先に魔杖を黙らせる?」

まつみが問う。


「頼む。」

むぐち やよいは冷静に敵編成を見極めた。

… …


パシュス、むぐち やよい、そして魔狼が前に出て、大剣のエルフを食い止める。


一撃は重いが、屈強なパシュスと機動力の高い魔狼を前にすると押し切れず、巨大なサンドバッグのように削られていく。


大剣を振り切った隙を突き、パシュスは盾で体当たりして倒した。


「騎士の栄光!」

新スキルを試すべく、パシュスは銀の騎士長剣を高く掲げる。


刃がまばゆい金光を放ち――その光が、すべてのハイエルフの視線を引き寄せた。


「え?」

パシュスは“挑発”を“火力”だと勘違いしていた。


無数のスキルが一斉にパシュスへ集中する。


「うわぁ~」

慌ててニフェトの盾の背後へ逃げ込んだ。


黒鉄の扉の白い紋様は、すでに光を失いかけている。

ルークの解除は、まもなく終わる。


まつみは壁際で透明化したまま、刺殺の機会を待っていた。

そこへパシュスの挑発が敵の意識を集め、魔杖の背後ががら空きになる。


「急所スキャン!」

新スキルを発動した瞬間、視界は真っ黒に沈み、闇の中で敵の心臓だけが鮮やかな赤の像として浮かび上がった。


一切のためらいなく、二本の短剣を弱点へ突き立て、手首をひねって破壊する。


魔杖のエルフは一撃で消え、全員が同時にレベルアップした。


「ねえ! 今の見―――」

まつみが興奮して叫んだ直後、ドンッと大盾のエルフに横合いから吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。


鼻血が噴き、前歯が一本折れ、そのまま矢の雨が降り注いだ。


ザシュザシュザシュ!


【システムメッセージ: フレンド まつみ HPが20%になりました】


「高位……祈祷……みんな、気をつけて……。もう、限界……」

ニフェトは息を切らす。


「うあっ!」

突然ルークが悲鳴を上げ、一本の矢が尻に突き刺さった。


【システムメッセージ: ルークを守れ──任務失敗】


白い紋様が、再び眩い光を放つ。


「くそっ!!! じゃあ任務は……」

パシュスが歯噛みし、振り返った瞬間――高精霊の守衛たちは跡形もなく消えていた。


「え?!」

全員が息を呑む。


「今、闇精霊一族の運命は君たちに託されている! 必ずこの扉を開き、典獄長を倒してくれ!」

闇精霊の村長は鉄格子を握り、力強く頷く。


「全力を尽くす!」

ルークは檻を出て、黒鉄の扉の前で白い紋様に触れた。


「勇者様、解除には集中が必要だ! 守ってくれ!」

さきほどと同じ台詞を繰り返す。


「どういうこと?! 過去に戻った?!」

まつみは目をこすって叫ぶ。


【システムメッセージ: ルークを守れ 残り時間:05分00秒】


ドンッ!

南側の木扉が叩き破られ、ハイエルフの守衛たちが再び雪崩れ込んできた。


「分かった、来い!」

むぐち やよいは即座に仲間を引き寄せ、部屋の隅へ退く。


「勇者様、どこだ?! うあっ!」

ルークの背に緑光が直撃する。


【システムメッセージ: ルークを守れ──任務失敗】


ルークは再び鉄格子のそばに現れ、さきほどと同じ台詞を繰り返した。


「パシュス~、まずこいつを止めて!」

むぐち やよいがルークを指さす。


パシュスはゴリ押しでルークを押し返す。


「勇者様、邪魔しないでくれ~!」

ルークはパシュスと取っ組み合いになる。


その隙に、むぐち やよいが説明した。

「ただのクエスト再起動だよ。」


「再起動? 失敗したんじゃなかったの?」

ニフェトが首を傾げる。


「うん。たぶんこれはボス戦の前提クエストで、強制イベントなんだ。進行不能を防ぐために、達成するまで何度でも繰り返される仕様。」


「でも、まこのポポは多人数戦が苦手だよ。」

まこは魔狼の頭を撫でながら言う。


「内容は分かった。じゃあどう攻略する? レベルは上がったけど、十体同時はまだ厳しい。」

ニフェトが現実的に指摘する。


「ちょっと~、こいつ力強すぎ~!」

パシュスはルークと相撲のように押し合いながら叫ぶ。


「い~や。失敗させ続けよう。」

むぐち やよいはニヤリと笑った。

… …


【システムメッセージ: ルークを守れ 残り時間:05分00秒】


「騎士の栄光!」

パシュスが叫ぶと、ハイエルフたちの攻撃が一斉に集中する。


【システムメッセージ: フレンド パシュス HPが20%になりました】


「高位祈祷!」

ニフェトは集中して回復を重ねる。


その一方で、むぐち やよいは部屋の隅でのんびりとステータスを確認し、まこは装備のコーディネートをしていた。


「急所スキャン!」

まつみが再び魔杖のエルフを瞬殺し、光の塵となって吸収される。


「すぐ戻ってきてね~」

まこは笑顔で手を振った。


五人はすぐに隅へ引きこもり、わざとエルフにルークの詠唱を妨害させる。


【システムメッセージ: ルークを守れ──任務失敗】


「入ってる?」

ニフェトが即座にステータスを確認する。


「入ってる! もうすぐレベルアップ!」

まこが嬉しそうに言った。


「次はまつみのアサシンスキルのクール待ちで安全に稼げるね。」

むぐち やよいは唇を舐める。


「あと50秒~!」

まつみはカウントダウンを見つめ、落ち着かない。


「ちょっと助けて! ルーク押さえつつヘイトも取ってるんだけど!」

パシュスは再び取っ組み合いながら叫ぶ。


「前衛なんだから~、存在感もっと出してよ。」

まつみは見下すように笑った。

… …


四時間後────


「勇者様、解除には集中が必要だ。守ってくれ!」

ルークは白い紋様に手を置く。


【システムメッセージ: ルークを守れ 残り時間:05分00秒】


ハイエルフたちは、もはや台本通りに扉を破って突入してきた。


「業火!」

まこが大剣のエルフを指さす。


二つの頭を持つ魔狼が、黒と赤の火球を同時に吐き出す。


大剣のエルフは業火に包まれ、悲鳴を上げて剣を落とし、のたうち回った末に光塵となって消えた。


「条頓悲歌!」

パシュスの身体に紫の光が走り、物理ダメージが三割軽減される。


別の大剣のエルフと激しく斬り結び、火花が飛び散った。


「吸血の刃!」

むぐち やよいの一振りごとに、空中に鮮烈な残光が走り、刃は幻の龍のように敵陣を駆け抜ける。


三分もかからず、ハイエルフは全滅した。


「やりすぎじゃない?」

まこは舌を出して笑う。


「盲点を突くのもゲームの醍醐味だよ。」

ニフェトも満足げに微笑んだ。


部屋が急に暗転し、ルークの解除が完了する。


【システムメッセージ: ルークを守れ──任務完了】


「勇者様、これで先へ進める。私はここで村長を守る。幸運を。」

ルークは真剣な表情で言った。


「始まるね。」

パシュスが息を整える。


「もうレベル210。余裕だね。」

むぐち やよいはステータスを確認する。


五人が黒鉄の扉の前に並ぶと、システム表示が現れた。


【システムメッセージ: 典獄長 の牢房に入る(Y/N)】


「行こう!」

まつみが迷いなくYを押す。


黒鉄の扉が、重々しく開いた──────────

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