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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
一緒に魔王を討伐しよう!
4/23

3 重砲士

*R18*に関わる内容は、別の場所で公開します。

まつみは淀みなく二本の矢をつがえ、同時に放った。

鉄甲の妖魔に大きなダメージが入る。


レベルが上がったことで足運びも軽くなり、森の中をリスのように素早く駆け回った。


一体の妖魔が不意に飛び出し、釘鎚を振り下ろしてくる。


とっさに後方へ跳んだものの、釘鎚が腕をかすめ、皮膚が裂けて血が流れた。


「氷牢!」


まこが放った魔法で、妖魔の両脚が凍りつき、身動きが取れなくなる。


「はあっ!」

パシュスが剣を振るい、妖魔の脚を叩き砕いた。


妖魔は倒れ込み、両腕をむやみに振り回す。

まつみはすかさず眉間へ二本の矢を撃ち込み、息の根を止めた。


まことパシュスは、肩で大きく息をしている。


「ふぅ……」

まつみは汗を拭ったが、失血のせいで急に目眩がした。

「回復魔法は?!」


「……あ~、忘れてた……回復術。」

かなは、今起きたばかりのような様子でまつみの傷に手のひらを向ける。


柔らかな緑の光が腕を包み込み、思わず声が出そうになるほど心地よかった。


「次はもっと早く反応してよ!」

まつみは恨みがましい視線をかなに向ける。


「まあまあ~、みんな新手だし。」

まこが慌てて取りなす。


「反応が遅れたら危ないだろ! それに回復量も低すぎ!」

まつみは自分のスタミナゲージを見て言い放つ。


「……うん。」

かなは再び目を細めて答えた。


「この役立たず! 命を預けられるかっての!」

まつみの怒号が森に響き渡る。


「声を抑えろ! この森には妖魔の頭目がいるんだぞ!」

パシュスは慌てて制止した。


「ちっ! 文句言うなよ! ヒーラーが回復できなくて何の意味がある!」

まつみはなおも食い下がるが、かなは眠たそうな顔で気にも留めない。


「……あ、あの……囲まれてる、かも。」

まこが震える声で言い、長杖をぎゅっと握りしめた。


「なに?!」

まつみとパシュスが同時に声を上げる。


四人は背中合わせになって身を寄せた。

周囲には赤く光る無数の視線が潜んでいる。


次の瞬間、地面が轟音とともに揺れ、片側の大木が次々となぎ倒された。


「グオオオ!」

四人の背丈ほどもある、赤皮の鉄甲妖魔が木々を突き破って姿を現す。


全身は筋肉の塊で、大型の鉄斧を握り、重厚な鎖帷子をまとっていた。

疑いようもなく、妖魔の首領だ。


「ね、ねえ……あの頭目、レベルいくつ?」

まつみは明らかに不利な状況を悟って尋ねる。


「推奨レベルより……四、五は上だろ。」

パシュスは震える手で剣を握り、周囲に潜む妖魔の視線と睨み合う。


「じゃあ十五レベルじゃん!」

まつみは急に自信を取り戻す。


「二十だよ、しょうた……。」

パシュスは突っ込む気力もなかった。


「グオオッ!」

妖魔首領は鉄斧を振り回し、周囲の木々をなぎ倒す。

その動きは、圧倒的な力を誇示する挑発そのものだった。


「どうする?! このゲーム、キャラは永久ロストで、やり直すならアカウント買い直しだよ……。」

まつみは焦りを隠せない。


「かな! 神職者には加護スキルがあるだろ。短時間、防御を上げられるやつだ。

俺が加護を受けて注意を引く、その間に二人が叩く!」

パシュスは歯を食いしばって言った。


「よし、王道のパーティープレイだ!」

まつみは気合を入れ直す。


「……ごめん、覚えてない。」

かなはスキル一覧を開いて確認し、静かに死刑宣告をした。


「ち……畜生! 栄養失調か、脳みそ足りないのか?!」

まつみは膝から崩れ落ち、魂の叫びを上げる。


「かな……冗談じゃないよ……。」

まこは今にも泣き出しそうだ。


「うん。本当に覚えてない。」

かなはスキルウィンドウを閉じ、きっぱりと言った。


「そんな冷静でいられる?!

やめてよ!」

まつみは地面に突っ伏し、泣きながらかなの足にしがみつく。


「私が責任を取る。」

かなは無表情のまま、小さな歩幅で首領へ向かう。


「待て、かな!」

パシュスは即座に前へ立ちはだかった。


「死ぬなら、せめて意地見せろよ!」

まつみもよろよろと立ち上がり、二人に並ぶ。


まこは魔杖を握りしめ、唾を飲み込みながら苦笑した。

「このゲーム、ほんと高いよね……でも、もう仕方ないか。」


「……あ、みんな。」

かなの瞼が、ようやく持ち上がる。


「短い付き合いだったけど、縁があったら次のゲームでまた会おう。」

パシュスは乾いた笑みを浮かべた。


「……うん。」

かなは首領をじっと見据える。


「よし! 最後は―――」

まつみは、最後の中二病的決め台詞を放とうとした。


その瞬間、耳元で銅鐘を叩きつけたような轟音が炸裂し、空気が震えた。

黒い光線に赤い雷光が絡みついたレーザー砲が、一直線に首領へと叩き込まれる。


ドゴォォォン!!!!!!!!!


レーザーは森を貫き、列車が通ったかのような一直線の焼け跡を刻んだ。

周囲の木々は次々と炭化し、黒煙が立ち上る。


首領はそのまま消し飛び、灰すら残さず消滅し、装備といくつもの大袋の金だけが転がった。


三人は一気に四レベル跳ね上がり、全身が光に包まれる。


彼らを包囲していた獣人たちは、盾のように目を見開き、顎を外したまま四散して逃げていった。

まつみ、パシュス、まこは恐怖で魂が抜け、世界が白黒に反転する。


かなは順番に回復術をかけ、三人を意識に引き戻した。


「……俺様だよな? やっぱり俺様が、運命に選ばれた主人公だったんだよな?」

まつみはレーザー砲の破壊力を思い出し、逆に自分が怖くなる。


「黒雷……。」

かなは目を細めて呟いた。


「なにぃ?!」

まつみの歓喜は、一瞬で引き剥がされる。


かなは小さく頷く。


「くそっ! 俺様、主人公じゃなかったのかよ!」

まつみは地面を叩いて悔しがった。


「えっと……神職者のスキルって、魔法使いより強いの?」

まこはその場にへたり込む。


「それ、魔法。」

かなは淡々と言う。


「そんなわけないよ、見つからないもん!」

まこは慌ててスキル一覧を開き、「黒雷」を探すが表示されない。


「待って、まこ……魔法って、使う時にスキル名を叫ばないとダメなんだよな?」

パシュスがはっとして言った。


「うん。不詠唱じゃ魔法は使えないよ。」

まこが答える。


パシュスの顔色が一気に青ざめた。

震える手でパーティー情報を開いた直後、そのまま地面に倒れる。


「……うん。私は詠唱なしで使える魔法使い。三次転職の賢者。」

かなは何事もなかったかのように言った。


「さ……三次転職……。」

まつみはその場で崩れ落ち、顔を土に埋める。


「えっ?!」

まこもパーティー情報を確認し、声を裏返した。

「二百六十一レベル?!」


かなは再び回復術で二人を起こし、まつみの横に立つ。

まつみは片手を上げた。


「……いい。もう少しだけ、挫折させてくれ。」

土の中からくぐもった声がする。


「かな、そんな高レベルなら最初に言ってよ!」

まこは頬を膨らませ、拗ねたように言った。


「……ここ、眠くて。」

かなは欠伸を一つした。


「か……かなさん。低レベル帯で、何をしているんですか?」

パシュスは急に丁寧な口調になる。


「見ての通り。神職者のスキル上げ。」

かなは修道服の裾を軽くつまんで示した。


「でも、本職を優先すべきじゃ……?」

パシュスは真剣に問い返す。


「神職者の一次転職にある、回復系の自動回復パッシブが欲しかった。

スキルレベルを上げるには、何度も使う必要があるから。

それで、初心者の村に戻って怪物に殴られながら、回復術を使い続けてた。」


その説明を聞いた瞬間、まこの白目が裏返り、再び意識を失った。



更新は基本【毎日1話】。


さらに、

ブックマーク10増加ごとに1話追加、

感想10件ごとに1話追加します。


書き溜めは十分あります。

一緒にテンポよく、魔王討伐まで突っ走りましょう :)

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