22 罠
*R18*に関わる内容は、別の場所で公開します。
アンドリアは白い大狐に跨り、段差の上から部隊編成を見渡していた。
その傍らには三次転職の重装騎兵が十名並んでいるが、白い狐に乗っているのはアンドリアだけだ。
白銀の重騎士鎧に身を包み、胸甲には黄金で刻まれた龍紋。
耳元には燃え上がる羽根の装備を差し、淡く白い龍紋のマントを羽織る。
手には紅晶の長槍、もう一方には光輝く盾を構えていた。
プレイヤーたちはギルドごとに七隊列を組み、パシュスたちが属する後方支援部隊は第八隊となった。
「城主は尖塔に籠もり、外へは出ない。各員、計画通り配置につけ――
火原トカゲガブリエル聖剣精霊ねこ屋は北門を守備。
軽音部と夜勤O棟は西門。
黒の騎士団と紅の教条は南門。
銀龍の刻印は東門を担当する」
白狐に乗るアンドリアは小柄な体躯ながら、その声は数百の戦士を押し伏せるほどに響き渡った。
「騎兵長アンドリア。その布陣には異議がある」
黒の騎士団ギルドマスターが口を開く。
「述べよ、ルシュ会長」
アンドリアは即座に応じた。
「紅の教条は平均レベル一九〇。我が軍最精鋭のギルドだ。
二〇名しかいないが、南門は単独でも十分に防げる」
ルシュは淡々と言う。
「つまり?」
アンドリアが問い返す。
「西門のほうが危険だ。
軽音部は七〇名と、銀龍の刻印に次ぐ規模だが、近接と支援職が中心。
我々、黒の騎士団は遠距離職が多い。西門支援に回すべきだ」
ルシュは続けた。
「軽音部会長、意見は?」
アンドリアが視線を向ける。
「指揮に従います」
「よし。では黒の騎士団は軽音部と共に西門を守れ」
各ギルドが散開し、陣地構築を始める。
その場に残ったのは、重々しい足音だけだった。
誰もが険しい表情を浮かべ、言葉を発しない。
先ほどの大広間とは、まるで別世界だ。
城壁の外には、蟻の群れのように黒く蠢く敵軍。
無数の攻城塔が城を囲み、異形の獣が空を旋回している。
敵と城壁上の守備兵は睨み合い、
発光する武器の数は、まるでライブ会場のサイリウムのようだった。
庭園に残ったのは、アンドリア率いる騎兵団と後方支援部隊のみ。
「座ってていいぞ~。俺たちの命は高級品だ。ははは」
シモンは、ポーションや矢、投げナイフなど各種道具を満載した木製の荷車を引き、庭園へ入ってきた。
アンドリアはサーバー時刻から目を離さない。
ぽん、と音を立てて、GM03が再び空中に現れる。
「皆さん、こんばんは。お待ちかねの攻城戦、まもなく開始です。
注意! 城戦開始後は黒衣を着用しなくても敵対プレイヤーを攻撃可能です。
ただし、黒衣を着て殺戮状態に入ると、味方にもダメージが入りますよ~。
準備はいいですか? カウントダウン、いきますよ~」
GM03の声は囁くように柔らかく、それでいて、全プレイヤーの耳に確かに届いていた。
五! 攻守両軍が一斉に武器を抜いた。
四! 「痛覚無効」「会心術」「鏡の盾」――両陣営の支援職が次々と強化を詠唱する。
三! 弓兵は矢を番え、狙撃手は弾を装填。
二! 双方から色とりどりの光が噴き上がり、魔導士たちが詠唱を先読みする。
一!………………
「システムメッセージ: 主城戦争開始」
「ここに座ってたら、何も見えないね……」
まこは落ち着かない様子で周囲を見回した。
「俺が、み、み、み、み……」
シモンは笑顔のまま言いかけ、声が不自然に反復する。
サーバーが半秒ほど遅延し、軽くラグが発生した。
北と東の城壁が同時に眩い光に包まれ、大地が揺れる。
爆音が連続し、砕けた城垛が人影を巻き込みながら空へと吹き上がった。
開戦一秒で、無数の光塵が宙に舞い、悲鳴が四方から上がる。
攻守双方の矢が空中で交錯し、雨のように互いの陣へ降り注いだ。
「うおおおおおおおおおお!!!!!」
更新は基本【毎日1話】。
さらに、
ブックマーク10増加ごとに1話追加、
感想10件ごとに1話追加します。
書き溜めは十分あります。
一緒にテンポよく、魔王討伐まで突っ走りましょう :)




