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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
一緒に魔王を討伐しよう!
21/63

20 赤の大広間

五人は人気の消えた街路を進んだ。

かつて人で溢れていた商業街や競売所にはNPCしかおらず、プレイヤーはすべて領主宮殿へ集められている。


領主宮殿は丘の上に築かれた円形の城塞で、中央にゴシック様式の高塔がそびえ立っていた。


巨大な鉄門の左には、竜紋を刻んだ銀の大旗が二枚、風に翻っている。

城壁の胸壁ごとに弓兵が立ち、装甲は陽光を反射して眩しく輝いていた。


門を抜けると、正方形の赤煉瓦の広場が広がる。

左右には赤と白を基調とした豪奢な建築が対称に並び、その奥に黒い尖塔がそびえている。


まことまつみは、その厳粛な空気に圧され、言葉を失っていた。


四人の衛兵は彼らを一人の銀髪の男の前へ案内し、敬礼して去っていく。


領主宮殿へようこそ。

私は銀龍の刻印ギルドの衛兵長だ。

案内しよう」

衛兵長は軽く一礼すると、尖塔の基部へと彼らを導いた。


芝生の広場を抜けると、道の両脇に七本の大旗が高く掲げられている。


「黒地に白の三角爪――黒の騎士団。

橙に燃えるトカゲ――火原トカゲ。

白地に大きな目の猫――精霊ねこ屋。

黄色に二本のギター――軽音部。

紫に桃色のナース服――夜勤O棟。

純紅の旗――紅の教条。

青地に金翼の大剣――ガブリエル聖剣。


初の攻城戦には多くの参加者が集まった。

ここにいるのは友好ギルド七団体、総勢およそ三百名。

我々、銀龍の刻印を含めれば、四百名規模になる」

衛兵長は次々と旗を指し示した。


「……下品な名前だな」

パシュスは紫の旗を見つめ、顔をしかめた。


「敵は?」

ニフェトが尋ねる。


「宴の場で詳しく説明する。

尖塔二階、“紅の大広間”へ進んでくれ。では、失礼する」

衛兵長は深く一礼した。


五人は天へ伸びる大塔へ足を踏み入れ、螺旋階段を上って重厚な木扉の前に立つ。

扉の向こうから、かすかな話し声が漏れていた。


パシュスは扉に手を当て、深く息を吸い込み、力を込めて押し開く。


その瞬間、隙間から眩い赤光が噴き出した。


「……なんだ、これは?」

五人は呆然と立ち尽くす。


二百人を超える人影が大広間を埋め尽くし、全員が赤い光をまとい、重装備に身を包んでいた。


黒衣を着ていない――それは、全員が殺戮状態のプレイヤーである証だ。


一方、広間の隅にはパシュスたちと同じ一般プレイヤーが数十人集められており、装備が光る者はほんの一部しかいない。


二つの集団は、まるで野狼と羊のように、まったく異なる気配を放っていた。


広間の奥には段差があり、その上に領主の玉座が据えられている。


演壇に立っていたのは、ピンクのツインテールにメイド服を着た、小柄な少女だった。


「みなさ~ん、ようこそ!

銀龍の刻印ギルド、宴会司会のアンドリアです。よろしくね~!」

アンドリアは元気いっぱいに挨拶した。


その一声で、ざわめいていた大広間が一斉に静まり返る。


「友好ギルドの皆さんは私の左へ。

一般プレイヤーの皆さんは右へ移動してください」


紅い光がすっと片側へ収束し、反対側は一気に薄暗くなった。


「一般プレイヤーの皆さん、こんにちは~。

二日後から三日間にわたる攻城戦が始まるため、城主の命によりプラムス王都は封鎖されます。

戦闘に参加したくない方は、今が最後の退城の機会です。南門には護衛を配置していますので、初心者の村で転送師を探し、街を離れてください。

ただし、防衛に協力してくれる方には、城主より豪華な報酬が配られます。ぜひ我々の陣営に加わってください。

――残り五分。ここに残る方は、城戦への参加を承諾したものと見なします」

アンドリアは笑顔で告げた。


「どうする……?」

パシュスは全身を蟻に這い回られるような不安に包まれ、途方に暮れる。


「諦めたほうがいい。今、城門を出たら高確率で襲われる」

むぐち やよいが言った。


「なに!?」

一同が息を呑む。


「こちらは、すでに相手の戦力配置を把握している。

私たちが生きて外に出るのは、彼らにとって不都合だ。少し考えれば分かる――実質的に、参加を強要している。

それに、各王都は戦時体制に入っている。転職は不可、レベルも停滞する」


「卑怯すぎる……!」

パシュスは歯を食いしばった。


「隅で放置して、話を聞くだけにしよう」

むぐち やよいは気にも留めない様子だ。


結局、退出したのはごく少数だった。


「参加を決めてくれてありがとう~。

それでは『設定』から『ギルド紋章を表示』を選択してください。

ギルド未所属の方は、臨時ギルド『銀色狼紋』に加入してもらいます」

アンドリアが告げる。


プレイヤーたちの頭上に、小さなギルドアイコンが次々と表示された。


【システムメッセージ: 銀色狼紋 ギルド招待 参加しますか?(Y/N)】


まつみは眉をひそめ、承諾を押す。

頭上に、銀龍の刻印が浮かび上がった。


他の四人にも、同じ紋章が表示される。


「そこの皆さんも、『ギルド紋章を表示』をお願いします」

アンドリアは微笑んだ。


「すみません、BUGみたいで……表示されません」

「俺もだ。紋章が出ない」


表示されない者は、五人いた。


「逃げろ!」

むぐち やよいの表情が険しくなり、即座にまこたちを引き寄せる。


「どうした!?」

ニフェトが叫ぶ。


「残念ね~」

アンドリアは目を細め、不吉な笑みを浮かべた。


「なにを――ぐああっ!!!」

BUGを訴えていた男が、背中を貫かれて叫ぶ。


「即死じゃないか」

白髪で黒衣の男が、その背後に立っていた。


「隊長!!」

残りの四人が、負傷者を囲む。


「見つかった! 来い、黒雷!」

五人は一斉に黒衣をまとい、PK解放。

無差別に一般プレイヤーへ攻撃し、瞬時に何人もが爆散した。


「な、なにが起きてるの!?」

まつみが震え声で叫ぶ。幸い、彼らはすでに距離を取っていた。


「諜報失敗だ。道連れにする気だな」

むぐち やよいは大剣を抜き、警戒する。


次の瞬間、紅く染まった集団が雪崩れ込み、間者たちは跡形もなく消し飛んだ。


「馬鹿か。古い手だな、はは」

紅い者たちは笑い合い、そのまま元の位置へ戻っていく。


「――では。準備は整いました。

プラムス城主、そして銀龍の刻印ギルド会長――ノクス様をお迎えします」

アンドリアは玉座へ深く一礼した。



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