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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第三十七章—ロミオの宴
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189 「贖いなさい……まこ……」

むぐちはちらりと一瞥しただけで、すぐに視線を景色へ戻し、まこを無視した。


「ごめんなさい……」まこはそっと隣に歩み寄り、俯いたまま罪悪感に満ちた声で謝る。


「ははっ、どこが私に悪かったの?まこ様。」むぐちは窓枠にもたれ、頬杖をついて外を見つめたまま、自分の傷ついた表情を見せまいとした。


「わ、私は……あなたを裏切るつもりなんて、まったくなかった。ただ師匠が……」まこは自分の存在を消すように身を小さくし、かすかな声で言った。


「ふん。師匠~師匠!たいしたご立派な師匠ね。言い訳はそれで終わり?」むぐちは冷笑し、なおも窓の外を見つめ続ける。


「お詫びのつもりで、この三日間、空羽谷で寝る間も惜しんで稼いできたの。衣装も全部売った……ここにだいたい五千竜貨ある。どうか許してほしい……」まこはバッグから三つの大きな袋を取り出して床へ置いた。袋の口から金貨があふれ出し、ころころと転がって床一面に広がる。


むぐちは内心で息をのんだ。三日で五千竜貨など、食事も睡眠も削らなければ到底できない。だが表情は変えず、冷たい横目でまこを見下ろす。


まこの衣服はぼろぼろだった。雪のように白い魔導衣は泥にまみれ、あちこち裂けて穴が開いている。原木の大剣も刃先が欠け、目の下には濃い隈が浮かんでいた。


むぐちは胸が締めつけられるように痛んだが、すぐに眉をひそめ、再び窓の外へ視線を戻す。

「あなたは何も間違ってないよ。そもそも善悪なんて考えてないんだから。その謝罪に意味はない。それに、もううちのギルドは金に困ってない。あなたの努力は無駄だった。そんなの、ただの自己満足で子供騙しよ。」


まこは黙って隣に立ち続けた。叱られた子供のように、ただ反省するしかなかった。


外では人々が行き交い、祭りの歓声が響いている。その賑わいが、衣装部屋の静寂をいっそう際立たせていた。


むぐちは次第に気まずさを覚え始める。よく考えれば、あの時点で黒真珠はすでに陥落していた。夢の唇のメンバーもほぼ全滅し、柑柑が立て直す可能性など限りなく低かった。それでも自分が彼女を殺そうとしたのは、ただ復讐心に駆られていたからだ。


それなのに、まこはギルドの計画を外へ漏らした。いや、それどころか、他人と手を組んで自分に刃を向けたのだ。


自分はこれまでギルドの仕事でも露骨なほどまこを庇ってきた。厄介な役目はいつも他の者に押しつけ、どんな理不尽な決断でも最後まで支えてきた。


自分の優しさはすべてまこに注いできた――なのに彼女は、それをぼろ布のように捨てた。


むぐちの体内に再び熱が満ち、瞳の奥で殺意がじわじわと濃くなる。


「わ、私は……あなたに許してほしい。もう師匠……荒道一狼とは縁を切った。フレンドも削除した。何でもする、償うから……むぐちお姉ちゃんが許してくれるなら、それでいい……!」まこは勇気を振り絞り、懇願した。


南瓜の月を背に、むぐちはゆっくりと振り向く――その口元には鋭い牙がのぞき、瞳は黒く染まっていた。


まこは今にも腰を抜かしそうだったが、それでも動かなかった。自分の過ちから逃げようとはしない。


「私は金も、人も……あなたも必要ない。私にとって無価値な役立たずを、どうして許す必要があるの?」むぐちは一語一語、鋭く言い放った。


まこは胸が張り裂けそうなほど打ちのめされた。確かに自分は優秀ではない。むぐちの聡明さには到底及ばない。


「でも……あなたはまだ、私の役に立つ。」むぐちは冷ややかに笑った。


まこの瞳に、たちまち灼けつくような希望の光が宿る。

「必ずやり遂げます!」


「食師はね……プレイヤーを喰らえば、その者の総ステータスを永久に0.1%奪える。私のスキルは知力依存。あなたの属性は、私にとってとても有益なのよ……まこ。」むぐちは無機質な視線で見下ろしながら、唇の端からさらに鋭い牙を覗かせた。


まこの心臓は激しく脈打った。むぐちはまるで悪魔のように、ゆっくりと口を開いていく。


捕食される本能的な恐怖が背筋を這い上がる。足の裏がむずむずと疼き、全身の細胞が今すぐ逃げろと警鐘を鳴らしていた。


それでも、まこは逃げなかった。涙があふれ、鼻を震わせながら嗚咽混じりに訴える。

「むぐちお姉ちゃん……も、もし私を殺すことが……唯一の贖いなら……どうか、手を下して。でも……私は一度もあなたを裏切ったつもりはない。どうか誤解しないで。」


「目を閉じて。」むぐちは死体のように冷たい声で言った。


まこは涙を二筋こぼしながら、ゆっくりと目を閉じる。


むぐちは黙って、その泣き顔を見つめ続けた。


これこそが、まこがずっと持ち続けてきた愚直で無垢な自信――この一点だけは、まるで変わっていない。忌々しいほどの純真さが、今もなおそこにある。


むぐちの血が一気に頭へ駆け上る。血の匂いを帯びた大きな口を開いた。

…………

…………

…………


あたたかくて、やわらかい。


むぐちはまこの顎をそっと支え、静かに口づけた。


「……」まこははっと目を見開き、呆然とむぐちを見つめる。頭の中は真っ白だった。


「やっぱり変わってないね。相変わらずの、どうしようもないおバカさん。」むぐちは涙を流しながら微笑んだ。


「むぐち……お姉……」まこは戸惑いながら自分の唇に触れ、目の前の優しい表情のむぐちを見つめる。


むぐちは突然まこを抱き寄せ、もう一度口づけた。


「ちょ、ちょっと……むぐちお姉ちゃん……これは……」まこは慌ててむぐち やよいを押し返し、衣装の山の中へと後ずさる。


「許してほしいなら、何でもするって言ったでしょ……」むぐちは笑みを浮かべたまま歩み寄る。


「もちろん……でも……待って……あれ?」まこは理解できず、胸の内がぐちゃぐちゃに乱れる。


むぐちはゆっくり近づき、両手でまこの頬を包んだ。


「贖いなさい……まこ……」


「ま、待って……むぐちお姉ちゃん!私は……」


「…………」


「…………」


二人の姿は、やがて衣装の山の中へと静かに沈んでいった。

……


挿絵(By みてみん)



AI生成のイラストなので、少し不自然なところもあるかもしれませんが、作品の空気を感じ取ってもらえたら嬉しいです。


まさかイラストの調整が、小説を書くより大変になるとは思っていませんでした……(苦笑)


少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

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