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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第三十四章—蒼紅の激突
175/198

174 「さよなら……みんな……」

「カンドウ! ここで止まっちゃだめ! 動いて!」ニフェトが叫ぶ。


カンドウはすぐ立ち上がり、口元の血を拭うと鋼鉄のサイを召喚した。


「了解です、ニフェト様! 突撃だ!!!」


カンドウは重装隊の返答を待たず、H十字軍へ突撃を開始する。


「おいバカ! 待て! 相手は格が違う!」パシュスが慌てて叫ぶ。だが後方部隊は敵の火力に足止めされ、前方の重装隊との距離が広がり始めていた。


そのとき丁字路の左側から、同じく背筋の凍るような紅の邪光が噴き上がる――もう一隊のH十字軍が潜んでいたのだ。青軍の陣形が曲がり角で分断される瞬間を狙った待ち伏せだった。


「うおおお!!」


黒い血を滴らせた十字架が十数本、唸りを上げて振り回される。肉挽き機のようにニフェト聖団の中央遠距離部隊へ突っ込んだ。


陣中は瞬時に血肉が飛び散り、砕けた装備が空高く跳ね上がる。


【システムメッセージ: ギルドメンバー … HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー … HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー … HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー … HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー … HP残り20%】


「急げ!! 曲がり角から離れろ!!」パシュスは焦りながら叫ぶ。しかし重装隊は前線で激戦の最中、引き返すことができない。


【システムメッセージ: ギルドメンバー … HP残り0%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー … HP残り0%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー … HP残り0%】


H十字軍の十字架は血に飢えた巨獣の口のように青ネームを食い荒らし、蒼光は瞬く間に減っていく。


「動いて!!」ニフェトは後方から飛んでくる魔法を魔力盾で防ぎながら、遅れている仲間へ手を振った。


「早く動け!! これ以上遅れたら全滅だ!!」カンドウはサイにまたがり人群を突き破りながら振り返って怒鳴る。


「遠距離火力、全開! 砲兵は角度を修正しろ!」ディベルはH十字軍が青軍を足止めしているのを見て、すぐに優勢火力で青軍を制圧しようとした。


丘の上に残っていた最後の聖旗軍は、黒真珠の上空に突然噴き上がった巨大な紅光を見て息を呑む。それはニフェト聖団の蒼光をほとんど覆い隠していた。


「神に選ばれし民よ! 神は邪悪な巨獣を我らの前に引きずり出した! 我らの兄弟姉妹は血戦の最中だ! 急いで支援せよ!」泌尿医は伏兵の出現と砲撃の方向転換の隙を見逃さず、聖旗を掲げて40名の精鋭を率い出撃した。


その背後では青ネームたちが首を振り、この枢機卿を冷ややかに見ていた。


……


ニフェト聖団は絶体絶命だった。今この場で残酷な決断を下さなければならない。


後方の仲間を見捨てて突破するか。

それともここで踏みとどまり、全軍壊滅するか。


全員が必死に赤ネームと斬り結び、戦略を議論する余裕などない。


「魂の最後の帰宿!」


青軍陣の中で一本の聖旗が銀色の聖火を噴き上げた。範囲内の青ネーム全員の身体にきらめく銀炎が灯り、無敵状態へ入る。ただし攻撃はできない。


赤ネームたちは驚き、青軍側も自分たちの手に燃える聖火を信じられないように見つめていた。


戦場は突然、強制的に停戦状態となる。両軍は互いに睨み合いながらポーションを飲み、武器を修理し、隊列を整えて再戦に備えた。


ソフィアの全身から銀白の聖なる紋様が浮かび上がる。炎に包まれた両手で聖旗を握り、軍団の中央に立っていた。

「ニフェト……私の仲間を連れて離れて。」


「分かった! あなたも一緒に!」ニフェトはすぐソフィアの腕を引く。だが彼女は石像のように重く、身体は硬直して動かなかった。


「行って……私はもうここから動けない……」ソフィアはすすり泣き始める。


「何言ってるの! 早く行くのよ!」ニフェトは叫び、全力でソフィアを引っ張った。


揺さぶられたソフィアの手から聖旗がわずかに揺れ、青軍の無敵状態が一瞬解除される。敵味方ともに驚いて距離を取った。


ソフィアはすぐ聖旗を握り直し、再び無敵状態を維持する。

「時間を無駄にしないで! この結界の術者は動けないの……早く行って……私の魔力は長く持たない……」


「でも……」


「私の仲間を連れて行け!!!」ソフィアが怒鳴った。


パシュスは黙ってニフェトを抱え上げ、そのまま隊列を追って撤退する。


カンドウは恐れる様子もなく、サイで赤ネームを突き飛ばして道を切り開き、一直線に夢の唇ギルドホールへ向かった。


「奴らの後を追え! 無敵が切れた瞬間、全員殺せ!」アビルはギルドメンバーに命じて青軍の後ろを追わせる。ソフィアの無敵状態のせいで敵対プレイヤーは彼女に触れることができず、肉体で進路を塞ぐこともできなかった。


戦場は突然、命を賭けた競争へ変わった。ゴールは街路の突き当たりにある夢の唇ギルドホール。


最後の青ネームが角を曲がって消えるのを見届けたとき、ソフィアはようやく気づく。自分が数十人の赤ネームの中に一人で立っていることに。


恐怖で身体が震え始め、すすり泣きは次第に大きくなった。

「さよなら……みんな……」



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